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大学院生 吉澤 竜哉さんが 第51回構造活性相関シンポジウムにて口頭発表賞を受賞!

2024.01.31
  • TOPICS
  • 学生の活躍
  • 研究
  • 理学部

2年連続の受賞!

生命医科学研究科 博士前期課程2年の吉澤 竜哉さんは、長井記念ホール(2023年11月) で開催された、第51回構造活性相関シンポジウムにて口頭発表賞(SAR Presentation Award)を受賞しました。吉澤さんは、昨年度も同賞を受賞され、2年連続の受賞となりました。

昨年度の受賞についてはこちらをご覧ください。
http://www.tsurumi.yokohama-cu.ac.jp/news/20230111hoshino_yoshizawa.html
受賞者
生命医科学研究科 博士前期課程 2年生

吉澤よしざわ 竜哉  たつや さん

指導教員
生命医科学研究科/理学部
寺山 慧 准教授(生命情報科学)

受賞内容
口頭発表賞(SAR Presentation Award)

発表題目 
複数の特性予測モデルの信頼性を考慮した分子の多目的最適化
—今回の発表内容について吉澤 竜哉さんに解説していただきました。
医薬品を設計する人工知能(AI)の信頼度を維持するための手法を開発し、その成果を発表しました。医薬品候補となる分子は、疾患に対する薬効や体内動態などを含む、多数の特性を同時に最適化することが求められます。近年、このような分子を効率的に設計するために、分子の特性を予測するAI(特性予測AI)と分子構造を生成するAI(分子生成AI)を組み合わせた分子設計手法が開発されています。これらの手法を用いた分子設計においては、複数の特性が望ましいと予測される分子であっても、実際には予測が外れることがあるため、各特性予測AIの信頼度を考慮することが重要です。しかし、それぞれの特性予測AIの信頼度を適切に設定するための基準が存在しないため、信頼度を考慮した分子設計は困難でした。そこで本研究では、特性予測AIの信頼度を探索的に調整することで、予測の信頼度を保ちつつ多数の特性を最適化する手法を開発しました(図1)。本手法を用いてがんの治療薬の設計を試みたところ、市販されている薬をAIによって再設計することに成功しました。本研究は、実践的な医薬品設計における分子生成AIの活用の促進に寄与することが期待されます。
図1. 開発手法の概要 特性予測AIの信頼度を探索的に調整しながら分子を生成する。信頼度の調整では、信頼度は
           可能な限り高く維持される(図中赤枠)。
吉澤 竜哉さんのコメント
この度は名誉ある賞を頂き、大変光栄に存じます。評価をしていただいた先生方、日本薬学会構造活性相関部会の関係者の皆様、シンポジウム実行委員の皆様に厚く御礼申し上げます。今回のシンポジウムでは、オンサイトでの開催が再開されたことで、私が過去に参加した際には実現しなかった創薬の専門家の方々と直接議論をする機会を得ることができました。また、その議論を通じて自身の研究の価値や課題を改めて認識することができました。この貴重な経験を糧に、今後とも研究に精進します。最後に、本研究の遂行や発表準備にあたりご指導いただきました、寺山先生をはじめとした生命情報科学研究室の皆様、共同研究者の先生方に、この場を借りて御礼申し上げます。

指導教員 寺山 慧准教授 からのコメント
2年連続での口頭発表賞の受賞おめでとうございます!
吉澤さんの研究は、近年注目されているAIによる生成・設計における本質的な課題に切り込んだ挑戦的なものです。いわゆる生成AIであれば、何でも自由に生成できるというわけではありません。そのため手に入るデータ(学習したデータ)の範囲で、何が生成可能か?何を妥協すればどこまで生成できるか?を考える必要があります。今回の研究では創薬を題材に、分子生成モデルを使ってその問いにチャレンジしてくれました。
前回受賞した研究でも同様でしたが、本研究も吉澤さんが主体的に研究を先導し、非常に良い成果を出してくれました。今後もさらに研究を発展させてくれるものと期待しています。
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