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防災教育のための動画をゼミで作成

2022.02.10
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動画で「防災」を子どもたちに!

自分自身が受けた防災教育というのは何が思い出せるでしょうか。小学校の時に受けた避難訓練を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
横浜市立大学国際教養学部には、「教養学系」「都市学系」という2つの学系がありますが、都市学系では、世界と日本の都市や地域の課題に実践的に取り組んでいます。その中で、地域の課題の1つである「防災」をテーマに学んでいるゼミがあります。
今回、ご紹介する3人は、所属している石川永子ゼミ(防災まちづくりゼミ)で「防災」について学修する中で、子どもがいざという時に備えて防災を楽しく学び、体験してもらえる動画を2種類制作しました。
石川ゼミメンバー
今回は、石川ゼミでゼミ長を務める坂井 里衣(サカイ リエ)さん、そしてゼミメンバーから、宮澤 夏海(ミヤザワ ナツミ)さん、渡邊 芽衣(ワタナベ メイ)さんの3人を取材しました。
まずは、ゼミ長を務めている坂井さんに話を聞きました。
国際教養学部 2年 坂井 里衣さん

なぜこのゼミで防災を学ぼうと思ったのですか?

防災について学んでいます。ただ、防災といっても非常に広い分野を指しており、例えば、災害が起きる前の対策について考える事も防災ですし、災害が起きてしまってからの復興を考えることも防災です。日本は災害大国であり、日本に住んでいるからには、防災は常に関わってくる分野だと思っています。
私自身は「まちづくり」を学びたくて横浜市立大学に入学しましたが、まちづくりといっても、観光・子育て・土地活用など様々な分野があります。その中で防災は、どの分野においても必要な観点だと思っており、防災について学べる石川ゼミを選択しました。

なぜ子どもたちに向けて動画を作ろうと思ったのですか?

人は身近に脅威を感じると、学ぼう!備えよう!と思うので、災害を経験することが一番の防災教育になると個人的には思います。もちろん、災害にはあわないのが理想ですが、日本だけではなく、世界各国で災害のニュースは後を絶ちません。
東日本大地震から11年経った今、大きな災害を経験していない子どもが多くなってきています。過去にあった災害を風化させないため、そして身近で何かあったときのために、子どもたちに防災を学んでほしいと考えました。
そして、コロナ禍という事もあり、イベントなどが出来ないので子どもが一人でも、自宅で簡単にできることで防災を学べたら良いのではないかと考えて、動画を作成することにしました。

ゼミ長ならではの苦労があれば教えてください。

みんな真面目で意見を持っているメンバーだったので、大きな苦労はありませんでしたが、一部のメンバーだけではなく、全員で主体的に動けるように工夫をしました。例えば、「SNS係」とか「スケジュール係」とか全員に何かしらの担当を付けたり、話し合いの場では、挙手制ではなく、全員に意見を聞くようにするなどです。
私達のゼミでは、先輩がいないということもあり、先生に多くのアドバイスをいただきながら、メンバーが一人一人主体的に動くように心がけました。
次に、実際に制作した2つの動画に関して、それぞれのチームを代表して宮澤さん・渡邊さんの2人に話を聞きました。

防災ビンゴゲーム

 子どもたちが楽しく防災について学べる機会として、ビンゴゲームをしながら、災害時の防災グッズについて学ぶというコンテンツを制作しました。
今回、こちらのビンゴゲームでは、対象を小学校低学年と考えているため、紙とペンだけがあればできるように工夫をしています。 防災グッズについては自分たちで調べて、指導教員の石川先生にアドバイスをいただきながら動画を制作しました。
ただ、実際に色々な方に見てもらったところ、「小学校低学年には漢字は難しい」「もっと簡素化した方が良い」など多くのアドバイスをもらっています。
国際教養学部 2年 宮澤 夏海さん
小学校低学年の子どもだけではなく、防災グッズについてご興味のある方など、ぜひ多くの方に視聴していただきたいと思います。
私たちは、石川ゼミ1年目ということもあるので、後輩たちには、ぜひ改訂版を作ってもらえたら嬉しいです。

ぼうさいクッキング

防災教育は、ゼミの活動のとっかかりを得るために石川先生が提案してくださったものです。その中で、コロナ禍でもできる活動を模索した結果、防災動画の作成に至りました。
今回のテーマを「非常食」としたのは、非常時に生活する中で、食事を確保する事は重要だと考えたからです。しかし、非常時に食事を用意するという訓練を受ける機会はあまり無いと思っており、その機会が各家庭で持てたら良いのではないかと感じ、家でも出来る非常食クッキングという動画を制作しています。
国際教養学部 2年 渡邊芽衣さん
小学校などの授業やイベントで活用してほしいと思っていますが、まだまだ改善が必要なところも多いと思っています。
一方で、このような取り組みが児童の防災意識を高めるとともに、その親の世代にも防災意識の向上や、非常時への対応力を高めることに寄与しているのではないかと考えています。
石川ゼミの学生たちは、子どもに防災を伝える「防災教育」について、自ら考え、動画制作という形で、学びをアウトプットしました。
今回、学生たちの動画制作を支えた指導教員の石川先生に話を伺いました。

<指導教員・石川永子准教授のコメント>

防災まちづくりゼミでは、今回のような動画制作を通じた防災教育のほかに、横浜市役所と連携した事前復興まちづくりワークショップ、障害のある方や外国につながる人々など多様な人々に優しい防災情報の伝え方や意思決定の場への参画のデザインなどに取組んでいます。
石川ゼミには、地域の方々や市役所職員、子どもたちなど、多くの人々の関わりのなかで、防災まちづくりを学びたい意欲的な学生が多くいます。コロナ禍では、学外の学びの機会が限られるなかで、どのように自分達のアイディアや思いを発信できるか悩んだ結果、動画制作に至りました。若い人たちにとって動画は、非常に身近な表現の場であり、工夫次第では発信力もあります。積極的に意見を出し合い、魅力的なものになったと思います。
今後の課題としては、実際に、子どもたちや親、小学校の教諭の方々などに見ていただいて、「わかりやすく、子どもが集中して見ることができる長さで伝える工夫」をしていかねばならないと考えています。また、こういった動画と関連して、実際に対面で防災教育を展開するプログラムの検討やツールの開発といった、地域防災のなかでの活動の展開も考えられるでしょう。そして、一番大切なことは、動画で伝えたいテーマをどう設定するかなので、今後は、ゼミの研究テーマとも連携した石川ゼミらしい動画を発信していけたら良いと思っています。
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