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雄性生殖細胞の全分化過程の試験管内再構成に成功 —ES細胞から精子まで全過程を体外で誘導する—

2021.09.08
  • プレスリリース
  • 研究

雄性生殖細胞の全分化過程の試験管内再構成に成功

—ES細胞から精子まで全過程を体外で誘導する—

横浜市立大学 大学院 医学研究科 臓器再生医学 小川毅彦 教授、佐藤卓也 同助教、京都大学 高等研究院 ヒト生物学高等研究拠点(WPI-ASHBi)の斎藤通紀 拠点長/主任研究者/教授(兼:同大学院医学研究科 教授)、同大学院 医学研究科 石藏友紀子特定研究員らの研究グループは、マウス多能性幹細胞(ES細胞)から、雄の生殖細胞の全分化過程を試験管内で再現することに成功しました。

本研究グループは、これまで、ES 細胞から始原生殖細胞様細胞を誘導し、再構成精巣法を用いて、精子の元である精子幹細胞様細胞の長期培養株 Germline stem cell-like cells (GSCLCs)を誘導することに成功してきました。次の目標として、再構成精巣法をさらに改善し、培養の途中過程を生体における雄性生殖細胞の発生過程により近づけること、GSCLCs からオスの配偶子である精子まで体外培養にて遂行させることを目指しました。

本研究では、前述の課題を解決するため、使用する細胞株の選定、培養で用いる細胞と培養条件の改善、1細胞由来の GSCLCs を樹立することによる細胞集団の不均一性の排除、を組み合わせることで、培養過程と誘導した細胞を、より詳細に解析する技術を確立しました。また、小川教授らが確立した体外精子誘導法注 5 と組み合わせることで、ES 細胞由来の GSCLCs を、試験管内で健常な産仔に寄与する精子まで誘導することに、世界で初めて成功しました。これにより、ES 細胞から精子まで、雄性生殖細胞系列の全分化過程について、試験管内で再構成することを達成しました。

本研究成果は、2021 年 9 月 8 日に国際学術誌『Cell Stem Cell』のオンライン速報版で公開されました。
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