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大学院生 保科 隼佑さんが、日本薬学会第144年会で学生優秀発表賞を受賞!

2024.05.20
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  • 学生の活躍
  • 研究
  • 理学部
生命医科学研究科 博士後期課程1年(創薬再生科学研究室所属)の保科 隼佑さんが、2024年3月28日(木)~31日(日)にパシフィコ横浜で開催された日本薬学会第144年会において、「O-GlcNAcプロテオミクス手法の開発とパーキンソン病モデル細胞の神経分化におけるO-GlcNAc修飾の網羅的解析」について発表し、学生優秀発表賞(口頭発表)を受賞しました。
受賞者
生命医科学研究科 博士後期課程1年
(創薬再生科学研究室所属)
保科ほしな 隼佑 しゅんすけさん

指導教員
生命医科学研究科
川崎 ナナ 教授(糖鎖生物学)


受賞内容
日本薬学会 第144年会
学生優秀発表賞(口頭発表)


発表タイトル
O-GlcNAcプロテオミクス手法の開発とパーキンソン病モデル細胞の神経分化におけるO-GlcNAc修飾の網羅的解析
今回の発表内容について保科さんに解説していただきました。
我々の体を構成する細胞は、様々なタンパク質を有しています。タンパク質の合成時には、マンノースなどからなる糖鎖が結合し、タンパク質が正しい機能を発揮するために、重要な役割を持ちます。さらに、近年、糖鎖修飾はアルツハイマー病やパーキンソン病 (PD) などで知られる神経変性疾患と関係があるという報告が増えてきました。PDでは、α-シヌクレインへのO結合型N-アセチルグルコサミン (O-GlcNAc) 修飾の増加により、凝集化が抑制されたことが報告されました。α-シヌクレインの凝集化は神経細胞の脱離と脳の萎縮を引き起こす可能性があるため、O-GlcNAcとPDの関係が注目されます。しかし、O-GlcNAc修飾タンパク質は存在量が少なく、その網羅的な定量解析法は確立されていませんでした。そこで、新たなO-GlcNAc修飾タンパク質の網羅的解析法(O-GlcNAcプロテオミクス手法)を構築し、PD特異的な変動を示すO-GlcNAc修飾タンパク質を明らかにすることを目指しました。
新たなO-GlcNAcプロテオミクス手法として、データ非依存的取得質量分析法 (DIA-MS)を応用しました。DIA-MSでは、事前にO-GlcNAc修飾ペプチドのスペクトルをライブラリ化することで、微量タンパク質でも簡便な操作で網羅的な定量結果を獲得することができます。今回は、iPS細胞から小麦胚芽レクチン (WGA) を用いてO-GlcNAc修飾タンパク質を濃縮し、ライブラリを構築しました。そして、PDの家族性変異であるLRRK2 (Leucine rich repeat kinase 2) のG2019S変異が導入されたPDモデル細胞と野生型細胞それぞれに由来する神経前駆細胞と神経細胞でO-GlcNAc修飾ペプチドの相対定量を実施しました。その結果、PDモデル細胞では、神経分化に伴い一部のタンパク質のO-GlcNAc修飾が低下することが示唆されました。今後は、より網羅的にO-GlcNAc修飾タンパク質を解析することで、O-GlcNAcとPDの関係を明らかにしたいと考えています。
保科 隼佑さんのコメント
この度は、多くの発表の中から名誉ある賞に選出いただき、大変光栄に存じます。川崎ナナ教授をはじめとする、創薬再生科学研究室の皆様からの熱心なご指導・ご協力の賜物です。この場をお借りして、心より厚く御礼申し上げます。
日本薬学会は、幅広い分野の研究が発表される会です。私は、糖質部門で発表したため、標的糖鎖の理解の重要性および研究の新規性を強調できるように工夫しました。本会での経験を基に、より一層研究活動に精進いたします。

指導教員 川崎 ナナ 教授のコメント
保科さん、受賞おめでとうございます。
保科さんは、国内外で前例のないO-GlcNAcプロテオミクス手法の開発と、困難なiPS細胞によるパーキンソン病モデル細胞の樹立に挑戦されました。また、様々な学会に参加し、口頭発表方法を学びました。このような努力が実を結び、受賞につながったものと思います。研究のさらなる発展を期待しています。最後に、共同研究者として保科さんを支えてくださいました菅原亨先生、高倉大輔先生、浦澤貴哉さん、西村梨香さん、芳﨑雅人さんにお礼申し上げます。

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