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お笑いでSDGsを達成!? 
都市社会文化研究科で「お笑い」の社会的意義を学ぶ

SDGsの目標達成に様々な形で取り組むYCUでは、大学院の授業でもユニークなアプローチでSDGsを考えます。


影山摩子弥教授

大学院都市社会文化研究科では、今年度からSDGsについて学ぶ専用のプログラム「持続可能な地域社会プログラム」を立ち上げ、専任教員がそれぞれの専門分野からSDGsを考える授業を展開しています。その中の一つ、影山摩子弥教授による総合研究科目4(SDGsの基礎と実践)」では、吉本興業の現役のお笑い芸人を招いて1コマ講義を行いました。今回はそんな授業の様子を取材、YCUのユニークなSDGsへの取組みをご紹介します。

この講義は前期全8コマの特別講義で、さまざまな業界からゲスト講師をお招きし、その業界や企業がどのようにSDGsに貢献ができるかを、受講生とゲスト講師のディスカッションを通じて多様な視点で提案していくというものです。最終回のこの日は、吉本興業株式会社(以下、吉本興業。)より現役のお笑い芸人である、マヌー島岡さん、シラちゃん(コンビ名:フランポネ)と藤田ゆみさんを招き、お笑いの社会的意義とお笑いによるSDGsの達成について考えました。この講義の冒頭、影山教授は「SDGsの達成に向けた課題解決は、理性だけでは解決できない。理性だけで悲壮感の中無理してやっても長続きはしない。皆が参加し、継続的にSDGsの達成に向けて取り組むには『楽しむ」ことが必要だということを、この授業を通じて体感してもらいたい。」と述べ授業はスタートしました。

講義の様子


マヌー島岡さん、シラちゃん(コンビ名:フランポネ)

この日登壇したマヌー島岡さんは、ベルギーの大学院を修了し大手商社勤務を経て吉本興業のお笑い芸人に転身、英語をはじめ5か国語を操るという異色の経歴を持つ芸人さんです。また相方であり妻でもあるシラちゃんは、ジュネーブ出身のスイス人。フランス語で漫才も行います。

藤田ゆみさん

藤田ゆみさんは「吉本で唯一、スペイン語で漫才ができる芸人」の肩書を持つ、こちらも国際色豊かな芸人さんです。
これらの経歴から、島岡さんたちは「漫才で覚える言語教育シリーズ」として、日本語や各国の言葉の学習に漫才のスタイルを活用した外国語学習の手法を展開しており、様々な大学や教育機関で講義を行っています。このように、漫才のフレームを使った言語学習は、初期費用が少なく、楽しみながら続けられる学習法であることから、SDGsの目標4「質の高い教育をみんなに」の達成に貢献できるとして、日本に住む外国人の日本語学習や、発展途上国における識字率向上に向けた取り組みとして、その社会的意義が注目されているといいます。


講義の中ではこのようなお笑いの社会的意義に着目した島岡さんや吉本興業の活動が数々紹介され、受講生も「お笑い」というものの新たな一面に非常に興味を持って授業を聞いていました。

グループワークの様子

講義の後のグループワークでは、「お笑いでどのような社会貢献ができるか」というテーマを3~4人にグループで話し合い、発表するというもの。しかもその発表方法が非常にユニークです。「お笑いによる社会貢献を発表するのに普通にまじめに発表したのではつまらない。『漫才』のスタイルで発表しましょう。」という島岡さんの提案に、受講生もどよめきました。漫才のスタイルで発表を行うために、入場の仕方から話の展開、最後の締め方など、一連の流れが説明されたところで、グループワークによる議論が開始しました。 各グループでは、「お笑いでこんなことができるんじゃないか」ということについて活発にディスカッションが行われました。国際間の価値観の違いや文化の違いを理解するのに「漫才」という形が活用できるのではないか、防犯対策や異文化理解、言語学習などにおいてもお笑いを活用することで理解を深められるのでは、などと非常に多彩なアイデアが検討されました。


漫才で発表する受講生

最後の発表では、各グループ発表者がコンビとなって「どうもー!」とステージに上がり、コンビ名の自己紹介ののち、軽妙な語り口で様々なアイデアによる「お笑いによる社会貢献」が語られ、普段見せない受講生の姿に授業は大いに盛り上がりつつ、楽しみながらSDGsを考えるひと時になりました。 終了後受講生からは「楽しみながら自分たちが主体的に考え、発信することできた」、「言語を超えてお笑いによって世界とつながることができるということが分かった」などの感想が語られました。 授業の最後に影山教授からは、「大学院の授業で漫才をやるとは思わなかったでしょう(笑)。SDGsは『だれ一人取り残さない』を目標にしており、みんなが参加し、取り組みを継続させないと達成できない。お笑いは多くの人にこの目標達成のための取組みを広め、継続させるのにとても有効なアプローチの一つになります。」と語り、あらためて理性だけにとらわれない発想の大切さを語り、受講生もこの授業でそれを体感することができたようでした。




(2021/06/09)

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