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人材業界におけるデータサイエンスの可能性とは 第5回データサイエンスセミナーを開催

データサイエンス学部では、実社会におけるさまざまなデータ分析の活用事例について学ぶ「データサイエンスセミナー」を開催しています。第5回のセミナーは、株式会社マイナビ 社長室HRリサーチ部 部長の栗田 卓也氏が登壇し、「人材業界におけるデータサイエンスの可能性」についてお話いただきました。

人材業界でも積極的に活用されはじめたAI技術

人材サービスを中心に、総合情報サービス企業として、幅広い分野に事業領域を広げている株式会社マイナビ。新卒就職情報サイトから転職、アルバイト、人材紹介をはじめ、教育広報やニュースメディア、賃貸住宅や結婚式情報など、さまざまな情報を提供しています。多岐にわたる分野の膨大なデータを蓄積しているのは、同社の大きな強みでもあります。

栗田氏はまず、HR Tech(HRテクノロジー)の最新動向について語りました。HRとはHuman Resourcesの略称で、直訳すると人的財産、人材を意味します。企業では一般的に、人事を指し示す言葉です。

同氏によると、海外では既にAI(人工知能)を使ったデジタル面接が活用されはじめていると言います。採用面接は通常、人と人とが対面して行うものですが、デジタル面接ではスマホを使います。離れた場所でも、ライブ形式や録画などWeb上で面接を行うことができ、採用活動が簡単に評価できるシステムとして注目を集めています。現在は日本語の音声認識精度にまだ課題があるため、国内での導入事例は少ないものの、今後は広がる可能性があるそうです。

AIを活用したゲーム選考も始まっています。これは、Web上でさまざまなゲームを行い、どのように操作したかによりAIが、その人物の能力やリスク意識、行動特性や性格などを判定するものです。その結果から、どんな求人案件がふさわしいのか判断し、企業と人材のマッチング精度を高めることが可能になると言います。ゲーム選考とは少し異なりますが、適性診断をベースにしたマッチングサービスは、既に同社も無償で提供しています。

応募者と会う優先順位を知らせてくれるAI

また、同社は株式会社 三菱総合研究所と共同開発した「AI優先度診断サービス」を事業化しています。過去のエントリーシート等のデータと、その選考結果を基に、AIが「自社にとっての優先度」「人物像」「辞退可能性」を診断するものです。これはAIが応募者を直接的に選別するというものではありません。エントリーの多い企業では2万通を超えるエントリーシートが寄せられます。その中から自社の求める人材像に合った人を導き出して、早めにコンタクトすべき応募者を知らせてくれるサービスです。

いずれは、応募者がSNS上でどのような発言をしたか、ディープラーニングで解析できる日が来るかもしれないといいます。しかし、そこに求められる重要なポイントは、社会人や企業としての倫理観です。データサイエンスの世界は、倫理観こそが重要な要素になると同氏は語りました。

人材業界でも生かせるデータサイエンスの知識

人材業界のビジネスモデルは、マッチングサービスであり、求職者と求人企業・団体を結びつける対面サービスやWebサービスが基本です。人と企業を幸せにするさまざまな技術が求められます。データサイエンスの知識に加え、人材開発やテクノロジーなど各分野の専門知識を学ぶことが大切だとのこと。

最後に、栗田氏は「これから先の40年以上にわたる職業人生において、さまざまな分野でデータサイエンスを活かしてほしい。マイナビもさらにサービスを改善し、常に働く人に寄り添える存在になりたい」と語りました。

セミナーに参加した学生からは、「AI技術などが人材業界でどのように生かされているのかが分かり、興味深い内容だった」「これまで知らなかった分野の知識が得られ、なるほどと思う場面が多かった」「データサイエンスとともに、他の専門分野も学んでいきたいと思った」などの感想が聞かれました。

データサイエンスセミナーは今後も続き、今年度は合計11回の開催が予定されています。

講師プロフィール:
株式会社マイナビ
社長室 HRリサーチ部 部長 栗田 卓也(くりた・たくや)氏

千葉市生まれ。1992年に株式会社マイナビ(旧 株式会社毎日コミュニケーションズ)入社。採用のコンサルタントとして、入社以来一貫して新卒採用の各種業務に携わる。2007年にマイナビ編集長就任。2010年、新設されたHRリサーチセンター・センター長として、新卒採用のマーケット調査やランキング調査等のとりまとめを行う。2015年から社長室HRリサーチ部 部長。日本キャリア開発協会(CDA)会員。

(2018/08/03)

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