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生命医科学研究科 廣瀬建さんが日本結晶学会年会でポスター賞を受賞!

2019.12.04
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生命医科学研究科 廣瀬建さんが日本結晶学会年会でポスター賞を受賞しました。

日本結晶学会授賞式

大学院生命医科学研究科博士前期課程2年の廣瀬建さん(指導教員:禾晃和准教授)が、2019年11月19日(火)~20日(水)に石川県金沢市で開催された日本結晶学会令和元年(2019年)度年会においてポスター発表を行い、ポスター賞に選出されました。


受賞者
生命医科学研究科 博士前期課程 2年 廣瀬 建さん

指導教員
禾 晃和 准教授

発表演題
「親水性領域部分断片とFab断片の共結晶構造解析による膜内切断酵素特異的抗体のエピトープ領域の探索」

発表内容
細胞を取り囲む細胞膜は脂質二重層と呼ばれる構造をとり、内部は水が入り込みにくい疎水的な環境になっています。
細胞で働くタンパク質の中には、細胞膜に埋もれて存在する膜タンパク質と呼ばれるものがあり、疎水的な環境に適応するために水に溶けにくい性質を持っています。
タンパク質の働き(生理機能)を知る上では、タンパク質の形(立体構造)を調べることが重要ですが、水に溶けにくい膜タンパク質は立体構造を決定することが容易ではありません。例えば、タンパク質の精密な立体構造を決定する代表的な実験手法であるX線結晶解析では、まずタンパク質がきれいに並んだ結晶を作りますが、膜タンパク質は周りを脂質や界面活性剤などで取り囲んだ状態で取り扱う必要があり、水に溶けやすいタンパク質に比べて結晶化させるのが困難です。このため、膜タンパク質の結晶化を促すために様々な工夫が考案されており、その中の1つとして膜タンパク質を認識する抗体の断片を結合させる方法が挙げられます。抗体の断片が間に入ることで、膜タンパク質分子同士が上手く積み重なって結晶が出来上がると考えられています。
廣瀬さんの研究では、この結晶化法を膜の中で働く酵素タンパク質に適用するために、この酵素タンパク質を認識する抗体を複数取り上げ、それぞれの抗体が酵素タンパク質のどの領域を認識しているかを詳しく調べました。
今回の研究を通じて得られた知見は、今後、立体構造や生理機能の解析を進めていく上で有用なものとなると期待されます。
受賞記念品 輪島塗の漆器

廣瀬 建さんのコメント

数ある発表の中から私の研究発表を評価していただき光栄に思います。
初の学会発表ということもあり、このような賞をいただけると思っておらず大変驚きました。
日々、手厚く指導してくださる禾晃和准教授をはじめ、構造生物学研究室の皆様のおかげであり、この場をお借りし心より感謝申し上げます。
発表当日は、結晶学の専門家の方々との議論が白熱し、自身の力不足を痛感するとともに、研究への理解がより一層深まりました。さらに、多様な視点から今後の活動につながるアドバイスも多くいただき、非常に有意義な時間となりました。
本学会を通した貴重な経験を活かし、研究活動に精進していきたいと思います。

指導教員の禾 晃和 准教授のコメント

受賞おめでとうございます。
博士前期課程2年間という限られた時間の中で研究成果をまとめ、ポスター賞として評価されるような発表を行うことが出来て本当に良かったと思います。
廣瀬くんには、私の研究グループで長年取り組んでいる研究プロジェクトに加わってもらいましたが、自分自身が研究を始めるまでの背景やその中での研究テーマの位置付け、そして今後の展開について丁寧に説明できたことが評価されたものと思います。
大学院生活もあと数ヶ月ですが、これを励みにしてさらに研究を深めて行ってくれたらと思います。





日本結晶学会とは
1936発足のX線懇談会を前身として1950年に創立。
物理学、化学、生物学、鉱物学など幅広い学問分野の専門家が、結晶に限らず、気体、液体、溶液、表面・界面の状態について、X線回折や電子回折、中性子回折、X線分光など様々な手段を用いて包括的な研究を行う学会。(日本結晶学会HPより)
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