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再生生物学 小島伸彦研究室の成果が国際シンポジウム「MHS2014」で最優秀論文賞を受賞!

2014.12.04
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再生生物学 小島伸彦研究室の成果が国際シンポジウム「MHS2014」で最優秀論文賞を受賞!

平成26年11月12日、名古屋大学で開催された国際シンポジウムにおいて、大学院生命ナノシステム科学研究科 小島伸彦准教授の口演発表「Assembly of the Hybrid Multicellular Spheroids using Epithelial Cells and Hydrogel Beads」がBest Paper Award(最優秀論文賞)を受賞しました。
国際シンポジウムMHS2014(25th IEEE International Symposium on Micro-Nano Mechatronics and Human Science in 2014)は、11月9日から12日まで4日間に渡って開催され、マイクロマシン、マイクロセンサー、ナノテクノロジーやヒューマンインターフェースといった「ものづくり」の最先端技術に関する研究者が集いました。
本賞の受賞は、これらの専門家によって小島 伸彦研究室の「試験管内でマイクロ臓器をつくる技術」が高く評価された結果といえます。

研究の概要

小島伸彦研究室では、実際の生体機能や生体構造を備えた3次元的なミニチュア臓器を、試験管の中でつくる研究を行っています。従来の3次元細胞培養技術は細胞をボール状に凝集させただけのものでしたが、適当に細胞が詰まっただけの臓器は、体のどこを探しても存在しません。我々の体は、細胞が秩序正しく配列することによって様々な機能を発揮しているのです。したがって、疾病の原因解明や薬の探索には、実際の臓器と同様の細胞配列を持った組織をつくる必要があります。同研究室では、細胞が自ら組織化する能力を最大限に活用して、生体に類似した微細構造を備えた肝臓や膵島といった臓器・組織の構築法を開発しています。

受賞の対象となった発表は、特に肝細胞などの上皮細胞で3次元培養を行う際、極性構造の不完全形成によって生じる大規模な細胞死を解決する方法に関するものでした。具体的には、細胞と同程度の大きさを持つハイドロゲルビーズを3次元凝集体内部に一定の割合で混入させることで、細胞の上皮様シート構造とハイドロゲルビーズによる空間が積層された微小環境をつくりだし、マウス胎仔肝細胞を良好に培養できることを示しました。ハイドロゲルビーズを混入させた3次元組織を作製・培養する方法は、高分子を用いた非常にユニークなものであり、同研究室の独自の技術です。
発表で用いたスライドより。マウス肝前駆細胞を3次元的に凝集させて、分化誘導因子とともに7日間培養した。培養後に上皮細胞のマーカーであるCK8/18に対する抗体を用いて免疫染色を行った。左図は細胞だけを凝集したものであり、内部で大規模な細胞死が生じていることが分かった。
一方、右図では細胞と同数のハイドロゲルビーズを混入して培養したものであり、凝集体内部で細胞がシート状の微細構造を獲得し、より生体に近い状態で培養できていた。

小島伸彦准教授のコメント

今回受賞した研究課題は、小島研究室の本山和加子(国際総合科学部4年)が研究を行った成果であり、また佐賀大学医学部の青木茂久准教授との共同研究です。
国際シンポジウムMHS2014は、マイクロ・ナノレベルの加工技術を駆使したメカトロニクス領域に関わる研究者が議論を交わす場です。「微小環境を再現した臓器作製技術の開発」という研究室の研究成果が、機械や電気を専門とする研究者達の間で高い評価を受けたことは、学際領域におけるテーマについて高い研究開発能力を有していることを示しています。実際にシンポジウム会場ではロボティクスを専門とする研究者から共同研究の申し出がありました。今後も幅広い分野の研究者と交流しながら、研究・開発を進めていきたいと考えています。
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