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小島伸彦教授らの論文が日本生物工学会の2024年度(第32回)生物工学論文賞を受賞

2024.10.15
  • TOPICS
  • 研究
  • 理学部
横浜市立大学大学院生命ナノシステム科学研究科の小島伸彦教授らの研究グループが2023年に「Journal of Bioscience and Bioengineering(以下、JBB)」に発表した原著論文が、日本生物工学会の2024年度(第32回)生物工学論文賞に選ばれました。この賞は、前年に発行された学会誌(生物工学会誌及びJBB)に原報文(Regular paper)として発表された論文の中から、特に生物工学の進歩に寄与した論文に対して授与されるものです。9月8日(日)に東京工業大学(現 東京科学大学)・大岡山キャンパス・70周年記念講堂で開催された第76回日本生物工学会大会にて受賞式典が挙行され、小島教授が代表として参加しました。
授賞式の様子(右が小島教授)
©2024日本生物工学会
生物工学論文賞の対象となった論文のタイトルは「Enhancement and maintenance of hepatic metabolic functions by controlling 3D aggregation of cryopreserved human iPS cell-derived hepatocyte-like cells」(凍結保存したヒトiPS細胞由来肝細胞様細胞の3次元凝集制御による肝代謝機能の強化と維持)です。筆頭著者は研究実施当時に本学大学院生命ナノシステム科学研究科の大学院生であった田尾文哉さんで、金沢大学と株式会社リプロセルとの共同研究となっています。ヒトiPS細胞由来の肝細胞は“肝細胞様細胞”と呼ばれます。これは、肝細胞の特徴は備えているが代謝機能などはまだまだ低いため、厳密には肝細胞ではないという意味です。スフェロイドと呼ばれる、数千個の細胞をボール状に組織化させた3次元培養法は、肝細胞のさまざまな機能を向上させる一つの手段です。しかし、凍結された市販のヒトiPS細胞由来肝細胞様細胞は接着力が低く、スフェロイド培養を行うことが困難でした。小島教授らは、メチルセルロースを分散した培地を巧みに利用することで、接着力が低い細胞でもスフェロイド培養を可能とする手法を開発しており、今回のヒトiPS細胞由来肝細胞様細胞もスフェロイドとすることに成功しました。その結果、ヒトiPS細胞由来肝細胞様細胞は飛躍的に高い肝機能(例えば、CYP3A4の遺伝子発現量では300倍以上)を示すことが明らかとなりました。本論文は、ヒトiPS細胞由来の肝細胞様細胞が、スフェロイド培養によってより本物の肝細胞に近づくことを示しており、当該細胞の創薬支援や再生医療への応用を一層促進するものです。
論文情報
タイトル:Enhancement and maintenance of hepatic metabolic functions by controlling 3D aggregation of cryopreserved human iPS cell-derived hepatocyte-like cells
著者:Fumiya Tao1, Sanshiro Hanada1, Kazuya Matsushima1, Hiroshi Arakawa2, Naoki Ishida2, Yukio Kato2, Saya Okimura3, Tomohisa Watanabe3, and Nobuhiko Kojima1,*
1 Yokohama City University, 2 Kanazawa University, 3 REPROCELL Inc, * Corresponding author
掲載雑誌:Journal of Bioscience and Bioengineering
DOI:10.1016/j.jbiosc.2022.10.006
お問い合わせ先
横浜市立大学 広報担当
mail: koho@yokohama-cu.ac.jp
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