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大学院生 酒井 勇人さんが、第33回日本MRS年次大会にて若手奨励賞を受賞!

2024.02.28
  • TOPICS
  • 学生の活躍
  • 研究
生命ナノシステム科学研究科 博士前期課程1年の酒井勇人さんが2023年11月14日(火)~16日(木)に産業貿易センター(横浜市)で開催された第33回日本MRS年次大会において、「若手奨励賞」を受賞しました。
受賞者
生命ナノシステム科学研究科
物質システム科学専攻 博士前期課程1年

酒井さかい 勇人  ゆうと さん

指導教員
生命ナノシステム科学研究科
橘 勝 教授(ナノ材料科学)

受賞内容
第33回日本MRS年次大会
若手奨励賞

発表題目 
ピリジンを用いたC60ナノウィスカーの育成と電界効果トランジスタ
(英訳:Growth and field effect transistors of C60 nanowhiskers using pyridine)
今回の発表内容について酒井 勇人さんに解説していただきました。
有機半導体*1は従来のシリコンの半導体に比べて軽く、柔軟性が高いことから、「折り曲げられるスマホ」や「体に着けることができるデバイス」など次世代の電子デバイスへの応用が期待されており、現在盛んに研究が行われています。中でも、フラーレンC60は炭素のみでできた籠型の分子で数少ないn型の有機半導体材料として注目されています。当研究室では液-液界面析出法*2と呼ばれる特殊な溶液法でC60ナノウィスカーという繊維状の結晶を作製し、その半導体特性を評価してきました。今回発表したC60ナノウィスカーは結晶を育成するための溶媒にピリジンという溶媒を用いた、C60-ピリジンナノウィスカーです。C60-ピリジンナノウィスカーは他の溶媒から育成されたナノウィスカーに比べ、特殊な性質を示すため謎に包まれていました。本研究ではC60-ピリジンナノウィスカーを用いて半導体デバイスを作製し、世界で初めてC60-ピリジンナノウィスカーの半導体特性評価に成功しました。本研究の成果はC60-ピリジンナノウィスカーの謎を電気特性の観点から解き明かす重要な結果であるといえます。

 
酒井 勇人さんのコメント
学会で奨励賞を受賞することができ、とても嬉しいです。対外発表は苦手としていましたが、今回受賞できたのは橘勝先生や鈴木凌先生のアドバイスや日々の研究室メンバーとのディスカッションの成果だと考えています。実験はなかなか思うような結果が出ず苦しい時期もありますが、研究室の仲間と支えあいながら今後も研究活動に励んでいきたいです。
 
指導教員  橘 勝 教授 からのコメント
酒井くん、奨励賞おめでとう!日頃から真摯に取り組んできた研究内容および発表が高く評価され本当に良かったと思います。これまでの研究室活動を通して、様々な困難を乗り越えての受賞で、喜びもひとしおかと思います。この経験を学生皆で共有して、研究室全体をより一層盛り上げてくれたらと思います。今後は、投稿論文執筆など、さらなる活躍を期待しています。



用語説明
*1 有機半導体:半導体としての性質を示す有機物のこと
*2 液-液界面析出法:フラーレンの良溶媒飽和溶液に、フラーレンの貧溶媒を重層して液−液界面を形成後、両溶媒の相互拡散による過飽和度の増加によりフラーレン晶核の生成と生長が進行し、フラーレンナノファイバーが合成される方法
 
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