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「横浜の未来を共に創る!」キャリア形成実習レポート

2024.10.21
  • TOPICS
  • キャリア・就職
  • グローバル
  • 教育

外国人留学生と日本人学生が多様な視点で協働し、新たな価値を創造し、地域の未来を切り拓く

8月19日から8月23日の5日間にわたり、京セラ株式会社みなとみらいリサーチセンターの共創スペース「COMPASS」や横浜市立大学みなとみらいサテライトキャンパスで外国人留学生と日本人学生による共修科目「キャリア形成実習(横浜の産業と企業の理解)」が開講されました。
この実習では、外国人留学生11名(国際教養学部1名・国際商学部1名・国際マネジメント研究科9名)、と日本人学生21名(国際教養学部7名・国際商学部14名)が6チームに分かれて、神奈川県内の企業が抱える課題を解決するためのアイデアを提案しました。
参加者した学生たちは、協力企業の実際の取り組み事例を学びながら、建設的な議論を進める力を身につけ、多様な背景を持つメンバーとの協働を通じて、その難しさと楽しさを体験し、キャリアデザインを深めることを目指しました。

企業の取り組み事例を紹介し、実習の課題テーマを出題

1日目に、ゲスト講師の横浜未来機構事務局長の亀若氏から「みなとみらいの歴史と特徴」についての講演をいただいた後、協力企業の京セラ株式会社の大崎氏と森永乳業株式会社の橋本氏から実習の課題テーマが発表されました。
課題テーマはこちら
「みなとみらいから考える地球沸騰化を防ぐまちづくり」(京セラ株式会社)
「酪農家・乳業メーカー・生活者、3者が共創するサスティナブルなビジョン」(森永乳業株式会社)

横浜未来機構
事務局次長 亀若 智洋氏

京セラ株式会社
オープンイノベーション推進部
責任者 大崎 哲広氏

森永乳業株式会社 研究本部
フードソリューション研究所 アプリケーション研究室 橋本 一平氏

6チームそれぞれがこの課題のどちらかを選定して、解決策の提案をまとめていきます。実習の限られた時間の中でどうやって取り組んでいったのでしょうか。参加した学生さんの声を聞きました。
グループワークに取り組む小武内さん

キャリア形成実習に参加した学生の声

小武内おぶない 愛花  あいかさん 国際商学部1年
この実習に取り組む意気込みや参加した目的を聞かせてください!
この実習に参加した理由は、異文化交流への興味と世界で活躍する企業の声を直接聞くことで、自分のキャリアを深く考える機会を得たいと以前から考えていたからです。様々なバックグラウンドを持ったメンバーと共に、新たな視点で学生らしい解決策を提案したいと思ったことでした。また、この経験が自分のキャリア形成において貴重な参考資料になることを期待し、参加しました。高校時代は、集団行動や周囲に合わせることが多く、自分自身が固定概念に縛られていると感じていました。留学生と一緒に取り組んだことで、多角的な視野を身につけ、今まで考えたことのない独創的な提案をプレゼンテーションしたいです。
5日間の実習を通じて、最も印象に残ったことは?
2日目に実施したブレインストーミングが、特に印象に残っています。企業から課題として出されたテーマが非常に多岐にわたっていたため、どこから手をつければよいか戸惑いました。しかし、解決策の内容にこだわるよりも、まずは思ったことを言語化することで、自分やメンバーの考えを整理し、理解することができました。多くの案の中からいくつかをピックアップしたり、合体させたりしているうちに、具体性のある解決策に近づいていく過程がとても楽しかったです。
プレゼン終了後の小武内さん(右)と
メンバー
留学生の視点は、チームにどのような影響を与えましたか?
日本の学生メンバーは、同じような概念や社会の仕組みの中で生活してきたため、課題テーマの一つ「地球沸騰化」への取り組みについて、お互いに知っていることの共通点が多かったです。しかし、留学生という異なるバッググラウンドを持つメンバーが加わることで、私たちがこれまでに聞いたことがない海外の取り組みを学ぶことができ、日本が社会課題に対して、どれほど真剣に取り組んでいないかを感じました。そのおかげで、私たちのチームは、留学生のアイデアにより、日本では行われていない新たな取り組みを提案することができました。チーム全体の視野が広がり、より多様な解決策を考えることができたと思います。
今後のキャリア形成に向けた抱負を教えてください!
今回、多くの経験を積んだ社会人の方々の話を聞いて、まずは自己分析を行い、自分は何を好きなのかを発見したいと考えました。苦手だと思っていたことが新たな可能性になることもあるため、さまざまなことに挑戦し、自分に適した道をじっくり探していきたいです。また、課題の解決策を考える際には、必死になって答えを見つけようとするのではなく、ブレインストーミングなどを通じてアイデアを言語化することが解決の近道だと気づきました。今後キャリア形成においては、自分には多くの可能性があること、そして答えは一つではないということを意識し、新しい可能性を追求していきたいと思います。
内海さん(中央)とチームの学生たち
内海うちうみ 佳鈴  かりんさん 国際教養学部1年
今回の実習で発揮できたスキルを教えてください!

私が、これまでの経験で生かすことができたと思うスキルは、スケジュール管理力です。高校時代に吹奏楽部の部活動で演奏会に向けて練習のスケジュールを逆算して計画をしました。演奏会の当日は、分単位でタイムスケジュールを決め、円滑に進行させるために努力しました。この経験が、時間の使い方を考える力を育んでくれたと実感しています。この実習でも、限られた時間の中で自分の計画力を生かし、作業を効果的に進める提案ができたと思いました。
実習を通じて、最も印象に残ったことは何ですか?
企業から与えられた課題に対する解決案をメンバー同士で出し合った際のことです。自分では思いつかないような多様な意見が出てきて、特に留学生と日本人、また日本人同士でも育った環境や経験の違いから、発想がこれほど変わるのかと驚きました。この経験を通じて、一人一人の違いが尊いものであり、多様な視点が集まることでより良い解決策が生まれることを実感しました。
グループワークに取り組む内海さん(右)
横浜についての理解は変わりましたか?
大きく変わりました!特に、「みなとみらい」という地域が計算されて設計された都市であることを知り、街の構造や新しい試みを積極的に取り入れる姿勢に感銘を受けました。こうした計画的な都市づくりは地域の魅力を高める要素だと感じました。また、自分たちの新しい意見をまちに広めることで、横浜をさらに心地よい場所にできる可能性があると考えるようになりました。
今後のキャリア形成に向けた抱負を教えてください!
この実習を通じて、自分とは異なる価値観や考え方を持つ人々と関わることができ、多くの学びがありました。大学生として、さまざまなキャリアの形成方法に触れながら、他者との違いを理解し、自分がどのように生きていきたいのかを広い視点から考えていきたいと思います。多様な価値観に触れることで、自分のキャリアをより豊かにしていきたいです。
グループワークに取り組むLUさん
LU BORANロハクゼンさん国際マネジメント研究科1年(中国からの留学生)
この実習に参加した目的を教えてください!

私たちがこれまで学んできたのは、本の中の理論的な知識です。この実習を通じて、企業から提供された実践的な課題解決の提案を考えることで、理論とは異なる実践的な経験を積み、企業の視点から問題を分析し、問題を解決したいと思い、参加しました。

横浜についてどのような印象を持っていますか?
留学生として、横浜は非常に住みやすいと感じています。外国人に対するサポートが充実しており、多くの国際イベントや文化交流の機会があるため、異国にいながらも安心して生活できる都市だと思います。自然と都市が共存する美しい街並みも印象深いです。横浜は「ガーデンシティ」として知られ、その名の通り、港や公園、緑豊かなエリアが広がっており、都会の便利さと自然の美しさを同時に楽しめる場所だと思います。


LUさん(左から2番目)と同じチームの学生たち
実習を通じて、最も印象に残ったことは何ですか
最も印象に残っているのは、京セラさんや森永乳業さんという二つ会社に対する新たな理解が得られたことです。京セラの創業者である稲盛和夫氏のことは知っていましたが、京セラの歴史や事業内容についてはあまり知りませんでした。今回の実習を通じて、京セラが情報、自動車関連、環境、医療などの分野を手がける複合企業であることを知ることができました。同様に、乳製品が市場に出る前にどのようなプロセスを経るのかについて考えたことがなかったのですが、森永乳業の橋本さんの説明から多くのことを学ぶことが できました。本当に感謝しています。
留学生としての視点が、チームにどのような影響を与えたと思いますか? 
中国における課題に関連する最新の情報を、チームメンバーと共有することができ、課題の解決に役立ちました。同様に、日本人学生からも、今まで知らなかった情報をたくさん学ぶことができました。最終的な解決策には、両国の要素を取り入れることができました。この異文化交流は、課題解決策に大きな推進力を与えてくれました。

今後のキャリア形成に向けた抱負を教えてください! 
異なる文化的背景や専門分野を持つメンバーと協力をすることで、私は複数の視点やアプローチに触れることができました。この経験のおかげで、単一的な見方を避け、複数の視点から柔軟に課題に取り組むことができるようになりました。この経験は、将来イノベーションを実現するために非常に重要であると思います。
実習の様子 京セラみなとみらいリサーチセンターCOMPASS
みなとみらいサテライトキャンパス
キャリア支援コーディネーターの河瀬恵子さん
「キャリア形成実習」について企画・運営を担っているキャリア支援コーディネーター河瀬さんに教えてもらいました! 
「外国人留学生と日本人学生、そして横浜市内の産官学各機関を担う社会人が、お互いの違いを学び合いながら、横浜の産業の未来に新しい価値を提供する講義をつくりたい」

その想いから、令和元年度からこの講義が誕生しました。本学は、横浜国立大学と共に、文部科学省委託事業「ヨコハマ・カナガワ留学生就職促進プログラム」の修了認定対象科目を設置しています。

この講義では、学年や専攻が異なる外国人留学生と日本人学生が混成チームを形成し、横浜市や神奈川県にゆかりのある企業様から出題されたテーマに対して、アイデアを提案します。年齢や価値観、生まれ育った地が異なる学生たちが、5日間という短い時間で企業のテーマに真剣に取り組むため、企業の皆様からは「社会人の自分たちこそ多様な背景を持つ学生から学びたい」と考え、対等な目線で学生と向き合い、毎年ご協力をいただいています。そのため、講義のコンセプトづくりから出題テーマの検討に至るまで、協力企業の皆さまも事前に多くの時間を費やして一緒に取り組んでくださっています。

本講義に関わるすべての方が、お互いの違いを乗り越え、自身のキャリアについて振り返る機会にしてほしいと強く願いながら、この難しくて最高に楽しい講義を進行しています。
取材後記
「キャリア形成実習」では、外国人留学生と日本人学生が5日間のプログラムを通じて、共に学び合い、貴重な経験を共有することができました。異文化交流やキャリアへの関心をもって集まった学生の皆さんは、実習を終えた後には視野が大きく広がっていました。学生の皆さんは、ブレインストーミングを通じて、アイデアを言語化することの重要性を学び、留学生との協働によって独創的な提案をする自信を得たと語っています。また、異なる文化的背景を持つメンバーとの協力が、柔軟な問題解決能力を育むことにつながったと話してくれました。この実習を通じて、多様な視点を取り入れながら、具体的な解決策を提案する力を養い、自己分析を行うことで自らのキャリアデザインに対する理解も深められました。
この実習に参加した全員が自分の成長を実感し、今後のキャリア形成のための貴重な経験となりました。

横浜市立大学では、多様な学生が学び合う機会を通じて、学生達が自律的なキャリア形成を行えるようなサポートプログラムを実施しています。
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