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大学院生 錦戸悠斗さんが、日本質量分析学会で学生論文賞を受賞!

2024.07.17
  • TOPICS
  • 学生の活躍
  • 研究
生命ナノシステム科学研究科 博士前期課程2年(物質システム科学専攻)の錦戸悠斗さんが、日本質量分析学会において学生論文賞を受賞しました。
受賞者
生命ナノシステム科学研究科 博士前期課程2年
(物質システム科学専攻)
錦戸にしきど 悠斗 ゆうとさん

指導教員
生命ナノシステム科学研究科
関本 奏子 准教授(質量分析学)

受賞内容
日本質量分析学会
学生論文賞

論文題目
タイトル:Analysis of Volatile Esters and Alkanoic Acids by an Atmospheric Pressure Corona Discharge Ionization Collision-Induced Dissociation Mass Spectrometry in Positive-Ion Mode: Ionization, Fragmentation Patterns, and Discrimination between Isomeric Compounds
著者:Yuto Nishikido, Kanako Sekimoto
掲載雑誌 :Mass Spectrometry
DOI :10.5702/massspectrometry.A0127
今回の論文内容について錦戸さんに解説していただきました。
本論文では、香り成分として有名なエステルの異性体を、質量分析によって識別する方法について論じました。エステル(R1-COO-R2)は、リンゴやイチゴなど、果物の香りに多く含まれる成分ですが、その種類は様々です。また、同じ元素組成のエステルでも、酸側(R1)とアルコール側(R2)の組成が異なる異性体が多く存在します。本研究では、大気圧コロナ放電イオン化タンデム質量分析法によって得られる、エステルのプロトン付加分子のフラグメンテーションを読み解くことで、エステル全体の元素組成と、酸側またはアルコール側の炭素数を識別できることを見出しました。
エステルの異性体を識別するために、これまでは、ガスクロマトグラフィー質量分析(GC/MS)法が多く用いられてきましたが、この手法では、サンプルの捕集や化合物の分離に時間がかかります。一方、本研究で用いた大気圧コロナ放電イオン化法タンデム質量分析法によるフラグメンテーションによる識別では、サンプルの捕集や化合物の分離は不要で、リアルタイムに一斉にエステル異性体を解析することが可能です。現在は、本手法を用いて、様々な品種のリンゴの発散香気に含まれるエステル異性体の分布を調べています。
錦戸悠斗さんのコメント
今回このような賞を賜り、大変嬉しく思っています。元々果物の香りに関する研究を行いたく、その前段階として香りに多く含まれるエステルの識別に関する研究を始めました。現在は、本研究を用いて実際のリンゴの香りを分析し、複数の学会での発表を行っています。
ここまでの研究成果を挙げられたのも、指導教員の関本先生、および熱いフィードバックをくださった研究室の皆さんのおかげです。本当にありがとうございます。
指導教員 関本 奏子准教授のコメント
錦戸くん、このたびの受賞、大変おめでとうございます! 錦戸くんは、学部3年生の後期に当研究室に配属されてから継続して、リンゴの香気成分に関する質量分析研究に取り組んできました。リンゴの香りの大部分は飽和エステルですが、その種類は多様で、「質量分析のデータから、エステルの元素組成や異性体をどのように見分けていくか?」といった解析法の構築から始めていきました。現在は本手法によって、リンゴの発散香気成分に含まれるエステル異性体の分布を詳細に解析することができ、新たな知見も得られてきています。
錦戸くんは、本研究を通じて、自身で実験系をデザインし、能動的に動く力を高めてきたように思います。研究を楽しみながら、そういった能力をさらに向上させていってください。今後の研究の展開も期待しています。
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