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子宮内膜ポリープに対する外来子宮鏡下手術について

子宮内膜ポリープの疾患情報

子宮内膜ポリープは子宮内膜表面から突出した結節で、内膜腺、血管、間質からなるポリープで、不正出血や不妊症の原因となったり、癌の疑いがある場合には確定診断のため手術による摘出が考慮されます。日本では子宮内膜掻把といって子宮の内部をこすることでポリープを摘出することがありますが、内膜掻把によるポリープの摘出はポリープの取り残しが多く、子宮内癒着の原因になるとされ、海外のガイドラインでは子宮鏡による摘出が推奨されています。子宮鏡による子宮内膜ポリープの摘出は極めて安全で子宮内の癒着も生じないとされています。

  • 子宮内膜ポリープ
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子宮内膜ポリープの検査

超音波、MRI、軟性鏡による子宮鏡検査

子宮内膜ポリープの治療

当院では子宮内膜ポリープの治療に細径硬性子宮鏡を用いています。一般的な子宮鏡下手術に使う器具は径が9mmほどですが、当院の細径硬性子宮鏡は径が3.3*5mmと非常に細いため無麻酔で日帰りで手術を行うことができます。通常の子宮鏡下手術では手術の前に子宮頚管を広げる処置を行いますが、細径硬性子宮鏡では子宮頚管の拡張処置はほとんどの場合必要ありません。当院の検討により子宮頚管拡張処置は強い痛みを起こすことが分かったため、当院ではなるべく子宮頚管拡張処置を行わないで処置を行っています。どうしても子宮頚管拡張処置が必要な場合は局所麻酔(傍頸管ブロック)を行います。当院では局所麻酔の痛み自体もなるべく軽減させるため麻酔に使用する針もかなり細いものを使用するようにしています。当院で無麻酔の細径硬性鏡による子宮鏡下手術を行った方の調査では痛みの程度10段階中痛みが4以下と軽度であった方は子宮鏡挿入時で69%、ポリープ摘出時で79%であり、また痛みが10段階中8以上と高度な痛みを訴えた方は子宮鏡挿入時0%,、ポリープ摘出時で3%でした。
処置の時間はおおよそ5-30分程度、麻酔を行わないため病院の滞在時間も1-2時間程度で、術後も通常の生活がすぐに行えます。入院費用、麻酔費用がかからないため、医療費も入院による子宮鏡下手術より低額で、麻酔による事故のリスクもありません。
当院では子宮内膜ポリープの他、胎盤遺残(胎盤ポリープ、RPOC)、子宮内癒着症候群(アッシャーマン症候群)、抜去困難となった子宮内避妊具の抜去、に対しても細径子宮鏡下手術を行っています。
細径子宮鏡下手術には高度な技術が必要なため、県内でも同様の手術を無麻酔で行うことができる施設は少数です。大きなポリープや多発ポリープ、子宮筋腫などは外来手術では難しい場合があるため、ポリープの形状をみて外来手術が可能か判断します。入院による子宮鏡下手術は2日程度です。