地震火災からの復興まちづくり・石川研究室がワークショップ
2023.10.18
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国土交通省「まちづくりアワード<功労部門>」を受賞した横浜市中区本郷町の協議会との取組み
横浜市立大学国際教養学部 石川永子准教授(都市防災計画論)が、住みよいまち・本郷町3丁目地区協議会にて、防災講演会/復興まちづくりワークショップを実施しました。
災害大国である日本では、常に水害・土砂災害・地震など多くの災害が想定され、今後30年以内に70%の確率で首都直下型地震も起こると推測されています。過去にも、阪神・淡路大震災や東日本大震災など大きな地震災害に見舞われています。しかし、災害前からまちづくり活動をしていた地域では、復興まちづくりの話し合いなどが早くはじまり、住民の意見を行政の計画に反映した復興計画をつくることが出来たといわれています。今回のワークショップでは、地域で災害後の住まいや暮らしの再建に向けての流れや復興まちづくりを計画する模擬体験をしました。
災害大国である日本では、常に水害・土砂災害・地震など多くの災害が想定され、今後30年以内に70%の確率で首都直下型地震も起こると推測されています。過去にも、阪神・淡路大震災や東日本大震災など大きな地震災害に見舞われています。しかし、災害前からまちづくり活動をしていた地域では、復興まちづくりの話し合いなどが早くはじまり、住民の意見を行政の計画に反映した復興計画をつくることが出来たといわれています。今回のワークショップでは、地域で災害後の住まいや暮らしの再建に向けての流れや復興まちづくりを計画する模擬体験をしました。
今回のワークショップでは、7人の石川研究室の学生やスムーズにワークを進行するためのファシリテーターの方々のご協力の他、行政側から横浜市の方々も多く参加していました。 参加者は、本郷町3丁目協議会の町民の皆さんです。
ワークショップを開始する前に、東京都立大学名誉教授の中林一樹先生に糸魚川市大規模火災について講演をしていただきました。糸魚川市大規模火災では、強風による飛び火で、かなり広い範囲が燃え、燃えるものがなくなるまで延焼して鎮火となりました。瓦礫などの撤去後に、復興を考えていくフェーズになったとき、住み慣れた土地への愛着で再建していきたい人もいれば、土地を売りたい人もいて、それぞれ住民の意向も違うなかで、土地の整理をしていく必要があり、その調整は困難だったと語ります。事前に少しでも準備をしておくこと、“事前復興”の重要性を中林先生は訴えます。
「大きな火災で全て焼けてしまってから復興を考えるのでは遅い。事前に被害を想定して、復興について町民で話し合っておくことが大切だ。そして、何より行政との連携が欠かせない。」と事前復興の重要性を参加者に伝えていました。
グループワークでは、住んでいる「まち」の良い所、残してほしいところ、改善したいところ、新しく提案したいことを付箋に書いて、とにかくアイデアを出していきます。 今回は4つのグループに分かれており、各グループには住民の方4~6人、横浜市の方が2~3人、ファシリテーター1人と学生スタッフが1~2人で考えます。
このアイデア出しで、復興まちづくりにおける大切なキーワードを見つけ、どんな「まち」にしたいのか目標を作っていきます。 住民の方からは、「坂が多いから平坦にしたい」「公園が欲しい」「道路を広くしたい」「行き止まりを無くしたい」「集まれる場所は残してほしい」などの意見が出ていました。
このアイデア出しで、復興まちづくりにおける大切なキーワードを見つけ、どんな「まち」にしたいのか目標を作っていきます。 住民の方からは、「坂が多いから平坦にしたい」「公園が欲しい」「道路を広くしたい」「行き止まりを無くしたい」「集まれる場所は残してほしい」などの意見が出ていました。
行政からの提案を受けて、どうするかを議論
続いて横浜市からの提案2案(※仮の提案内容)を受けて、自分たちの考えている復興イメージに近い方を選択し、選択した上で、注文を付けていきます。
案1)修復型・早期再建を目指す
優先してやらないといけないことをやり、2年程度での復興を目指す案
案2)課題解消を目指す
高低差・行き止まり・4m以下の道など大幅にまちを区画整理し、5年程度での復興を目指す案
それぞれにメリットとデメリットがあるので、案を選んだ後に、先に挙げたアイデアから、要望として追加したいものを話し合って入れていきます。住民の方々と横浜市の方々がお互い意見交換しながら各グループの提案をまとめていきました。
案1)修復型・早期再建を目指す
優先してやらないといけないことをやり、2年程度での復興を目指す案
案2)課題解消を目指す
高低差・行き止まり・4m以下の道など大幅にまちを区画整理し、5年程度での復興を目指す案
それぞれにメリットとデメリットがあるので、案を選んだ後に、先に挙げたアイデアから、要望として追加したいものを話し合って入れていきます。住民の方々と横浜市の方々がお互い意見交換しながら各グループの提案をまとめていきました。
実際に住んでいる方々だからこそ、地図を見ながら「ここは歳を取ると坂が厳しい」「ここは行き止まりでいざという時に逃げられない」「道の幅が狭すぎて、軽自動車以外は怖くて通れない」などリアルな意見交換がされていました。 濃密なディスカッションがされ、皆さんがそれぞれの立場で事前復興について真剣に考えている様子が伝わります。
最終的に、案1を選んだグループが3つ、案2を選んだグループが1つでした。しかし、1つのグループでは、意見が真っ二つに分かれ、最後まで案1と案2で悩んだといいます。案2は時間がかかるが、将来的に子供や孫のことを考えたら、しっかり変更して良い方向へすると良いという意見が挙がりつつも、復興に5年間かかるのは長すぎるという意見もありました。
学生スタッフたちは、ワークショップの進行をサポートしながら、事前復興の大切さを学ぶことができるだけではなく、ゼミで「防災」を学んでいる学生として多くの「気づき」を得たのではないでしょうか。
このワークショップに参加してくれている横浜市都市整備局 防災まちづくり推進室 防災まちづくり推進課担当係長の高林康樹さんに伺いました。
Q.行政と地域に加えて、大学が一緒に取り組みをするというのはいかがでしたか。
A.大学の先生や学生さんにここまで入っていただき、防災に関するワークショップなどを実施してもらうというのは横浜市の中でも珍しいと思います。
行政が弱い所(起こっていない地震に対しての取り組み)であり、デリケートなところなので、そこに大学に入っていただくことで、教育への一環ということもあり、積極的に関わる良いきっかけになっています。
今日の復興のまちづくりという事で、ワークショップもなかなか盛り上がらないのではないか?と思いましたが、住民の方の意欲もありますが、大学の方々がしっかりとロジックを立てて説明してくださり、進行してくださったからこそ、ここまでしっかりとした取り組みが出来上がり、盛り上がったのだと思います。
A.大学の先生や学生さんにここまで入っていただき、防災に関するワークショップなどを実施してもらうというのは横浜市の中でも珍しいと思います。
行政が弱い所(起こっていない地震に対しての取り組み)であり、デリケートなところなので、そこに大学に入っていただくことで、教育への一環ということもあり、積極的に関わる良いきっかけになっています。
今日の復興のまちづくりという事で、ワークショップもなかなか盛り上がらないのではないか?と思いましたが、住民の方の意欲もありますが、大学の方々がしっかりとロジックを立てて説明してくださり、進行してくださったからこそ、ここまでしっかりとした取り組みが出来上がり、盛り上がったのだと思います。
Q.本取り組みに期待していることなのはありますか?
A.行政だけでやっていると規則や法律に知らないうちに縛られてしまう事があり、そこに若い学生さんや大学の先生に入っていただくことで、柔軟な考えやアイデアが入ってくるので、行政だけでは出来ないことが補われ、取り組みとして1歩2歩進んだ内容になるよう期待しています。
A.行政だけでやっていると規則や法律に知らないうちに縛られてしまう事があり、そこに若い学生さんや大学の先生に入っていただくことで、柔軟な考えやアイデアが入ってくるので、行政だけでは出来ないことが補われ、取り組みとして1歩2歩進んだ内容になるよう期待しています。
最後に、このワークショップに参加してくれている本郷町では、地域特性を生かした防災マニュアルの作成や持続可能な防災まちづくりを続けているため、国土交通省の「まちづくりアワード<功労部門>」を受賞しました。
今回の受賞や取り組みに関して、中区の「住みよいまち・本郷町3丁目地区協議会」の飯尾滿会長にもお話を聞きました。
Q. まちづくりアワード<功労部門>の受賞についてコメントをお願いいたします。
A.責任やプレッシャーを感じます。様々な団体がまちづくりアワードで受賞されている中で「防災」の取り組みは2~3件しかありませんでした。私たちが先駆者であるという事は、これから他の地域や団体から問い合わせなどあるでしょうと思います。私たちの取り組みを広げていかなければという使命も感じますし、これからもこの取り組みをさらに進化させていく必要があると思っています。まだまだ本郷町でも課題は多くあるので、防災に対する意識を強めていき、町民同士のコミュニケーションをさらに活性化させていきたいと思っています。
A.責任やプレッシャーを感じます。様々な団体がまちづくりアワードで受賞されている中で「防災」の取り組みは2~3件しかありませんでした。私たちが先駆者であるという事は、これから他の地域や団体から問い合わせなどあるでしょうと思います。私たちの取り組みを広げていかなければという使命も感じますし、これからもこの取り組みをさらに進化させていく必要があると思っています。まだまだ本郷町でも課題は多くあるので、防災に対する意識を強めていき、町民同士のコミュニケーションをさらに活性化させていきたいと思っています。
Q.大学、学生と一緒に取り組むことで、地域の皆さんにも何かプラスなどはありますか。
A.学生には「大学生」ならではの発想とか考えを期待しています。次回、地域住民に配布するチラシにも「大学生の眼」というタイトルでこのまちの防災についてお願いしています。学生の若い考えで防災を語るなど私達では考えられない何か新しいものが見られるのではないかと思っています。
始まったばかりの取り組みで、地域住民の皆さんがどう思っているかはまだ分かりませんが、大学が入る事で内容が難しくなりすぎてしまうといけないので、これから試行錯誤していきながら、住民が積極的に参加してくれるような体制になっていくことを大学や学生には期待しています。
A.学生には「大学生」ならではの発想とか考えを期待しています。次回、地域住民に配布するチラシにも「大学生の眼」というタイトルでこのまちの防災についてお願いしています。学生の若い考えで防災を語るなど私達では考えられない何か新しいものが見られるのではないかと思っています。
始まったばかりの取り組みで、地域住民の皆さんがどう思っているかはまだ分かりませんが、大学が入る事で内容が難しくなりすぎてしまうといけないので、これから試行錯誤していきながら、住民が積極的に参加してくれるような体制になっていくことを大学や学生には期待しています。
この取り組みは、今後も続いていくのですが、地域の住民と行政だけではなく、大学という知識や学生の若いアイデア・サポートが入る事で、防災の取り組みとして充実するだけではなく、新しい気づきの発見へと繋がっていくことが期待されます。