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地域活性化に挑む!鳥取県智頭町の「関係人口創出プロジェクト」

2023.03.22
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  • 国際商学部
国際商学部の吉永崇史ゼミ(経営組織論)と藤﨑晴彦ゼミ(原価計算論)では、鳥取県智頭町(ちづちょう)の地域活性化のためのプロジェクトに取り組んでいます。
鳥取県智頭町は、鳥取県の南東部に位置している美しい自然にあふれる田舎町です。移住推進やSDGs活動などさまざまな町づくりを推進している地域でもあります。
今回取材した2チームは、智頭町の観光協会をはじめとした多くの方に協力いただきながら、フィールド調査を通して自分たちで関係人口を増やす取り組みを考え、アウトプットしました。
(左)由澤颯来さん、(右)鈴木涼さん

<チーム1:民泊推進チーム>

ダイレクトに智頭町の良さを感じる。

吉永ゼミ3年生の鈴木涼(すずき りょう)さんと由澤颯来(よしざわ そら)さんの二人は、元々地域活性化に興味があり、智頭プロジェクトに取り組んでいた先輩から話を聞くうちに楽しそうだと興味をもったことから参加を決めました。
彼女たちは2022年6月、プロジェクトの第一歩として初めて智頭町を訪れた際に「民泊」を体験し、その時の経験から民泊推進をテーマにすることにしました。
そもそも智頭町には宿泊施設が少なく、鳥取の中心部まで行かないと大きめのホテルや民宿が無かったため、智頭町を1日かけてしっかりと回るために観光協会の方から推薦してもらった民泊を利用したことがきっかけになりました。民泊ではご家庭ごとに違う体験メニューをオプションで追加できます。この時は農業体験や郷土料理である「柿の葉寿司」を作るなどの体験をしました。
また、天気が良かったので、元々のプランには予定されていなかった素敵な星空を見に連れて行ってもらうなど自由にコーディネートしてくれるところが非常に魅力的だったと言います。また、長年、智頭町に住んでいる地元の方と直接話して密なコミュニケーションを取ることで、智頭町のたくさんの魅力に気づけたことも彼女たちにとって新鮮で充実した時間となり、初めての民泊体験が強く印象に残りました。 そんな自分たちの体験から、智頭町の良さを知ってもらうには、「民泊」が良いのではないかと考えて、民泊を推進することに決めました。

ハードルを下げる挑戦。

自分たちが実際に体験して、本当に良かったからこそ、智頭町での民泊を推進したいと考えた彼女たち。ただ、初めての旅行先で「民泊」を選択するのは、なかなかハードルが高いという人が多いのではないでしょうか。
そんな泊まる側のハードルを少しでも下げるために、民泊を受け入れているご家庭にインタビューをして、記事をまとめ、公開する事をゴールに設定することにしました。
記事の中では、自分たちの民泊体験の思い出やどんな人が民泊を実施しているかを丁寧に紹介することで、泊まる側が安心して民泊を利用できる工夫がされており、料金プランや申込方法など必要な情報はもちろん、写真なども多く誰でも見やすく出来上がっています。
彼女たちが作った記事はこちらをご確認ください。

“本気”に応えてくれる。

今回の活動を通して関わった観光協会の方も、インタビューをさせていただいた民泊家庭の皆さんからも、本当に智頭町を良くしていこうという思いが伝わってきて、彼女たちもその思いに本気で応えようと走り続けてきました。
「私たちは学生ですが、こちらが熱意だけではなく、行動で示すことで相手側も本気で応えてくれました。皆さんには大変お世話になり、本当に感謝しています。知識がなくても学生だからこそできることも沢山あると感じた活動でしたし、自分たちの今の力で出来る範囲で最大限努力する事の大切さを学びました。」と本気でぶつかる事の大切さを語ってくれました。
(左)松田麗加さん、(中央)高橋佑奈さん、(右)廣瀬湧記さん

<チーム2:観光ガイドチーム>

観光地スポットが点と点。

吉永ゼミ4年生の廣瀬湧記(ひろせ ゆうき)さんと高橋佑奈(たかはし ゆうな)さん、藤﨑ゼミ4年生の松田麗加(まつだ れいか)さんの三人は、先輩たちが実施した智頭町バーチャルツアーに参加した際に、参加していた智頭町の方々の“あたたかさ”や都会には無い“時間の流れ”に強く魅力を感じてプロジェクトへの参加を決めました。
智頭町の魅力をPRしたいという事は決めたものの、それをどのような形でアウトプットするのか、何をゴールに設定すれば良いのか、決まらない日々が続いたそうです。転機が訪れたのは、彼らが実際に智頭町に訪問した2021年10月の事でした。それまでは、オンラインツールを通して智頭町の人たちとコミュニケーションを取って作業を進めてきたものの、一向に方向性が定まらず、先生に相談していた時に「一度、智頭町に行ってみたらどうか」というアドバイスから1泊2日で智頭町を訪れました。
様々な観光スポットを訪れたり、実際に地元の方たちと交流したりする中で、「鳥取に遊びに来た人たちが、半日や1日かけて智頭町を回るというよりは、1つのポイントだけ訪れて帰ってしまう。観光地が点と点になっている。」という意見がありました。そこで彼らは、智頭町内でのおすすめ観光ルートを自分たちなりに考え、モデルスケジュールを組み、各観光スポットを紹介できるものを作成する事をプロジェクトのゴールに設定しました。

あなたは、「ちづ」に恋をする。

智頭町の観光ガイドを作成する中で、特に大変だったのは既に存在している観光ガイドとの差別化でした。今回のガイドを作成するにあたって彼らは自分たちと同じ年代のInstagramを利用している21~22歳の大学生というペルソナを設定し、観光ガイドを作成しました。観光ガイドでは、写真がメインとなっているだけではなく、それぞれの観光スポットのポイントを分かりやすくまとめており、全体的に“映え”が意識されているのがわかります。表紙に使用した「恋山形駅」はまさにそれを物語るようです。
観光ガイドはこちらよりご確認ください。

働くイメージが湧き、就活の参考に。

4年生である彼らは就職活動と並行して作業を進めなくてはいけませんでした。作業スケジュールなどの時間管理が複雑になり大変さを感じる一方で、今回の活動が就活を進めるうえで大きな力になったと言います。
学生時代に学外の方と関わりが持てるという貴重な機会の中で、基本的なマナーの習得や、受け身ではなく能動的に動くことの大切さを学び、0から1を作り出すという貴重な経験が確実に力になりました。特に社会で働いている方たちと関われたことで、外で働くというイメージ自体が湧いたというのも就活の力になったと言います。彼らは後輩たちに対して「自分たちがやりたいと思う事をやった方が良い。新しいアイデアや新しいターゲットの創出をして活動した方が、確実に楽しい!そして、その楽しさが原動力になる。」とアドバイスを送ります。
智頭プロジェクトは、「鳥取県智頭町の関係人口を増やす」というミッションのもと、学生たちが取り組みを進めています。今回はそれぞれのチームが民泊推進や観光ガイドを作成する等のゴールを設定して行っていましたが、何よりこのプロジェクトに参加した学生たち自身が、智頭町の関係人口となっている姿が印象的でした。本プロジェクトはこれからも継続されていきます。今後、新しい取り組みが増えていくことが期待されます。
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