YCU 横浜市立大学
search

国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の「研究開発推進ネットワーク事業」に採択されました。

2022.12.02
  • TOPICS
  • 医療
  • 研究

横浜市立大学附属病院 次世代臨床研究センター 副センター長の田野島 玲大先生を研究開発代表者とする研究グループは、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の「研究開発推進ネットワーク事業」に採択されました。

採択情報

公募研究開発課題名:「臨床研究の品質確保:RBAの実装に向けた整備、方策等の提案及び推進
事業名:令和4年度「研究開発推進ネットワーク事業(二次公募)」
開発課題名:「多機関共同のリアルワールドデータ研究に対するrisk based approachを用いた臨床研究支援の実装と課題解決法の提案」

研究体制

代表機関:公立大学法人横浜市立大学(附属病院 次世代臨床研究センター、消化器内科学、ヘルスデータサイエンス学部、附属市民総合医療センター 臨床研究部)
分担機関:北里大学 滋賀医科大学 横浜市医療局
研究開発代表者:田野島玲大(横浜市立大学附属病院 次世代臨床研究センター)
研究費総額:1000万円

実施予定期間

令和4年10月〜令和5年3月
人を対象とした臨床研究は医学の進歩に欠かせないものですが、そのためには十分な計画・立案と適切な研究実施が必要です。近年、治験や介入研究の計画・立案において、あらかじめ想定できる危険性(リスク)を特定し、それに対する予防や対策を取りながら臨床研究を進めていくリスクベースドアプローチ(risk based approach: RBA)が行われています。本研究は、このRBAの手法を、リアルワールドデータ(日常診療の中で得られるデータ)研究に実装し、その手法や課題を検討することを目標にしています。

この研究課題の内容や意義について、田野島先生に話を聞きました。
—この研究はどのような研究なのでしょうか。
田野島:私は現在、本学の次世代臨床研究センター(Y-NEXT)の副センター長として、本学附属病院の臨床研究を支援する仕事をしています。昨今、IoT化の進展によってビッグデータが集積され、データサイエンスを用いてリアルワールドデータを解析する臨床研究が増えてきました。これまで新薬開発や臨床応用には介入研究や治験がゴールドスタンダードとされていましたが、これらの研究は莫大な資金と時間がかかり、また実社会での医療を必ずしも反映していないという限界もあり、近年リアルワールドデータを用いた臨床開発が進んでいます。一方で、リアルワールドデータを活用した臨床研究においても介入研究と異なった特有のリスクがあります。そのようなリスクをあらかじめ予測し、risk based approachによる研究の計画・立案を行うこと、そしてY-NEXTのような臨床研究支援組織が支援することにより、さらに質の高いリアルワールドデータ研究を行うことが重要です。その実装における課題の抽出を行い、手順書や教育資材などを作成することが今回の研究の目的です。
またこの研究には、本学の附属2病院のみならず、データサイエンス研究科ヘルスデータサイエンス専攻や横浜市医療局とも連携して取り組むことも本学ならではの特長かと思います。
—今後の展望を教えてください。
これまでも我々は神奈川県内に「横浜臨床研究ネットワーク」として15の医療機関のネットワークを構築し、その中心として臨床研究の推進に取り組んでいます。また、現在横浜市立大学は臨床研究中核病院の取得を目指してさらなる質の高い臨床研究の仕組みづくりに向けた体制作りの強化を行っているところです。中核病院の承認にあたっては介入研究(臨床研究法を遵守して実施する研究)や医師主導治験の実績が問われるため、今回のリアルワールドデータ研究に対するRBA実装の取組みが直接寄与することはありませんが、臨床研究の支援組織であるY-NEXTがこのような研究の支援を行うことで、横浜市立大学の臨床研究を信頼性と質の高いものに導くことができると思っています。今後は本事業の研究を支援し、質の高い研究として論文化していくことを目指すとともに、Y-NEXTが臨床研究支援組織として研究支援の事業でAMED採択されたことを弾みに、一層の質の高い臨床研究を推進し、臨床研究中核病院の取得に繋げられたらと思っています。

(取材日:2022年10月14日)
  • このエントリーをはてなブックマークに追加