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横浜市役所財政局と連携して実施。 未来志向のまちづくり授業

2022.10.05
  • TOPICS
  • 地域
  • 教育
  • 国際教養学部

EBPM(Evidence-Based Policy Making:エビデンスに基づく政策提言)型授業の実施!

<EBPM型授業である地域課題実習とは>

国際教養学部都市学系では選択必修科目として「地域課題実習(地域まちづくり実習)」を開講しています。その1つのテーマが「未来をデザインする」(担当教員:大島 誠准教授、宇野二朗非常勤講師)です。
現在、わが国では少子高齢化という人口動態の最中にありますが、横浜市も例外ではありません。このような人口構成の下、地域住民の過ごしやすいまちづくり、生きがい等を充足するような住民福祉の向上や事業者のイノベーション、経済の活性化、税金を主とする地方公共団体の歳入と社会保障や教育、公共施設等の歳出を勘案した行財政運営の持続可能性といった、様々なことが自治体には求められています。そこで学生たちは横浜市を対象に、多数の要因や事業の特徴を考慮しながら、自らの考えで「望ましい横浜市の姿」を検討し、未来志向の政策提言をしていきます。具体的には、人口減少対策に特化し、子供を産み、そして育てやすいまちづくり、横浜市民や他の都市から移転を促す教育政策、横浜市で暮らしそして働くにはどのような施策が必要か、といった具体的なテーマ設定を行った上で進めます。なお、本科目は集中前期科目として、大学の教室と市役所の市民スペースという2ヵ所で8月・9月の夏季休業期間を活用し、集中的に行われ実施されます。

<本科目の特徴>

単なるアイデアを出すだけではなく、横浜市の財政状況も念頭に、歳出を増加あるいは減少、または分野に応じては事業中止も止むを得ないといったことを、地域社会の課題解決や地域住民の多様なニーズを満たす役割の中で実行可能な財政運営まで踏み込んでいる点が大きな特徴です。また、横浜市役所の財政局という市の一般会計や特別会計、公営企業会計等の予算編成を担当する部局の方達から多くの協力を得ています。
本科目は3年生を対象としているため、すでに一定の都市やまちづくりに関する基礎知識や分析方法を身に付けていることを前提としています。授業の内容は主に
  1. 財政局の方から歳入や歳出、中期計画などの講義
  2. 財政局の方から財政シミュレーションの操作法の指南
  3. グループ毎に未来の横浜市のまちづくりの考案と財政局の職員の方達にプレゼンならびに質疑応答
といった実務的な内容が展開されています。いわゆる、PBL(Problem Based Learning)という「課題解決型のアクティブラーニング」を大学教員だけではなく、横浜市役所の方達に協力頂き、より一層、実行可能性と持続可能性を担保とする生きた授業になっています。

<学生の学びと市役所の方達からの評価>

大学の授業の大半は大学教員が担いますが、本科目では市役所の財政担当の財政局の多数の職員の方から講義や財政シミュレーションの操作法、プレゼンをした上で質疑応答やコメントを頂くという経験を積みます。このことは、現場の第一線でご活躍頂く実務家の方からの教育や市役所の市民スペースという大学とは異なる場所での講義やプレゼンを介し、単なる思い付きではなく、いわゆるEBPMに基づく財政制約を踏まえた現実的な政策提言や実務家の方からの実行可能なコメントが得られることを意味します。
学生は大きな刺激や貴重な経験そして、実務家の方達からのご指導により詳細な知識や実行可能性のある政策提言の思考方法を身に付けることができます。また、財政局の方達からは学生達に「普段、われわれだけでは気が付かない視点から学生目線で斬新な政策提言が得られた。今後の参考にしたい」、「パワーポイントの作成方法やプレゼンが長けている」、「全体の概要から細部に入り、そしてその根拠を示しており、実行可能性を担保としている」、「ぜひ、財政局にスカウトしたいくらいだ」等の有難いコメントを頂戴しています。
9月15日に市役所の市民スペースで実施した本年度の最終報告会には、財政局の局長、副局長、部長、課長、係長や職員の方が総出で参加していただいた他、本学を担当している政策局大学調整課の方にも参加頂きました。学生達にとっても、非常に有難い機会であり、日ごろの勉強の成果を十分に発揮できたと考えています。
学部再編を経て2019年度に国際教養学部都市学系が発足し、本科目はまだ2年目ですが、昨年度の履修生の一部はすでに公務員に内定するなど、学生のキャリアにも結び付いています。受講生からは、「この科目で実践的なまちづくりを学び、そして体感し、自らまちづくりの実践者を志望した。」との意見もあります。
来年度も、横浜市財政局の方達のお力をお借りし、実践的な未来志向のまちづくりの授業を実施していきます。
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  • 08.働きがいも経済成長も
  • 09.産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 10.人や国の不平等をなくそう
  • 11.住み続けられるまちづくりを
  • 12.つくる責任 つかう責任