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大学院医学研究科 五嶋 良郎 教授が大阪大学と共同でセマフォリンの作用メカニズムを解明しました—英科学誌Natureに掲載—

2010.09.30
  • プレスリリース
  • 研究

概要

セマフォリンは、からだの中で神経回路の形成、心臓血管系、免疫系、骨形成などに広くかかわる一群の生体内活性分子であり、現在ではがんの転移浸潤、血管形成、脊髄損傷、免疫アレルギー疾患などにかかわることがわかっています。今回、大学院医学研究科 五嶋 良郎教授は大阪大学の高木 淳一教授、熊ノ郷 淳教授らとの共同研究によりセマフォリンの分子レベルの作用メカニズムを解明しました。この成果は9月29日付けの英科学誌Natureに発表されました。

研究概要

セマフォリンがどのように体の中で作用を発現するかは良くわかっていません。今回の研究では、セマフォリンの中でもセマフォリン6A(sema6A)とセマフォリン3A、そしてその受容体としてプレキシンA2(plexA2)という分子の構造解析により、従来予想されたものとは異なる意外なしくみで細胞にシグナルが伝わり作用することが明らかになりました。今回提起されたモデルでは、プレキシンは情報が伝わらない状態では、二つのプレキシン分子がhead-on(頭と頭をつきあわせた状態)になっているのに対し、face-to-faceで顔と顔をつきあわせた状態で会合した二つのセマフォリン6Aに、二つのプレキシンが近寄り、セマフォリン6Aの頭の面とプレキシンの頭の面が結合する状態へと移行するとシグナルが伝わるというものです(下図)。このような認識の様式は、どのように細胞膜から細胞の中へとシグナルが伝わっていくかを明らかにする上で重要な知見となります。

今後の期待

今回の成果によりセマフォリンを標的にしたがんや免疫アレルギー疾患などに対する新たな薬の開発が期待されます。
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