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木原生物学研究所 嶋田幸久教授らの共同研究グループが、桃の日持ち性を向上する鮮度保持剤を開発 ~日本農業新聞(平成26年7月9日付)に掲載~

2014.08.06
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木原生物学研究所 嶋田幸久教授らの共同研究グループが、桃の日持ち性を向上する鮮度保持剤を開発 ~日本農業新聞(平成26年7月9日付)に掲載~

横浜市立大学木原生物学研究所 嶋田幸久教授は、桃の軟化を抑制する「鮮度保持剤」を農研機構・果樹研究所と共同で開発しました。これにより桃の日持ちの悪さを改善し、安定供給への貢献が期待できます。
本研究成果は、日本農業新聞(平成26年7月9日付)に掲載されました。

研究の内容と成果  桃は樹上で完熟させて

桃は樹上で完熟させて収穫するため傷みやすく、出荷、流通段階でロスになる割合も多いため、安定供給に向けた日持ちの向上が課題となっています。植物ホルモンの一種であるエチレンには、果実の成熟を促す作用があります。桃もエチレンが急増することで急激に果実が軟化します。エチレンの生成を阻害できれば果実の軟化を抑制できるとみられますが、エチレンの生成の制御が難しかったため、別の植物ホルモンであるオーキシンに着目し、オーキシンがエチレン生成の誘発に関係していることを突き止めました。
研究チームでは直接エチレンの生成を抑えるのではなく、「オーキシン生合成阻害剤」を開発しました。オーキシンの生成を阻害することで、エチレンを作る因子が抑制できることも分かりました。開発した剤は、収穫後の果実に吹き付けて使います。
主産地で生産が多い「あかつき」と「川中島白桃」を使って試験をした結果、処理4日後の果肉は薬剤を使わなかったものに比べ、硬さが維持されていることを確認しました。

今後の展開

開発したオーキシン生合成阻害剤は、「果実の鮮度保持剤」として特許を申請しています。また、この薬剤は軟化の進んだ果実には効果がないため、今後は適切な処理時期などを検討し、桃の日持ちの悪さを改善して安定供給に貢献できる技術として確立していくことが期待されます。
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