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大学院生 菊地杏美香さんが、第96回日本生化学会大会で若手優秀発表賞を受賞!

2023.12.14
  • TOPICS
  • 学生の活躍
  • 研究
  • 理学部
生命医科学研究科 博士前期課程2年(構造生物学研究室所属)の菊地杏美香さんが2023年10月31日(火)~11月2日(木)に福岡国際会議場で開催された第96回日本生化学会大会の一般口頭発表にて「DNA維持メチル化におけるDNMT1の活性化機構の構造基盤」について発表し、若手優秀発表賞を受賞しました。
受賞者
生命医科学研究科 博士前期課程2年
構造生物学研究室所属

菊地きくち 杏美香 あみか  さん

指導教員
生命医科学研究科 有田 恭平教授

受賞内容
第96回日本生化学会大会
若手優秀発表賞

発表タイトル 
「DNA維持メチル化におけるDNMT1の活性化機構の構造基盤」

 

 —今回受賞した研究内容について菊地さんに解説していただきました。
私たちの身体を構成する細胞は同じ遺伝情報を持ちますが、それぞれ異なる形や機能を持っています。DNAメチル化は、細胞で使わない遺伝子の発現を抑制することで、細胞固有の形や機能を決める重要な目印となります。個々の細胞のDNAメチル化パターンは、DNA維持メチル化機構によって生涯にわたり正確に維持されます。DNA維持メチル化の破綻はゲノムの不安定化を引き起こし、がんをはじめとする様々な疾患の原因となります。
DNMT1は、DNA維持メチル化機構において必須の役割を果たします。これまでの研究から、DNMT1単体はDNAが結合できない自己阻害型の構造をとっており、これを解除する引き金としてユビキチン化されたヒストンH3 (H3ub) が関わることが知られていました。しかし、H3ubによるDNMT1の活性化の分子機構は不明でした。
今回私は、H3ubとDNAが結合したDNMT1の活性化型の構造を、クライオ電子顕微鏡単粒子解析法で決定しました。そして、決定した構造情報から、DNMT1のC末端にある触媒ドメインの活性制御ポケットにN末端のActivating Helixが入り込む、DNMT1の新しい活性制御機構を発見しました。さらに、in vitroと哺乳類細胞を用いた変異体解析から、Activating Helixの2つのフェニルアラニン残基がDNMT1の活性化に重要であることを明らかにしました。本研究成果は、DNMT1が主役として働くDNA維持メチル化の分子機構に新しい概念を与えるものであると考えています。

菊地 杏美香さんのコメント
この度は、第96回日本生化学会大会 若手優秀発表賞という名誉ある賞をいただき、大変光栄です。有田教授をはじめとする構造生物学研究室、そして本研究を遂行するにあたりご支援賜りましたすべての皆様にこの場をお借りして心より御礼申し上げます。
本学会では糖質生物学や神経科学など、様々な分野の研究者が多く参加されていました。そのため、口頭発表ではDNMT1がDNA維持メチル化機構においていかに重要なタンパク質であるか、そして本研究がどのような点で面白いのかをアピールできるように工夫しました。本学会での貴重な経験を活かし、今後も一層研究に励んでまいります。


指導教員 有田 恭平教授のコメント
おめでとう!!!
日本生化学会は第96回年会を迎えました。このような歴史ある学会で若手優秀発表賞を受賞したことは、大変な名誉です。
研究はいかにストイックに取り組むかで、その結果の成否が変わります。華々しい成果の裏には、表には出ない数々の努力があります。決して甘くない研究の世界で苦労しながらも、楽しんで研究に取り組んで成果を挙げた菊地さんの活躍が、有田研・鶴見キャンパスのみならず横浜市大の全学生の刺激になればうれしいです。
次はさらにトップジャーナルを狙って、世の中を“あっ”と言わせましょう!!!
研究で活躍して一旗揚げたい学生はぜひ有田研に見学に来てくだい。お待ちしています!
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