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生命医科学研究科・坂本和香さん、日本質量分析学会 第69回質量分析総合討論会でベストプレゼンテーション賞 口頭発表部門・優秀賞を受賞

2021.07.02
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日本質量分析学会 第69回質量分析総合討論会において、ベストプレゼンテーション賞 口頭発表部門・優秀賞を受賞

大学院生命医科学研究科博士前期課程1年の坂本和香さん(指導教員:明石知子教授)は、2021519日(水)~21日(金)にオンラインで開催された日本質量分析学会 第69回質量分析総合討論会において口頭発表を行い、ベストプレゼンテーション賞 口頭発表部門・優秀賞を受賞しました。 たった一つのヒト赤血球をサンプリングして、ヘモグロビンを壊さずに質量分析で観測することに成功し、その実験手法について詳しく報告しました。

坂本和香 さん

【学会名】
日本質量分析学会第69回質量分析総合討論会

【受賞者】
生命医科学研究科 博士前期課程 1年 坂本 和香 さん

【受賞した賞】
ベストプレゼンテーション賞 口頭発表部門・優秀賞

【発表演題】
1細胞ネイティブ質量分析の開発

【指導教員】
明石知子教授

<発表内容>

 「一細胞」のサンプリングで分析できるということは、細胞の平均像でなく個々の様子を比較できることになります。その際、「ネイティブ」、すなわち自然の状態での質量分析では、細胞内のタンパク質の機能している様子をより正確に知ることができると期待できます。そこで、ヒト赤血球を用いて一細胞ネイティブ質量分析法を開発することを試みました。一つの赤血球細胞には、0.45フェムトモル(0.45×10-15モル)のヘモグロビン分子(タンパク質)しか含まれていません。そこで、顕微鏡で観察しながら赤血球1個をサンプリングし、ネイティブ質量分析のための様々な条件を最適化することで、一細胞ネイティブ質量分析を可能にしました。細胞のサンプリングの様子について効果的に動画を利用して示し、どのような条件を検討することで、最終的には赤血球の数を1個に減らしてデータをとることができたのかについて、分かりやすく12分間で発表し、出された質問に答えました。

<受賞コメント>

この度は学会で発表するという貴重な機会を得られ、さらには名誉ある賞を頂き、大変嬉しく思います。これは、研究の方法、発表の仕方についても、丁寧にご指導して下さった明石先生と、度々助けていただいた共同発表者の小沼先生、畔上さん、構造エピゲノム科学研究室の皆様のおかげです。心より深く感謝申し上げます。発表を通して、研究内容を第三者に伝えることの難しさを実感し、聴く人の立場に立って説明することの大切さを学びました。今後は赤血球での一細胞ネイティブ質量分析の研究を生かし、より複雑なヒト細胞での研究に取り組みます。より一層、学ぶ姿勢を大切にし、研究に精進していきたいと思います。ありがとうございました。

<指導教員の明石知子教授よりコメント>

 坂本さん、おめでとうございます!2020年2月下旬に静岡県立大学の水野初先生の研究室で、細胞のサンプリング方法を教えていただいてから間もなく、緊急事態宣言が発出され、2か月近くの研究停止期間がありました。6月に研究活動が再開されると待ちかねたように精力的かつ真摯に研究に取り組み、研究開始から約1年後の2021年3月に一細胞ネイティブ質量分析を完成させることができました。成果について、4月に論文発表するとともに、質量分析という分析手法にフォーカスした口頭発表を5月に行い、今回の受賞に至ったことは、坂本さんの努力の賜物といえます。これからも、「自分で考え実験する」「積極的に知識を深める」姿勢で、研究活動を進められることと期待しています。

問い合わせ先

横浜市立大学 広報課
E-mail:koho@yokohama-cu.ac.jp

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