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AIによる精子判別・評価システムを開発~人工知能による生殖医療支援~

2019.04.04
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AIによる精子判別・評価システムを開発

人工知能による生殖医療支援


本研究のポイント

・専門家でないと判別が難しい精子と他の細胞をAIが瞬時に判別

・胚培養士の判断基準をもとに学習をしたAIが精子のグレードを5段階で評価

・胚培養士に判別結果と評価を提示することで生殖医療の高度化に貢献

研究概要

横浜国立大学工学研究院の濱上知樹教授、同研究室博士課程2年佐々木勇人さんと、横浜市立大学附属市民総合医療センターの生殖医療センター部長 湯村寧准教授と、胚培養士山本みずきさんらの研究グループは、男性不妊治療において胚培養士が行うTESE(精巣内精子採取術)を、人工知能(AI)を使って支援するシステムを開発しました。

研究成果

判別が難しい精子とそれ以外の細胞を見分ける新たなAI(適応的閾値ブースティング法)と、経験豊かな胚培養士が選択する特徴を数値化するAI(カスケード型グレーディング法)を連携させ、高度な知識と経験が必要な精子の選択作業を半自動化することができます。さらに、国内外の診療所における胚培養士の作業データをクラウド上で共有し、継続的にAIが学習するシステムのプロトタイプを世界で初めて実現しました。本研究の成果は、基礎技術が電子情報通信学会論文誌 (2019.2)に発表されました。また、受精着床学会(2019.8), 生殖医学会(2019.11)に発表予定です。


実験手法

予め同意を得て収録された精子採取動画から約17万個の細胞サンプルを抽出しそれぞれについて精子・非精子の学習を行い、偽陽性率(FPR)0.3固定の状態で真陽性率(TPR)=0.97~0.98の精度を得ることに成功しました。さらに6人の胚培養士の判定結果から、5段階のグレードを推定することができるようになりました。

社会的な背景

男性不妊の中でも無精子症の症例数は 2–16%を占めると言われています。その治療方法として精巣内精子採取術(Testicular Sperm Extraction: TESE) が知られていますが、精子回収には限られた時間の中で有望な精子を見つけ出す高い細胞識別能力が要求されます。この専門的な技術を有する胚培養士の負担は極めて高く、成功率を上げるための精子の探索・評価の支援技術が求められています。

今後の展開

このシステムの実用化により、男性不妊治療における受精率の向上、患者の費用負担の軽減、胚培養士の負担軽減や、熟練した胚培養士の技術伝承に活用できます。また、生殖補助医療分野、とくに精子の選別・探索、男性不妊症検査の高度化に大きく貢献します。

問い合わせ先

 (取材対応窓口、資料請求など)
公立大学法人横浜市立大学
研究企画・産学連携推進課長 渡邊 誠
TEL:045-787-2510 Fax : 045-787-2509
E-mail: kenkyupr@yokohama-cu.ac.jp



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