和田淳一郎 国際商学部長が日本公共政策学会の著作賞を受賞!
2025.07.08
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一票の平等~個人還元主義の貫徹
国際商学部長である和田淳一郎教授が昨年末に出版した『一票の平等の政治経済学』(勁草書房)で、日本公共政策学会著作賞を受賞しました。
今回の受賞は、選挙における投票価値の平等に関して、政治経済学的な視点から定数配分・議席配分方式について包括的かつ緻密に議論を展開し、さらに配分のシミュレーションを示されていることが高く評価されたものです。
今回の受賞は、選挙における投票価値の平等に関して、政治経済学的な視点から定数配分・議席配分方式について包括的かつ緻密に議論を展開し、さらに配分のシミュレーションを示されていることが高く評価されたものです。
和田教授に受賞についてコメントをいただきました。
違憲判決も出た1人別枠(1+最大剰余)は論外としても、衆院ブロック定数に使われた最大剰余、今回の衆院定数から使われたアダムズ、衆参両院の比例代表の議席配分に使われているドント、北欧の比例代表制に使われているサンラグ、さらには米下院の定数配分法も、比例配分と呼ばれます。
完全比例配分との距離を近づけるのは最大剰余ですが、総定数を減らすと定数が増える県が出る、人口増加県から減少県への再配分を強いるなどという、実際に起こると政治的に行き詰まるパラドクスを引き起こすことが知られています。また、パラドクスを起こさない除数方式の中でも、各州の間の何らかの平均値の差を取る中から当時の米数学会長が推奨した米下院方式と人口の多い州と少ない州の間の衡平性から推奨されるサンラグ方式の間では論争が続いています。
この本は、人と人との平等にこだわり、アダムズ(切上、除数閾値下限)、米下院(閾値相乗平均)、閾値対数平均、閾値identric平均、サンラグ(四捨五入、閾値相加平均)、ドント(切り捨て、閾値上限)を一つの軸に導出し、閾値対数平均方式を推奨した一連の研究をまとめたものになります。
日本の選挙制度のうち、一票の不平等についてはこの本で一応の区切りが付いたと考えており、今年度から始まる科学研究費助成事業では、もう一つの特徴である大選挙区単記非移譲式投票制*1について取り組んでおります。
違憲判決も出た1人別枠(1+最大剰余)は論外としても、衆院ブロック定数に使われた最大剰余、今回の衆院定数から使われたアダムズ、衆参両院の比例代表の議席配分に使われているドント、北欧の比例代表制に使われているサンラグ、さらには米下院の定数配分法も、比例配分と呼ばれます。
完全比例配分との距離を近づけるのは最大剰余ですが、総定数を減らすと定数が増える県が出る、人口増加県から減少県への再配分を強いるなどという、実際に起こると政治的に行き詰まるパラドクスを引き起こすことが知られています。また、パラドクスを起こさない除数方式の中でも、各州の間の何らかの平均値の差を取る中から当時の米数学会長が推奨した米下院方式と人口の多い州と少ない州の間の衡平性から推奨されるサンラグ方式の間では論争が続いています。
この本は、人と人との平等にこだわり、アダムズ(切上、除数閾値下限)、米下院(閾値相乗平均)、閾値対数平均、閾値identric平均、サンラグ(四捨五入、閾値相加平均)、ドント(切り捨て、閾値上限)を一つの軸に導出し、閾値対数平均方式を推奨した一連の研究をまとめたものになります。
日本の選挙制度のうち、一票の不平等についてはこの本で一応の区切りが付いたと考えており、今年度から始まる科学研究費助成事業では、もう一つの特徴である大選挙区単記非移譲式投票制*1について取り組んでおります。
用語説明
*1 大選挙区単記非移譲式投票制:複数の政治家を一つの選挙区で選出するが、その際有権者は1人しか選べず、死票、余剰票といったものを他の候補に回すこともできない選挙制度。日本では一般的だが、政策の近いもの同士の(望ましくない)票の奪い合いを起こしがちで、候補者乱立もあいまって、共倒れ、片倒れ、トップ当選者と最下位当選者の背後にある得票数(有権者数)が数倍にもなることなど、代議制民主主義の二大原理である、比例代表原理にも多数代表原理にも抗う選挙制度となる。
*1 大選挙区単記非移譲式投票制:複数の政治家を一つの選挙区で選出するが、その際有権者は1人しか選べず、死票、余剰票といったものを他の候補に回すこともできない選挙制度。日本では一般的だが、政策の近いもの同士の(望ましくない)票の奪い合いを起こしがちで、候補者乱立もあいまって、共倒れ、片倒れ、トップ当選者と最下位当選者の背後にある得票数(有権者数)が数倍にもなることなど、代議制民主主義の二大原理である、比例代表原理にも多数代表原理にも抗う選挙制度となる。