YCU 横浜市立大学
search

データサイエンス学部の山川藍鈴さんが、JPM学会2024年度研究助成論文に選定されました!

2024.09.24
  • TOPICS
  • 学生の活躍
  • 研究
  • データサイエンス学部

ブランド・商品名からPOP広告へ ~感覚マーケティングの拡張~

データサイエンス学部4年の山川藍鈴さんが、日本プロモーショナル・マーケティング(JPM)学会が募集した2024年度研究助成事業において、同学会の役員会の審査の結果、「2024年度研究助成論文(研究レポート) 」に選定 されました。
JPM学会の研究助成活動は、大学生や大学院生を対象に、プロモーションビジネスへの実務的示唆の期待できる研究計画に対して助成を行うものです。プロモーションビジネスの今日的視点、あるいは次世代への提言という観点も含め、新たな視点と自由度の高い果敢な研究が期待されています。
研究者
データサイエンス学部
データサイエンス学科4年

山川やまかわ 藍鈴  あいり さん


指導教員
データサイエンス学部
上田 雅夫教授 (行動計量)

選定内容
日本プロモーショナル・マーケティング学会
2024年度 研究助成論文(研究レポート)  選定

研究題目
POP 広告による商品イメージの改善方法
~オノマトペ・デザイン要素を活用した調査を通して~
今回の研究内容について山川さんに解説していただきました。
市場の成熟により、コモディティ化*1が深刻な問題となる中、感覚マーケティング(sensory marketing)が注目されています。感覚マーケティングとは、「消費者の感覚に強く影響を与え、彼らの知覚、判断、行動に影響を与えるマーケティング」[1]ことであり、これまで数多くの研究により、その有用性が確認されています。例えば、Trninic(2023)によるブランド名の研究では、一般的に、「柔らかさ」といった属性と関連付けられる商品(例 ボディウォッシュ)には丸さを表す音(m、b)が 含まれるブランド名を、「鋭さ」と関連性の高い商品(例 カミソリ)には鋭さを表す音(k、t)が含まれるブランド名を、消費者はより好む傾向にあることを明らかにしました。したがって、ブランド名や商品名のイメージが商品属性と反する場合、当該の商品やブランドにとって望ましい状態でないと考えられます。しかし、商品名の変更は難しく、意味との兼ね合いから自由な操作ができないという制約があり、商品名からのイメージと商品属性が一致しない商品に対して、どのようなアプローチが有効であるかといった研究は報告されていません。
そこで、本研究では、研究対象をブランド名や商品名から自由度の高いPOP広告(Point Of Purchase advertising)に拡張し、商品名が商品特性のイメージと不一致な商品に対して、感覚に訴えるPOP広告を活用することで、消費者の好ましい反応の創出、およびイメージ改善の方法を明らかにします。
本研究を通して、POP広告の感覚マーケティングへの適用の可能性を示し、感覚マーケティングの研究のさらなる発展に寄与できることを期待します。
山川 藍鈴さんのコメント
この研究は、大変熱を入れ計画しましたので、このたび採択していただきましたこと、非常に嬉しく思います。この研究に至ったきっかけは、3年次にゼミで出場したデータ解析コンペティションで「音象徴」*2に興味を持ったことがきっかけです。「データサイエンス」という響きには理系的要素を強くイメージされる方も多いと思いますが、データサイエンス的アプローチで「感覚」という曖昧な存在の研究もできる「面白さ」を兼ね備えていることを、多くの方に知っていただきたいです。また、本研究を通して、私にとっては初めての試みである消費者調査を実施します。消費者調査は簡単に思われるかもしれませんが、実は考慮すべき点が多く、日々苦戦しながら学んでおります。この研究を終える頃には、データサイエンティストとして、さらなる成長を遂げていることを期待し、これからも精進いたします。
指導教員 上田 雅夫教授のコメント
山川さんのコメントにある通り、研究助成が認められたこの研究は、昨年度のデータ解析コンペティションの研究がきっかけになっています。データ解析コンペティションで気になった点を研究に発展させ、受賞に至った点は、ひとえに本人の日頃からの努力の賜物と思います。
参考文献
[1] Krishna, A. (2012). An integrative review of sensory marketing: Engaging the senses to affect perception, judgment and behavior, Journal of Consumer Psychology, 22, 332–351.

用語説明
*1 コモディティ化:ある商品やサービスが市場全体で均一化し、差別化が困難になっている状態。
*2 音象徴(sound symbolism):特定の音が特定のイメージを想起させる現象であり、心理学や音声学、マーケティングの分野において研究が進められてきた。
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SUSTAINABLE DEVELOPMENT GOAL

  • 04.質の高い教育をみんなに