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大学院1年生・吉田さん、植物ホルモン・フロリゲンを用いた研究の成果を発表。

指導教員の辻寛之准教授(左)、日本育種学会優秀発表賞を受賞した吉田さん(右)

本学生命ナノシステム科学研究科1年の吉田綾さん(発表当時、国際総合科学部理学系生命環境コース4年)が、平成31年3月16日(土)、17日(日)に千葉大学で開催された日本育種学会第135回講演会にて口頭発表を行い、日本育種学会優秀発表賞を受賞しました。

講演題名 「第何葉のフロリゲンが花成を起こすのか?」

植物が花を咲かせる(花成)には、植物ホルモンであるフロリゲンの力が必要です。フロリゲンは、葉が最適な日長を認識した時に葉で合成され、茎の先端まで輸送されて花芽形成を開始させる機能を持ちます。スポーツの試合であれば、「誰が勝利に貢献したのか?」はプレーを見れば一目瞭然。しかし、植物の花成において、どの葉が貢献したのかは見ただけでは分かりません。吉田さんの研究は、花を咲かせるために最も貢献したフロリゲンはどの葉で作られたものなのかを推定する地道なものです。 測定、サンプリング、観察を絶え間なく繰り返して成果を得た研究を紹介いただくとともに、受賞の感想及び今後についてお話を伺いました。

吉田よしだ  綾 あや さん
生命ナノシステム科学研究科 生命環境システム科学専攻 博士前期課程 1年
出身校:神奈川県立横浜緑ヶ丘高等学校
    横浜市立大学 国際総合科学部 理学系 生命環境コース
※国際総合科学部理学系は、2019年に再編され理学部になりました。

まずは、受賞の感想を教えてください。

吉田:口頭発表の順が最終日の最後のセッションだったのでとても緊張してしまい、上手く発表できた!という手応えは正直ありませんでした。まさか優秀発表賞をいただけるとは思いませんでしたが、今回受賞したことで自分の研究や発表に自信を持つことができたので今後の研究や学会発表に繋げていきたいと考えています。

植物ホルモン・フロリゲンの効果で花を咲かせる葉はどれか?

サンプルとなるイネの一部
— 研究内容を教えてください。

吉田:発表のタイトルにある「フロリゲン」とは、植物ホルモンの一種で、植物が花成に適した日長を認識した時に葉で合成された後、茎頂メリステムへと運ばれ花成を誘導する機能を持ちます。
私は、そのフロリゲンを用いて花成に最も貢献している葉はどの葉であるのかを検討する、研究を行っています。 イネのフロリゲン(FT/Hd3a)が花成を誘導する時期を詳しく見るために、主茎全ての葉のHd3a発現量の測定や、フロリゲンが輸送されて働く場所である茎頂メリステムの形態観察を行い、花成時期の推定を行いました。さらにフロリゲンの発現量が高い葉を切り取ると花成にどのような影響が現れるのか実験を行い、得られたこれらのデータから花成に最も貢献している葉はどの葉であるのか検討し、学会で研究成果を発表しました。

研究のきっかけは、イネの特徴調査のためのより良いサンプル採取。

顕微鏡で観察した茎頂メリステム
— どのような経緯でこの研究を始めたのでしょうか?

吉田:この研究は、とある他の実験で葉からそのイネの特徴を調べたい時に、たくさんある葉の中でどの葉をサンプリングすれば良いか分からないという話がきっかけで始まりました。
実験は、イネの葉齢ごとに一枚ずつ葉をサンプリングし、茎頂メリステムを一つずつ解剖して観察を行います。観察を行うサンプリング数は非常に多く地道にデータを集める実験ではありますが、他の研究にも繋がる基礎的なデータが得られます。さらに他の研究者の方からこういうことも知りたい、と次の実験に繋がるようなディスカッションができて実験が広がっていくところなどに魅力を感じています。

発表構成の工夫に加え、単なる研究内容の説明ではなく、研究のストーリーを語ることを意識。

— 発表に際して準備したこと、工夫したことを教えてください。

吉田:国際学会でポスター発表の経験はありましたが、講演会での口頭発表は今回が初めてでした。 私の研究テーマは、分野が異なる方でも比較的理解しやすい内容であるため、導入は簡単な説明のみにして発表の早い段階でキークエスチョンを提示するような構成にしました。発表内容は全体的にグラフが多かったため、先生のアドバイスを参考にしてできる限り対になるグラフとイラストを1枚のスライドで見せるように工夫し、グラフの見方が一目で分かるよう心がけました。話す内容はあらかじめスライドごとに簡単に整理し、台本等は作らずに研究のストーリーを繰り返し練習することでスライドとスライドの間の話が途切れないよう意識しました。

納得のいく進路を決めるため研究職、教職など様々な道を模索

— 大学院へ進学したきっかけと今後の進路について教えてください。

吉田:大学院進学については悩んだ時期もありましたが、指導教員の辻先生が研究報告の際に本当にちょっとした発見や結果でもとても褒めてくださったことや、学部生のうちに積極的に色々な学会に参加させてくださったことがきっかけでもう少し研究を続けてみたいという気持ちになり進学を決めました。 大学院修了後は植物に関連したサプリメントや食品などの研究職への就職を考えていますが、人と話したり教えたりすることが好きで学部生の時に教員免許を取得したので研究職以外も検討しているところです。

YCUを目指す受験生へのメッセージ

舞岡キャンパス正門

YCUの良いところは先生方や研究室のメンバーとの距離が近いことだと思います。他大学と比べると研究室の同期や先輩後輩の人数は少ないと思いますが、その分学生全員の研究内容を細かく知ることができ、分からない部分は気軽に質問できるというメリットがあります。研究室の先生方も親身になって研究についてディスカッションをしてくださるので、研究で行き詰まってもアドバイスをすぐに聞くことができるというのも大きなメリットだと思います。

指導教員の辻寛之准教授からのコメント

辻寛之准教授と研究室のメンバー

おめでとう!

日本育種学会は植物の育種遺伝学におけるもっとも歴史と権威ある学会です。優秀発表賞は大学の助教の先生や博士研究員が受賞されることが多い中で、発表当時学部4年生だった吉田さんの受賞は特筆すべきことと思います。吉田さんが日頃からコツコツと真摯に研究に打ち込んだ成果であり、本当にうれしく思います。

この研究では吉田さんが主体となってすべてのデータを取得し、解析をしています。圧倒的なデータ量ときちんとした説明に、他大学の先生からも「博士課程の大学院生かと思った。」というコメントいただいています。 初の学会発表が、学部4年生の6月の国際学会で英語の発表であり、この時も大変な準備がありましたが、圧倒的なデータ量をコツコツと集めて見事な発表をしました。研究を真摯に続けると、思いがけない発見の感動があり、その周辺に楽しいことがたくさんできてきます。吉田さんはそのことを体験されたと思います。今後もさらなる飛躍をとげることを期待しています。

ヨコ知り!1問1答

日本育種学会講演会で優秀発表賞を受賞した吉田さんも数年前は受験生。受験生時代のことを1問1答でお聞きしました。

1.YCUをいつ知った?
高校三年生のとき

2.なぜYCUを選んだ?
生物を学べるコースがあったため

3.試験前日の過ごし方は?
会場が遠かったので早く寝ました

4.センター試験の結果はどうだった?
良くなかったです(特に数学)

5.試験当日のマストアイテムは?
チョコレート

6.おすすめ参考書
英語整序問題精選600(河合出版)

7.1番勉強した場所・時間帯
家のリビング・夜

8.試験当日の失敗談
数学が模試よりも解けなかったこと

9.受験勉強中のリラックス方法は?
テニス

10.受験勉強中、よく聴いた曲は?
ポルノグラフィティ

(2019/06/28)

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