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生命ナノシステム科学研究科橋本博助教らのグループが生殖細胞の形成に重要な働きをするタンパク質「ナノス」の構造を解明しました

2010.11.26
  • プレスリリース
  • 研究

概要

生命ナノシステム科学研究科の橋本博助教らの研究グループは、生殖細胞の形成に重要な働きをするタンパク質「ナノス」の構造を世界で初めて原子レベルで解明しました。この成果は三重大・田丸浩准教授らの研究グループとの共同研究による成果です。
この成果は10月15日付の欧州の分子生物学専門紙(EMBO Reports)オンライン版で発表されました。掲載論文タイトル;Crystal structure of zinc-finger domain of Nanos and its functional implications.また本論文は、日本経済新聞10月15日付夕刊、日経産業新聞10月8日付でも紹介されました。

研究概要

ナノス(Nanos)はヒトなどの高等真核生物が普遍的に持つるタンパク質です。ナノスは精子や卵子などの生殖細胞の基になる始原生殖細胞の形成に必要なタンパク質であり、ナノスの異常は生殖異常や不妊という結果をもたらします。ナノスはmRNAに結合することで標的遺伝子の翻訳(タンパク質合成)を阻害します。この機能が始原生殖細胞の形成と維持に必要であることが知られていましたが、ナノスの原子レベルの立体構造やRNAとの相互作用機構はわかっていませんでした。研究チームは、高エネルギー加速器研究機構の放射光を利用して、脊椎動物のモデル生物であるゼブラフィッシュのナノスのX線結晶構造解析に成功しました。その結果、ナノスはこれまで無い新奇な構造であることがわかりました。さらに、ナノスの分子表面はRNAと相互作用するのに都合の良い性質を持っていることもわかりました。

今後の期待

今回の結果はナノスが関与する生殖細胞の異常や不妊を理解する上で重要な知見であると考えられ、生殖メカニズム解明への貢献が期待されます。
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