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生命ナノシステム科学研究科 梅村隼人さんが、植物化学調節学会 第54回大会でポスター賞を受賞 !

2019.12.02
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生命ナノシステム科学研究科 梅村隼人さんが、植物化学調節学会 第54回大会でポスター賞を受賞 !

生命ナノシステム科学研究科 生命環境システム科学専攻 博士前期課程1年の梅村隼人さん(指導教員:嶋田幸久教授)が、2019年11月15日(金)~17日(日)に鳥取市で開催された、植物化学調節学会第54回大会で研究成果を発表し、ポスター賞を受賞しました。

学生会員ならびに正会員による発表78件の中から、内容的に特に優れているものとして評価され受賞に至りました。

受賞者
生命ナノシステム科学研究科 生命環境システム科学専攻
博士前期課程 1年 梅村隼人さん

指導教員:嶋田幸久教授、中村郁子助教

発表演題
「イチゴの単為結果に有効なオーキシンの検討と作用解析」

研究発表内容

単為結果とは植物において受精を経ずに着果し、肥大する現象です。通常、植物は受粉し、受精をすることによりオーキシンやジベレリンなどの植物ホルモンが合成され、果実が正常に肥大します。一方で、オーキシンやジベレリンが果実の肥大にどのように作用しているかについては不明点が多くあります。

トマトなどでは、受粉の代わりに花にオーキシン処理を行うと、見かけ上受粉した果実と同程度に発育します。しかし、イチゴにおいてはこれまで受粉直前の花に1-naphthaleneacetic acid (NAA)というオーキシンやジベレリンを処理すると果実が肥大しますが、大きさにおいて受粉果実に劣ると報告されていました。

本研究ではNAAを含む13種類のオーキシンの中から4-Amino-3,5,6-trichloroPicolinic Acid (ピクロラム、Pic)というオーキシンがイチゴの単為結果により効果的であることを発見し、それを用いて果実の肥大に関する研究を行いました。
ピクロラムを受粉させていない花に処理すると、受粉させたものとほぼ同じ大きさまで肥大しました。このことから、イチゴ果実の肥大にはこれまで必要と考えられていたジベレリンが必要なのか疑問が生じました。そこで、ジベレリン生合成酵素FvGA3ox4遺伝子の発現を抑制させると果実の肥大が抑制されました。このことから、イチゴでは果実肥大の際にオーキシンがまず作られ、それによってジベレリンが誘導されることが重要であると考えられます。

梅村隼人さんのコメント

ポスター賞に選ばれるとは思っていなかったので、大変驚いています。発表にあたり嶋田教授、中村助教をはじめとした植物応用ゲノム科学部門の方々に何度もポスターの添削をしていただきました。この場を借り、感謝申し上げます。発表当日は植物ホルモンの専門家、企業の研究者、学生の方々から多くの助言をいただきました。
この学会で得られた経験を今後の研究に活かしていきたいと考えています。

指導教員 嶋田幸久教授のコメント

梅村隼人君は国際総合科学部1年次より、実習でも納得いくまで1人で残って観察を続けるような熱心な学生でした。学部2年次には自らの卒業研究を見据えて卒業研究発表会に参加し、耳を傾けていました。当研究室に所属後も研究所内で開催される外部の先生の講義やセミナーにも熱心に参加し、勉学を怠ることがありません。

今回受賞した研究の手法は目新しさも画期的なものでもなく、小さな駒を積み上げていくような単純ですが、丁寧さを必要とするものでした。その地道ですが着実な努力が実り、今回の受賞に結びついたと確信しております。現在も今回の発表内容を学術誌にまとめながら、そこから発展した次の課題に着手しており、今後の成果が待たれます。

植物化学調節学会とは

1965年(昭和40年)に植物化学調節学会の前身 「植物化学調節研究会」が、田村三郎東大教授(当時)をはじめとする約210名の研究者により設立。以来、植物の生長調節の基礎から応用まで、幅広い分野の研究者・技術者の情報交換と交流の場を提供してきました。 1984年(昭和59年)に、さらなる発展を期して、名称を「植物化学調節学会」に改称し、現在では、生物学・生理学・化学にとどまらず、分子生物学分野の研究者と技術者まで含めて活動。植物の化学調節に関する科学ならびに技術の発展に貢献することを主な目的としている学会です。
(植物化学調節学会HPより)
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