“良いオフィスとは”をテーマに学生がプレゼン
2022.12.19
- TOPICS
- 教育
- 国際商学部
ディスカッションで深まる学び。アフターコロナでも来たくなるオフィスとは?
実社会に変革をもたらすグローバルリーダーを育成することを目指す国際商学部では、ゼミ活動において、大学内に閉じた活動ではなく、産学連携の要素を積極的に取り入れています。
今回は、管理会計を研究領域としている黒木淳ゼミ(国際商学部)が、日本国内のオフィスサービス・商業印刷・ヘルスケア・計測機器の事業を展開する「コニカミノルタジャパン株式会社」(以下、コニカミノルタ)の社員の方に“良いオフィス”について提案した様子をご紹介します。
今回は、管理会計を研究領域としている黒木淳ゼミ(国際商学部)が、日本国内のオフィスサービス・商業印刷・ヘルスケア・計測機器の事業を展開する「コニカミノルタジャパン株式会社」(以下、コニカミノルタ)の社員の方に“良いオフィス”について提案した様子をご紹介します。
なぜ黒木ゼミが“良いオフィス”を提案することになったのか?
コニカミノルタとの出会いは、同社の元代表取締役社長である原口淳氏(現横浜市立大学後援会会長)が、本学の卒業生であったことからスタートしました。そのご縁をきっかけに、大学と企業による産学連携で何か新しいことができないか考えた結果、同社の空間デザイン(オフィスデザイン)を担当している部署と、データに基づく経営・政策立案を得意とする黒木ゼミとのコラボレーションが実現しました。
空間デザインとは、単純なオフィスのデザインだけではなく、「働くこと」そのものをデザインすること。学術的な側面から何か提案をしてもらうことで、新しい気づきやイノベーションが起きるのではないか、という期待からです。
今回の提案に参加したのは、黒木ゼミ3年の浅尾天さん、町田花奈さん、金丸佳史さん、松山明寿香さんの4名です。
今回の提案に参加したのは、黒木ゼミ3年の浅尾天さん、町田花奈さん、金丸佳史さん、松山明寿香さんの4名です。
求められるオフィスのあり方
2020年から始まった新型コロナウイルスの影響で、リモートワークなどの新しい働き方が導入され、企業の働き方そのものが多様化しオフィスに求められる機能は変化しています。様々な人が働く企業において、オフィスの存在意義というのは、単純な働く場所ではなく、パフォーマンスを向上させるための機能やコミュニケーションの場にもなり得ます。
今回、学生たちが提案したコニカミノルタでは、オフィスにおける空間デザインに力を入れている企業でもあり、社屋には多種多様な会議室、コミュニケーションの場が存在しています。
例えば、カフェのような雰囲気のスペースやリラックスしながら仕事が出来るクッションが中心の会議スペース、おしゃれな天幕で安らぎの雰囲気のスペースもあれば、個々人が仕事に集中できるよう区切られたワークスペースなどもあります。
今回、学生たちが提案したコニカミノルタでは、オフィスにおける空間デザインに力を入れている企業でもあり、社屋には多種多様な会議室、コミュニケーションの場が存在しています。
例えば、カフェのような雰囲気のスペースやリラックスしながら仕事が出来るクッションが中心の会議スペース、おしゃれな天幕で安らぎの雰囲気のスペースもあれば、個々人が仕事に集中できるよう区切られたワークスペースなどもあります。
学生たちは、2020年に社内で実施された「職場・職務などに関しての幅広い調査」のアンケート結果を提供いただき、必要な箇所を抽出した上で分析を進めました。分析手法では重回帰分析を使用し、アンケート項目の「コロナ後の出社希望度」を被説明変数とし、エンゲージメントや在宅における生産性、職務満足度、集中力、コミュニケーションなどの項目を説明変数として実施しました。
良いオフィスとは社員が来たくなるオフィスであると定義
学生たちは、分析結果から社員が来たくなるオフィスに供えられるべき機能として、「集中力」と「コミュニケーション」であると結論づけました。
加えて、現在は、コロナウイルスの拡大によってリモートワークが進んだことでリモートワークとオフィスワークは補完的な関係があるというのが分かりました。
加えて、現在は、コロナウイルスの拡大によってリモートワークが進んだことでリモートワークとオフィスワークは補完的な関係があるというのが分かりました。
また、リモートワーク時のコミュニケーションに問題を感じていない層が一定数いることが判明しました。さらに分析を進めた結果、この問題意識を感じていない層というのは、問題を感じている層と比較すると、上司や同僚とのコミュニケーションの頻度がそもそも低いことが分かります。
そのため、同部門に属する社員とのコミュニケーション頻度を上げる必要があるのではないかと仮説を立て、物理的なオフィスの準備だけではなく、そこには機能を活かすための制度が必要だと提案を行いました。現在、コニカミノルタでは既に機能や用途別にコミュニケーションの場としてオフィスが展開されており、そこに、制度という形で、そのオフィスをしっかりと活かすことが“良いオフィス”に繋がるのではないかという提案内容となりました。
ディスカッションで深まる学び
学生のプレゼン後は、立てた仮説や分析結果に関して、質問やアドバイスなど意見交換の時間となりました。ディスカッションにより、企業目線での意見は学生にとって新しい気づきや学びに繋がります。
例えば、今回のアンケートは全国の拠点でアンケートを取っているので、地域別では違う結果が出るのではないか、という意見。確かに社会に出ると感じるのは、出社意欲は家からオフィスまでの距離に影響されるという事実です。さらには、そもそも問題を感じていない層を企業としてはサポートする必要があるのか、という意見もありました。職種によっても大きく変化するでしょう。 意見交換がなされる中で、学生も分析内容から、自分たちの意見を発言し、それに対して社員の方々が、意見を言うという双方向コミュニケーションで学びを深め合っていました。
学生たちの感想
- 大学生活で企業と関わった事自体が初めてで楽しかったし、学びになった。
- 実際の企業のアンケートデータを活用して分析作業を行わせてもらうという貴重な経験が出来たことが嬉しかった。
- みんなで協力して作業を進めていく中で達成感を感じることができたし、自分の力になったと思う。
- 6月のオフィス見学も含めて、普段は学生が入れないエリアに、お邪魔させてもらえ本当に嬉しかったし、貴重な経験が出来た。
コニカミノルタの担当者に話を聞く
2014年に日本橋オフィスからの引っ越しを機に、「メガフロアオフィス」を取り入れ、色々な部署・人が交流できるオフィス作りを進めてきました。その中で2020年に新型コロナウイルスにより働き方自体が大きく変化しました。答えが無い中で実証実験する場として今のオフィスである「つなぐオフィス」を作り上げてきた一方で、使う人は使うけど、使わない人は使わないなどの課題も感じていました。
そういった課題を解決するためにも、学術的な視点を取り入れることは非常にプラスになります。
今回の提案は、学生というまだオフィスで働いていない立場だからこそ、出来る純粋な視点による分析だったことが非常に印象的でした。自分たちで同じことを行っても「恐らくこういう事だろう」という先入観が入り、落としどころを作ってしまうので、そういった意味では、学生からの提案はとても客観的で斬新でした。
学生たちの話を聞いた宮本晃統括部長からは、もう1歩踏み込んでお話をするならば、アンケートというのは、主観的で定性的なアプローチなので、センサーなどで機械的に取得したデータから定量的で科学的なアプローチがあっても面白いかと思います。
というコメントをいただきました。
今回の提案は、学生というまだオフィスで働いていない立場だからこそ、出来る純粋な視点による分析だったことが非常に印象的でした。自分たちで同じことを行っても「恐らくこういう事だろう」という先入観が入り、落としどころを作ってしまうので、そういった意味では、学生からの提案はとても客観的で斬新でした。
学生たちの話を聞いた宮本晃統括部長からは、もう1歩踏み込んでお話をするならば、アンケートというのは、主観的で定性的なアプローチなので、センサーなどで機械的に取得したデータから定量的で科学的なアプローチがあっても面白いかと思います。
というコメントをいただきました。
最後に、指導教員でもある黒木先生からは、「学生たちは素直にアンケート結果を分析し、仮説などを出しているので、学生ならではの意見であり、若い発想で企業側にも良い提案が出来たのではないかと思う」というコメントがありました。また学生も、「企業と関りを持たせていただくこと自体もそうですし、ディスカッションそのものが非常に有意義で貴重な機会となり、良い学びに繋がった。」 という感想で全体が締めくくられました。