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グローバルな学びの舞台はインド!
挑戦する学生が語る、留学の原点と未来国際教養学部 間瀬菜花さんにインタビューしました

海外留学は、語学力を磨くだけでなく、自らの価値観を広げ、将来の可能性を大きく切り拓くチャンスです。横浜市立大学でも、多くの学生が世界に飛び出し、異文化の中で学びと挑戦を重ねています。
今回ご紹介するのは、その中でもインドでの留学に挑戦している、国際教養学部3年、間瀬菜花ませななさんです。「なぜインドなのか?」と意外に感じる人も多いでしょう。しかし、急速な経済発展や多様な文化、同時に数々の社会課題を抱えるインドは、挑戦心を持つ学生にとって大きな学びの舞台です。
間瀬さんは、文部科学省の「トビタテ!留学JAPAN*1」に応募し、書類審査・面接審査を経て見事合格。そのサポートを受けながら、現地での活動を実現しています。
応募のきっかけや準備の工夫、インドでの生活、現地での活動を通して感じたこと、そして将来にどうつなげていくのか。実際に現地でアクティブに活動している学生に、留学のリアルについて語ってもらいました。

間瀬さん(左)と活動を支えてくれる仲間やその家族
Q1.留学を志すようになったきっかけは?

高校生の頃、SNSで流れてきた広告をきっかけにこのプログラムを知りました。当時は自分が留学するとは思っていませんでしたが、憧れていた先輩が参加していることを知り、「自分も挑戦してみたい」と強く感じました。アフリカでアパレルブランドを展開する人、サーカス団で活躍する人、難民キャンプで支援活動を行う人など、スケールの大きな挑戦をしている仲間と出会い、自分の世界が一気に広がる感覚を覚えました。同じ志を持つ人たちと刺激し合える環境に魅力を感じたことが、大きな動機となりました。 
また、私がインドに行くかどうか迷っていたとき、先輩がトビタテの仲間でインドに渡航された方を紹介してくださり、実際の生活や活動のイメージが具体的に描けるようになりました。行動力のある人の周りには、さらに行動力のある面白い人が集まるのだと実感し、自分もその輪の中に飛び込みたいという思いが強まりました。
私は帰国子女で、人生の半分を海外で過ごしてきましたが、それは親の仕事の都合によるもので、自分の意思で選んだ経験ではありませんでした。そのため、「帰国子女」と呼ばれることに違和感を覚える時期もありました。今回の留学は、自分の意思で「海外に行きたい」と踏み出した初めての経験であり、私にとっても非常に特別な挑戦です。

Q2. 応募までの流れと、特に頑張ったことは?

応募は一次審査が書類選考、二次審査は面接でした。準備で特に力を入れたのは、「自分が留学で何をしたいのか」を自分の言葉で明確に伝えることです。気持ちだけ先行しても説得力がないので、具体的な活動内容や目的を整理し、先輩にも面接の練習をお願いして何度も見てもらいました。面接本番では、緊張しすぎず、「友達づくりを楽しむ」という気持ちで臨んだことで、自然体で話すことができました。自分の想いを言葉にすることの難しさと大切さを改めて実感しました。
面接の練習を通して、自分の話の構成や伝え方を意識することの重要性にも気づきました。私は話すことが好きな性格のため、つい熱が入りすぎて長く話してしまう傾向があります。そのため、フィードバックを受けてからは、伝えたいポイントを3つほどに絞り、質問の意図に沿って簡潔に話すことを意識しました。

Q3. なぜインドを選んだのですか?
タージマハルと、伝統技法ブロックプリントで作られたインドの伝統衣装クルティー

私はインドネシアで生まれ育ち、ストリートチルドレンの姿を日常的に目にしてきました。その経験から、将来は子どもや女性の支援に携わる国際機関で働きたいと考えるようになりました。中高生の頃は、自然と南アジア出身の友人に囲まれて過ごすことが多く、「もっと南アジアについて知りたい」という思いが芽生えました。大学1年の時に、授業で映画『Pad Man』に出会い、社会開発論の授業でインドに存在する“月経小屋”の実態を知ったことが決定的なきっかけとなりました。
映画『Pad Man』で特に印象に残ったのは、生理がタブー視される社会の中で、主人公が偏見や嘲笑を受けながらも、情熱を持って布ナプキンを普及させていく姿でした。この映画を通じて、月経の課題が健康、教育、貧困、ジェンダー平等などと密接に関わっていることを改めて実感しました。
授業では、ゲスト講師を通じて、インドの月経小屋の写真や、女性たちが立ち上げたNGOの活動を紹介していただき、月経に対する社会的なタブーについて学びました。特に、月経小屋の存在からは、月経が「不浄」とされる文化的背景によって、女性の生活や教育の機会が制限されている現実を知り、その課題に対する問題意識がより具体的なものになりました。

Q4. 現地での活動内容と目標は?
現地の女の子たちに布ナプキンの作り方を教えている様子

現在はインドのビハール州にて、貧困地域の女の子を対象に布ナプキンの製作による雇用創出と、月経に関する調査を行っています。今後は月経教育の実施も予定しています。私の目標は、「誰もが安心して月経を迎えられる社会」をつくることです。月経に関する偏見やタブーを少しずつ解消し、女の子たちが自信を持って生きられる環境づくりに貢献したいと考えています。
 布ナプキンは、現地のマーケットで材料を集め、破棄される布を再利用したりして作っています。日本から持参した足踏みミシンを使用し、私がデザインした型紙をもとに製作を進めました。並行して行った調査では、ヒンディー語を読めない子が多く、アンケートの実施に苦労しました。調査の結果、経済的に市販の生理用ナプキンを購入できないことや、最寄りの店まで徒歩で5km以上あるなどの課題が明らかになりました。こうした現地の声をもとに、布ナプキンの販売や配布の方法を引き続き検討しています。

Q5. 心に残っている交流や出来事は

現地の女の子には、高品質な製品づくりを目指して、日々丁寧に指導してきました。彼女の縫製技術が目に見えて上達していく様子を間近で見られたことは、大きな喜びでした。特に印象的だったのは、自分が作った布ナプキンを見ながら「これはダメだね」と自ら改善点を指摘した瞬間です。その成長と主体性に胸を打たれました。また、作業の合間に音楽を聴いたり、仲間と散歩に出かけたりといった、ささやかな日常の交流も心に残っています。
中でも、バラナシで出会った17歳の少女との出会いは忘れられません。朝ヨガを見に行った際、声をかけてくれたその少女は、最初こそ「観光客相手の客引きかもしれない」と思いましたが、流暢な英語で話しかけてくれ、話すうちに家族の事情を知りました。父親を亡くし、妹2人と母親を支えるため、朝から晩までメヘンディ(ヘナタトゥー)で生計を立てているとのことでした。
私が「学校に行きたい?」と尋ねると、彼女は「そんな時間はない」と答えました。行きたいかどうかを考える余裕すらない現実を知り、胸が痛みました。彼女は「私の人生、badだよ。親がいない子どもが一番不幸だと思う」と話しながらも、映画の音楽に合わせて歌い、「Are you feel better?」と微笑んでくれました。
その瞬間、私は自分の不安や迷いが小さく感じられ、彼女の力強さと前向きさに心を動かされました。
この出会いは、私の価値観を大きく変え、活動の結果がすぐに出なくても、諦めずに努力し続けることの大切さを実感するきっかけとなりました。「もっと今の活動を頑張りたい」「まだやれる」と心から思えた出会いでした。

ー ミシンを使って布ナプキンを縫い合わせている様子


ー バラナシで出会った女の子と彼女が描いてくれたメヘンディ


Q6. 今後の展望と、これから留学を目指す人へのメッセージを教えてください。

今後は月経教育を広め、布ナプキンの現地で生産・販売が可能な形にしていきたいと考えています。個人としては、国際問題の解決に貢献できる人材になることを目指しています。「海外に行きたい」という気持ちは、それだけで大きな一歩です。語学力や経験に不安があっても、自分の意思で行動を起こすことがすでに素晴らしい挑戦です。留学を通して、異文化の中で自分の意見を伝え、現地の人々と協力して経験を重ねる中で、自分に自信がつきました。バラナシで出会った少女のように、「学校に行く時間すらない」現実を知り、女性の自立支援活動に対する覚悟がより強まりました。現地の文化や言語、生活環境に適応しながら活動を進める中で、主体的に考え行動する力、そして課題に向き合う問題解決力も身につけることができたと感じています。

Q7. この記事を読んでくれている受験生に向けて、アドバイスがあればお願いします!

受験生の皆さんは、期待と不安の中で毎日を過ごしていることでしょう。
「やりたいことはなんとなくあるけれど、はっきりしない。」
「模試の結果に落ち込んで、前が見えなくなる日もある。」
そんな気持ち、とてもよく分かります。
そして、大学に入ったら海外に行ってみたい、何かに挑戦してみたいと思う人もいるかもしれません。 でもその一方で、「自分に何ができるんだろう」という不安はつきまとうこともあります。
大丈夫です。
大学は、“きっかけ”を与えてくれ、“考えを形にする力”を育てる場所です。
私自身も、大学での出会いや授業、活動を通して、少しずつ「自分の関心」を輪郭あるものにしていきました。そして今、その積み重ねがインドでの現場活動という形で未来につながっています。「自分が何をやりたいのか分からない」というのは、決してマイナスではありません。
それは“まだ出会っていないだけ”です。
だからこそ、受験も学びも、 「今の自分に足りない力を取りに行く」 という前向きな選択だと思ってほしいです。
きっかけをつかむ準備ができている人のもとには、チャンスは必ず訪れます。
このページに辿り着いたこと自体、すでに一歩を踏み出している証です。どうか、その歩みを止めないでください。心から応援しています。

【インド留学Vlog】

インド農村で月経教育と布ナプキンで未来を縫う!【大学生留学/海外インターン】

用語説明

*1 トビタテ!留学JAPAN
留学テーマや行き先は自由で、自ら社会に変革を起こしていくグローバルリーダーの育成を目的とした、民間寄付による返済不要の奨学金制度

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