大学院生 石賀浩平さんが、日本高血圧学会学術総会でYIA優秀賞を受賞!
2024.12.02
- TOPICS
- 医療
- 研究
高コレステロール血症のない治療抵抗性末梢動脈疾患患者に対するLDLアフェレシス療法の効果について報告
医学研究科医科学専攻 博士課程3年の石賀浩平さんが、2024年10月12~14日に福岡国際会議場で開催された第46回日本高血圧学会総会において、横浜市立大学附属病院が研究実施施設として施行した、厚生労働省先進医療B研究事業「高コレステロール血症を合併しない治療抵抗性末梢動脈疾患に対するLDLアフェレシス*1療法の効果解析研究(LETS-PAD study)」について発表し、 Young Investigator’s Award(YIA)優秀賞を受賞しました。
発表題目
高コレステロール血症を合併しない治療抵抗性末梢動脈疾患に対するLDLアフェレシス療法は、ABIとQOLを改善させる(LETS-PAD study)
今回の発表内容について石賀さんに解説していただきました。
「末梢動脈疾患(PAD)」は、動脈硬化などのため下肢の血流が悪化する病気で、患者さんの生活の質(QOL:quality of life)や生命予後の悪化をもたらし、従来の治療では十分な改善が得られない患者さんがいます。
LDLアフェレシスは、現状では高コレステロール血症を合併した従来治療抵抗性のPAD患者に限定して用いられていますが、これまでの研究で、LDLアフェレシスにはLDL除去以外のさまざまなPAD治療メカニズムがあることが示唆されていました。そのため高コレステロール血症を合併していないPADに対しても、LDLアフェレシスが有効である可能性が考えられていましたが、実際に有効かどうかは明らかではありませんでした。
そこで本研究では、血中コレステロール値が正常範囲内の従来治療抵抗性PADに対象を限定してLDLアフェレシスを行い、下肢の血流の指標であるABI、患者のQOLが両方とも治療後に改善していることを示しました。本研究の結果からは、LDLアフェレシスが高コレステロール血症の有無にかかわらずPADに対して有効である可能性が示されました。
高コレステロール血症を合併しない治療抵抗性末梢動脈疾患に対するLDLアフェレシス療法は、ABIとQOLを改善させる(LETS-PAD study)
今回の発表内容について石賀さんに解説していただきました。
「末梢動脈疾患(PAD)」は、動脈硬化などのため下肢の血流が悪化する病気で、患者さんの生活の質(QOL:quality of life)や生命予後の悪化をもたらし、従来の治療では十分な改善が得られない患者さんがいます。
LDLアフェレシスは、現状では高コレステロール血症を合併した従来治療抵抗性のPAD患者に限定して用いられていますが、これまでの研究で、LDLアフェレシスにはLDL除去以外のさまざまなPAD治療メカニズムがあることが示唆されていました。そのため高コレステロール血症を合併していないPADに対しても、LDLアフェレシスが有効である可能性が考えられていましたが、実際に有効かどうかは明らかではありませんでした。
そこで本研究では、血中コレステロール値が正常範囲内の従来治療抵抗性PADに対象を限定してLDLアフェレシスを行い、下肢の血流の指標であるABI、患者のQOLが両方とも治療後に改善していることを示しました。本研究の結果からは、LDLアフェレシスが高コレステロール血症の有無にかかわらずPADに対して有効である可能性が示されました。
石賀さんのコメント
このような賞をいただけたことを光栄に思います。ひとえに研究をご指導くださった涌井広道先生、植田瑛子先生をはじめ、研究室の皆さまのおかげであり、深く感謝申し上げます。研究をさらに発展させるべく今後も励んで参りますので、何卒よろしくお願いいたします。
指導教員 田村功一主任教授(市民総合医療センター病院長)のコメント
循環器・腎臓・高血圧内科学教室では、1853年黒船来航の横浜・神奈川の歴史に根ざす「門戸開放」、サイエンス・アカデミアの高みをめざす「研究重視」、 地域貢献重点の「患者第一」を理念としています。そして、私どもの教室のモットーは、『ともにめざそう!“心腎代謝連関病”病態連関制御を通じた”From molecules to the whole body, and to the Society”実現のための横浜・神奈川発のエビデンス創出』です。また、私自身、医学研究科主任教授と附属市民総合医療センター病院長を兼務していることもあり、教室として医学研究科・国際マネジメント研究科・附属病院および附属市民総合医療センターが一体となっての研究・診療・教育・地域貢献を通じての優秀な医療人材の輩出にも力を入れています。今回、厚生労働省への申請段階に当時本学医学部教授であった山中竹春現横浜市長にご指導いただきました。本学附属病院にて先進医療B研究事業として実施したLETS-PAD studyの研究結果について、石賀医師が高血圧学会総会において発表し本賞を受賞できたことは、多くの大学院生と指導教員にとっても大きな励みになると思います。2025年9月27日(土)~9月28日(日)に当教室が主催してパシフィコ横浜ノースにて開催する第29回日本心血管内分泌代謝学会学術総会では、このようなトランスレーショナル研究にもフォーカスしようと考えています。
用語解説
*1 LDLアフェレシス:LDL(Low Density Lipoprotein)は動脈硬化の原因になる悪玉コレステロールの代表的成分。LDLアフェレシスは、血液透析のように血液を体外で循環させ、血液中に含まれるLDLコレステロール等の動脈硬化促進性物質を除去する治療法。本研究では、デキストラン硫酸カラム(リポソーバーⓇ LA-15)を用いた血漿吸着を実施した。
このような賞をいただけたことを光栄に思います。ひとえに研究をご指導くださった涌井広道先生、植田瑛子先生をはじめ、研究室の皆さまのおかげであり、深く感謝申し上げます。研究をさらに発展させるべく今後も励んで参りますので、何卒よろしくお願いいたします。
指導教員 田村功一主任教授(市民総合医療センター病院長)のコメント
循環器・腎臓・高血圧内科学教室では、1853年黒船来航の横浜・神奈川の歴史に根ざす「門戸開放」、サイエンス・アカデミアの高みをめざす「研究重視」、 地域貢献重点の「患者第一」を理念としています。そして、私どもの教室のモットーは、『ともにめざそう!“心腎代謝連関病”病態連関制御を通じた”From molecules to the whole body, and to the Society”実現のための横浜・神奈川発のエビデンス創出』です。また、私自身、医学研究科主任教授と附属市民総合医療センター病院長を兼務していることもあり、教室として医学研究科・国際マネジメント研究科・附属病院および附属市民総合医療センターが一体となっての研究・診療・教育・地域貢献を通じての優秀な医療人材の輩出にも力を入れています。今回、厚生労働省への申請段階に当時本学医学部教授であった山中竹春現横浜市長にご指導いただきました。本学附属病院にて先進医療B研究事業として実施したLETS-PAD studyの研究結果について、石賀医師が高血圧学会総会において発表し本賞を受賞できたことは、多くの大学院生と指導教員にとっても大きな励みになると思います。2025年9月27日(土)~9月28日(日)に当教室が主催してパシフィコ横浜ノースにて開催する第29回日本心血管内分泌代謝学会学術総会では、このようなトランスレーショナル研究にもフォーカスしようと考えています。
用語解説
*1 LDLアフェレシス:LDL(Low Density Lipoprotein)は動脈硬化の原因になる悪玉コレステロールの代表的成分。LDLアフェレシスは、血液透析のように血液を体外で循環させ、血液中に含まれるLDLコレステロール等の動脈硬化促進性物質を除去する治療法。本研究では、デキストラン硫酸カラム(リポソーバーⓇ LA-15)を用いた血漿吸着を実施した。