診療科・部門案内

炎症性腸疾患(IBD)センター

治療について

内科治療

IBDの活動期には、少しでも早く確実に、安全に炎症を治める治療を行っています。
病気がなかなか寛解期(病気が落ち着いた状態)に入らない場合(=「難治」)や、ステロイドが中止できない(=「ステロイド依存」)場合は、ゆっくりではあっても確実に、病気を寛解導入しステロイドを止める工夫をしています。

内科治療としては、5-アミノサリチル酸(ASA)製剤や栄養療法などの基本治療に加えて、白血球除去療法や、効果の高い各種免疫調節剤(イムラン・タクロリムス・JAK阻害剤など)、生物学的製剤(抗TNFα抗体、エンタイビオ、ウステキヌマブ)などを、病状に応じて組み合わせ、ステロイド中止を図ります。

治療法の選択について、医学的必要性は勿論ですが、学生や社会人などの若い患者さんが多いため、患者さん一人一人のQOLやニーズに併せて治療法や剤形を選ぶなどの工夫を行っています。
また、各種漢方薬を用いた対症療法などもあわせて行っています。2023年以降、新規薬剤が複数登場しますので、今までの治療が上手くいかず困っていた患者さんにも、これらの新規治療を積極的に行うことも可能です。

大量出血や強い炎症を伴うような重症再燃では、潰瘍性大腸炎ではサイクロスポリン療法、クローン病では抗TNFα抗体などの抗免疫治療を積極的に行います。

当センターの最大の特徴は、一般には手術を考慮しなくてはならないような重篤な再燃であっても、内科・外科医が同一部門で診療にあたることにより、積極的に内科治療を行うことが可能なことです。

外科治療

当科におけるIBD手術件数は年間80~100件となっています。

当センターの特徴として、潰瘍性大腸炎では、肛門機能温存と根治性のバランスを考慮した回腸嚢肛門管吻合術、難治例に対する一時的人工肛門を作成しない1期的手術、大腸癌合併例に対する経肛門的内視鏡を用いた粘膜抜去と回腸嚢肛門吻合術、クローン病では個々の病態に対する適切な術式(切除範囲、吻合法)の選択、腸管温存の工夫(狭窄形成術)、複雑痔瘻に対する、肛門機能を温存する
seton(シートン)法などをおこなっています。

小児IBD、IBD合併妊娠

小児のIBDを診られる施設はまだ多いとはいえませんが、当科では小児科と協力して小児(主に高学年以上)のIBD診療にもあたっています。

IBD合併妊娠は国内でも経験が豊富で、総合周産期母子医療センターの協力のもと、2000年以降、当科通院中のIBD患者さん400名以上がほぼ問題なく無事に出産しており、良好な成績をあげています。

小児や妊婦の患者さんの定期的な腸管検査法として、できる限り内視鏡検査の回数は減らし、負担の少ない腸管エコー検査を積極的に取り入れています。