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【YCU国際商学部×ハノイ大学】大学生の健康をテーマに、合同研究発表会

2024.02.06
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YCU国際商学部とハノイ大学の学生がハイブリッドで交流!

国際商学部の原広司ゼミ(医療経営論)の学生とハノイ大学の学生が、『大学生の健康』をテーマに合同研究発表会を実施しました。
国際商学部では2年次の後期からゼミに配属され、専門を深めていきます。今回ご紹介する「国際商学部 原広司ゼミ」の学びの特徴は、実践重視&協働中心です。グループワークを多く取り入れて、課題に対してみんなで力を合わせて乗り越える経験を積んでいきます。
2023年3月に、YCUの学生がベトナムのハノイ大学にフィールドワークに行き、現地の学生との交流を通して、日本とベトナムの学生の健康意識の違いに興味を持ったことをきっかけに、合同で研究分析を行いました。
今回は、合同研究発表会に参加した学生が、チームごとに取り組んだテーマや当日の様子をレポートしてくれました!

発表会の概要

日本とベトナムは2023年に外交関係樹立50周年を迎え、その認定事業*1の一つとして、YCUとハノイ大学の学生、約40名は2023年11月に両大学の会場にてオンライン+対面のハイブリッド形式で、合同研究発表会を開催しました。
言語は日本語で行われ、ベトナム語の通訳が入りました。

来賓には、国際的な大学間連携という観点から教育分野が専門である、在ベトナム日本大使館二級書記官である岡本典子さんを招待。YCUからは、吉永崇史先生(国際商学部 教授)、公衆衛生が専門である落合亮太先生(医学部 看護学科 准教授・グローバル都市協力研究センター公衆衛生ユニット ユニットリーダー)、庄司弥生先生(グローバル都市協力研究センター公衆衛生ユニット特任助教)、ハノイ大学からは副学長ルオン・ゴック・ミン先生に参加いただきました。
YCUとハノイ大学の学生が合同で、日本とベトナムの大学生を対象にした「健康」に関するアンケート調査結果に基づき、「睡眠」、「運動栄養」、「メンタルヘルス」の3領域について分析結果を発表しました。
 

2つの大学で協力し、進めた発表会の準備

YCUとハノイ大学の学生が合同で、大学生の健康を考察するため、YCUとハノイ大学に所属する大学生を主な対象としたアンケート調査を実施しました。各国約200人ずつの回答の比較や分析について約半年間、ハノイ大学の学生とオンラインミーティングを繰り返し行い、各国の分析結果の背景や改善するための提案への話し合いを重ねました。

発表会当日の流れ

12:15 開会
12:20 来賓の紹介
12:25 主催者・来賓のご挨拶
12:35 『運動・栄養チーム』の発表・コメント
12:55 休憩
13:05 『睡眠チーム』の発表・コメント
13:25 『メンタルヘルスチーム』の発表・コメント
13:45 それぞれの発表にについて全体ディスカッション・コメント
14:00 全体の講評
14:10 学生の感想(各大学の代表1名より)
14:20 閉会
 
YCU会場にて発表の様子

両国の文化・習慣・考え方の違いからわかった研究結果と学び

【運動・栄養チーム】
・日本とベトナムの学生の歩行時間は、理想の歩行時間「1日1万歩」(=1時間45分)に及ばず、45分。
・日本とベトナム両国の大学生は運動時間が十分とはいえない。
・日本の学生の方がベトナムの学生より30分長く運動している。
・両国とも4割の学生が、朝食を食べていない。
ベトナムの学生の運動時間が少ない理由の一つに、バスやバイクの移動が多いことが要因としてあげられました。一方で、ベトナムでは夜の公園で大音量の音楽に合わせて友人や夫婦で踊ったり、「ダーカウ」というスポーツをしたりと楽しく運動できる日本にはない文化も多く存在しています。お互いの生活習慣や文化の良い面を取り入れながら、より良い運動と栄養を心がけていくことが望ましいと考えました。
ハノイ大学会場の様子
【睡眠チーム】
・日本の学生の方がベトナムの学生よりも睡眠障害*2の割合が高い。
・日本の学生は、日中に居眠りをする。
・日本の学生は、睡眠の質についての自己評価が低い。
・日本の学生は、夜遅くまでアルバイトをしているため、
 帰宅時間が遅くなる傾向がある。 
 ベトナムの大学生のほうが日本の大学生に比べて、生活習慣が整っていて授業中の居眠りも少なく、結果的にそれが睡眠の質への自己評価を高めていることがわかりました。この点において、日本の学生はベトナムの学生の生活リズムを整える点を見習うべきだと痛感しました。適度な仮眠や寝る前のスマホ時間を減らすことで目を休めることが大切だと考えました。
【メンタルヘルスチーム】
・日本の学生の方がベトナムの学生よりも、総合的にメンタルヘルスが安定していることが分かった。
・ベトナムの学生の方が、睡眠満足度が高く「睡眠チーム」の結果の裏付けになった。
・「睡眠」が日本の学生のメンタルヘルスに何らかの影響を与えていることがわかった。ベトナムの学生のメンタルヘルスには、睡眠以外の要因が関係していることが感じられた。
・大学生がストレスを溜めやすい環境として、日本もベトナムも「学校」が最も多く選択された。
 
発表に聞き入っているYCUの会場の様子
「メンタルヘルス」というテーマについて、アンケートの比較や分析とハノイ大学の学生との交流を通して、定量的・定性的に結果を導くことの難しさを学びました。
ベトナムでは学校に通うことに対して家族からの期待が大きいことが日本との大きな違いとして挙げられます。加えてベトナムの大学は日本と比べてテストの頻度が圧倒的に多く、そのプレッシャーがストレスの要因となっていると考えられます。
日本とベトナムの大学生の間には、共通する悩みがある一方で、両国で大きな差が生まれた項目の背景には、「国民性や文化の違い」があることがわかりました。それぞれが伸ばしていくことや改善するべきことがあり、互いの良いところを参考にし合うことが大切であると考えました。 
平野さん(左)とサブリーダーの野嶋さん

異文化を持つ学生同士による合同研究で得た価値や成長

全体学生リーダー 国際商学部3年加藤かとう晴也はるやさんのコメント
今回、このような記念すべき合同研究発表会のリーダーを務めさせていただき、大変光栄に思います。リーダーとしては、全体の調整を行う程度で、研究期間中は各チームがそれぞれ日本とベトナムの学生が一丸となって研究を進めていき、ゼミ生のコツコツと積み重ねるひたむきな姿勢に最後まで助けられました。
 
 研究に関わった感想は、日本とベトナムでは時差が2時間、また言語的解釈の壁もありミーティングをするのも一苦労という感じだったのですが、それ以上に、普段の生活においても社会的、文化的背景が違う彼らと意見を交わすことで、新たな視点での意見が出てきたり、実は同じ世代だからこそ共通することなどがどんどん出てきたりしました。研究だけでなく異文化理解、異文化交流という面でもとても新鮮で楽しい時間でした!
絶対に、日本の学生だけの研究にはない価値がありました!
研究にご協力いただいた方々、貴重な機会をありがとうございました。

全体学生サブリーダー 国際商学部3年 野嶋のじま菜々恵ななえさんのコメント
今回、副リーダーを務めさせていただきましたが、原先生とハノイ大学のフォン先生のご指導とハノイ大学の学生の皆さんのご協力、リーダーの加藤さんの統率力のお陰で最後まで共同研究を行うことが出来ました。特に、同じ「運動・栄養チーム」で調査にあたったハノイ大学の皆さんには感謝の気持ちでいっぱいです。
 私たち自身このような調査や分析を行うこと自体が初めてで、さらに国外の大学生と連携して行うということもあり、最初は手探りの部分が多かったです。しかし、徐々にオンラインやメッセージでのコミュニケーションに慣れていき、日本とベトナムの生活習慣の違いなどについて活発に議論を行うことができるようになると、どんどんと調査することが楽しくなりました。その結果、より良い分析と考察を行い発表することが出来たと思います。
日本国外の大学生と連携して調査を行うという大変貴重な機会をいただき、コミュニケーションの方法や異文化の相互理解といったことは、私自身の成長に繋がったと感じています。

今回の合同研究発表会について、先生方からもお話を伺いました!

山村智和先生
(社会医療法人 愛仁会 国際協力事業部門 統括部長、横浜市立大学 医療経営産学官連携講座 特任助教)
昨年のベトナム訪問での交流から、さらに一歩踏み込んで共同研究・発表することができました。結果も大事ですが、同年代、異文化の学生と交流でき、様々な知識を得て刺激を受けることができたのは、学生にとって本当に素晴らしい経験となったと思います。この経験を糧にして、さらに新しいことにもチャレンジしていって欲しいと思います。

原広司先生(国際商学部准教授) 
コロナ禍を経て、オンライン会議が一般的に行われるようになり、国を超えた交流や活動が容易にできるようになりました。学生同士も、特別な機器がなくても、パソコンやスマホで簡単に世界とつながることができることを実感したと思います。一方で、交流関係や友好関係はこうした技術で構築されるものではありません。オンラインですぐにつながることができたとしても、考え方や生活習慣、価値観の相違などは、コツコツとコミュニケーションを積み重ねることでしか乗り越えられないと思います。日本とベトナムは外交関係樹立50周年を迎えました。今回の研究発表会を通じて、両国をより理解し、関心を持ち、より強固な関係をみなさんで築いていってもらえればと期待しています。最後になりましたが、合同研究発表会にご協力いただいたフォン先生をはじめハノイ大学の皆様、横浜市立大学の落合先生、庄司先生、吉永先生、そして関係する皆様に深く感謝申し上げます。

※本発表会は外務省「日越外交関係樹立50周年事業」に認定されました。
 
 用語説明
*1日越外交関係樹立50周年事業
2023年9月21日に外交関係樹立50周年を迎えた日本とベトナムが、これまでの日・ベトナム関係を振り返ると共にその関係をさらに深化・拡大させる年とするために相応しい記念事業
*2睡眠障害
睡眠に関連した多様な病気をまとめて睡眠障害という(不眠症・過眠症など)
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