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「予知絵馬」の商品化を実現 ~道志村間伐材に願いを込めて~
持続可能な社会を目指す学生と地域のコラボレーション

国際商学部 柴田典子ゼミ19期生の学生たちが、約2年間の試行錯誤を経て、「予知絵馬(よちえま)」と名付けたお守りを企画・商品化しました。このプロジェクトでは、山梨県道志村の間伐材*1を活用し、森林保全や地域活性化に貢献することを目的としました。間伐材の有効活用を促進することで、適切な森林管理の継続につながるだけでなく、地域経済の活性化や環境負荷の軽減への寄与も期待されます。また、大学生活を豊かにしたいという学生たちの思いも込められており、学生自身が夢や目標を実現する第一歩を後押しするアイテムとしても企画されました。

この「予知絵馬」のプロジェクトに挑戦した学生たちに話を聞きました。

「予知絵馬」を企画制作した、左から鳩野さん、前田さん、近藤さん、山岸さん
プロジェクトの背景

このプロジェクトは、道志村と横浜市立大学生協が抱える課題を解決することを目的として始まりました。道志村では森林保全が進む一方で、間伐材の活用が十分ではなく、利用方法が課題となっていました。そのため、間伐材を活用した商品化は、森林保護を持続可能なものとするための重要な取り組みであると考えました。
一方、横浜市立大学生協では、「SDGsへの貢献につながる商品開発」が課題となっていました。生協が環境に配慮した取り組みをするだけでなく、学生と連携して大学発のアイデアを形にすることで、学生の中にSDGsへの関心がより定着することが可能になると考えられました。そこで、マーケティングを専門とする柴田ゼミの学生たちが道志村の森林資源と大学生協の課題を結びつけ、「予知絵馬」を企画しました。
このプロジェクトでは、「道志むらおこし会」の協力のもと、現地調査を行い、間伐材の利用状況や木材加工技術について学ぶ機会を得ました。学生たちは実際に道志村を訪れ、地域の人々と意見を交わしながら試作品の改良を重ねました。
また、ゼミで学んだ、マーケティングの視点を基にした、消費者に便益を効果的に伝える方法・知識をパッケージデザインや販促物制作に活かしました。市大生の関心を引くデザインのセオリーを踏まえ、訴求ポイントを明確に設定。さらに、企画立案型実習A(神奈川産学1)で学んだプロのデザイン手法を応用し、マーケティング理論や消費者行動の視点からデザインを制作しました。パッケージやポスター、売り場の棚作りまですべて学生が手がけ、より魅力的に商品を伝えられるよう工夫しました。

道志村でのフィールドワーク(2023年2月12日)
「予知絵馬」を企画制作した学生たちにインタビューしました。

Qなぜ「予知絵馬」を企画したのですか?
近藤優一郎こんどう ゆういちろうさん 国際商学部4年
私たちは、大学生にとって身近で実用的な商品を作ると同時に、道志村の間伐材を活用することで、環境保護や地域活性化に貢献したいと考えました。また、学生自身が夢や目標を描ける商品を通じて、それを実現する第一歩を踏み出すきっかけを提供したいと思ったのが企画のきっかけです。特に大学生活は、自分の将来を考える重要な時期でもあるので、そのような時期にこうした絵馬を活用することで、未来への意識を高める手助けができればと思っています。

Qこのプロジェクトで苦労したことを教えてください。
鳩野翔大はとの しょうたさん 国際商学部4年
商品化に至るまでのプロセスは、想像以上に難しいものでした。特に、アイデアを形にするだけでなく、消費者目線で『本当に欲しいもの』を考える必要があり、試行錯誤を重ねました。また、商品が完成しただけでは終わらず、その後のプロモーションや売れる仕組み作りも重要でした。そこにかかる時間や労力を実際に経験したことで、開発の本質を深く理解することができました。この経験から、モノづくりとは長期的な視点が求められる仕事だと学びました。同時に、売り場に手作りの鳥居を設置するなど、販売促進のための取り組みも楽しかったです。

Q「予知絵馬」を通じてどのような影響を期待していますか?
山岸杏子やまぎし きょうこさん 国際商学部4年
「予知絵馬」を通じて、道志村の方々に学生たちとの新たな交流のきっかけを提供できればと思います。学生たちがこの絵馬をきっかけに道志村を訪れたり、地域の文化や自然に触れたりすることで、村にとってもプラスの影響があると信じています。また、購入者にとっては、この絵馬を使うことで横浜市立大学への愛着を深め、大学で過ごす日々をより充実したものに感じてもらえれば嬉しいです。

Qプロジェクトを通じて得た学びは何ですか?
前田恵まえだ めぐみさん 国際商学部4年
このプロジェクトを通じて、商品開発は単なるアイデア出しではなく、消費者の声を聞き、それに基づいて改良を重ね、最終的には売れる仕組みを作ることが大切だと実感しました。また、環境保護や地域資源の活用など、SDGsを意識した視点をモノづくりに取り入れることの重要性も実感することができました。この経験は、将来社会人になり、新たな商品やサービスを企画する際に必ず活きると思います。特に、環境や地域との共生を意識した取り組みは、今後どのような分野に進むとしても重要な視点であり、このプロジェクトで得た知見をベースに、より広い視野を持って地域社会に貢献していきたいです。
今回のプロジェクトでは、ポスターやSNS画像のほかに、プロモーションの一環として漫画で伝えることも取り入れてみました。ラフスケッチを描いたところ、メンバーから「いいね!」という声をもらえたのがとても嬉しかったです。
今回の作品は、特に受験生を意識して作成しましたが、もっと広く多くの人に届けられたらと考えています。

前田さんが作成した予知絵馬のストーリー漫画

国際商学部 柴田典子 教授のコメント
山梨県道志村は、横浜市が保有する水源のひとつ(道志川系統)であり、私たちの生活に欠かせない存在です。今回、道志むらおこし会の皆さまのご協力により、間伐材を利用した商品「予知絵馬」という形で、横浜市大生と道志村がつながる研究活動が実現しました。学生たちは、座学で学んできたマーケティング理論や消費者行動分析を実践的に活用して商品開発を行い、さらにパッケージデザイン、販促物の制作に至るまで、クリエイティブな発想力を発揮しました。これらは、マーケティングを専門的に学ぶ学生たちだからこその成果です。今後も、社会の一員として地域や環境とのつながりを大切にし、活躍していってほしいと思います。

用語説明
*1 間伐材 
森林を健全に保つために間伐作業で伐採された木材。樹木が密集し、成長が阻害されることを防ぐため、混みすぎた森や林の木の一部を切り取り、間引くこと(=間伐)が行われる。

「予知絵馬」の紹介
「予知絵馬」は、道志村の間伐材を活用して作られた、木の温もりを感じられるシンプルなデザインが魅力の絵馬型ストラップです。自然素材ならではの木の香りや質感は手に取るだけで心を和ませ、学生たちの日常に溶け込むアイテムとなっています。
この絵馬のキャッチコピーは「横(よこ)市(いち)生の未来を予知する!?」。「横市合格」「資格取得」「落単回避」「卒論撃破」など、さまざまな願いが記された絵馬の中から、自分に合ったものを選ぶことができます。 さらに、新たに登場した「無地絵馬」は、自分自身の願いや目標を自由に書き込めるタイプで、思いを形に残すことができます。学生が夢や目標を描き、その実現を目指す第一歩を後押ししたいという想いが込められています。

環境保護と地域とのつながりを深める、学生の熱意が詰まった「予知絵馬」と「無地絵馬」は、金沢八景と福浦両キャンパスの横浜市立大学生協の購買にて一つ550円(税込)で販売しています。

金沢八景キャンパス 大学生協売り場の鳥居

木材の香りや手触りから自然とのつながりを感じられるこの絵馬は、日々の学びや挑戦を見守る存在となると思いました。道志村と横浜市立大学の協働が生み出した絵馬をぜひ手に取り、あなた自身の未来を描いてみませんか?

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