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横浜市立大学が出願した新規ベクターに関する特許が成立!

2010.09.09
  • プレスリリース
  • 研究

—組換えタンパク質を簡単かつ高速に作製する基礎技術—

 国際総合科学研究科生体超分子科学専攻(現横浜市立大学大学院生命ナノシステム科学研究科・生体超分子システム科学専攻)に所属していた廣明秀一・天野剛志・合田名都子の3名(いずれも現在神戸大学大学院医学研究科所属)の発明「新規ベクター及びその利用」が、日本特許庁より特許査定され平成22年4月9日に特許権が成立した(特許第4487036号)。この特許権は、公立大学法人横浜市立大学が保有している。

発明の概要

○PRESAT-vectorのもととなるT-vector法の一般的特徴として
・PCRで増幅されたDNA断片を後処理なしで直接サブクローニング可能 [簡単]
・低バックグラウンドでライゲーション反応が可能 [高効率]

○タンパク質融合発現ベクターの一般的特徴として
・サブクローニングした遺伝子をすぐさま融合タンパク質として発現し機能解析が可能

○今回開発された独自の新技術
・PRESAT-vectorは遺伝子方向性選択法という新技術を利用しており、cDNAをタンパク質にするときの遺伝子の方向性を正しい方向の一方向のみに限定することが可能(90%以上) [方向性クローニング]
・PRESAT-vectorを使用者が自身で増幅・作製できる [安価]
・AhdI 制限酵素処理によりPRESAT-vectorを使用者が自身で作製するため、他の方法(TdT法・Taq法)よりも高純度で高ライゲーション効率のPRESAT-vectorを作製可能 [高効率]
・今回設計したDNA配列(AhdIリンカー)を用いれば、GSTベクターに限らず他の任意のタンパク質発現用ベクターをPRESAT-vectorに改良できる [広い拡張性]
・上記を組み合わせることで、例えば96穴プレートを用いて複数のタンパク質の発現系を網羅的に作製し、かつその発現系によって生産されるGST融合タンパク質の溶解度を網羅的にアッセイして、溶解度の高いタンパク質(有用性の高いタンパク質)のみを高速で選別することが可能となる [プロテオミクス研究に適用可能]

●PRESAT-vectorを用いることの利点●
◆ 求めるタンパク質を作製する期間が、今までの方法の約2/3に短縮できる
◆ 求めるタンパク質を作製する費用が、今までの方法の約1/3に減少できる

-以上—
※本特許は、既にドイツ(特許番号60 2004 017 488.2-08)及びフランス(特許番号1669445)において成立している。
※この特許の基となった研究は、平成12年~平成17年度に横浜市立大学を中心に行われた、独立行政法人科学技術振興機構の横浜市地域結集型共同研究事業「機能性タンパク質の解析評価システムの開発」の中で行われた。
※本学は株式会社リクルートテクノロジーマネジメント開発室に特許のライセンスについての事務を委託しています。本特許のライセンスを希望される方は、株式会社リクルートテクノロジーマネジメント開発室 山本卓(Tel:03-3575-8680)までご連絡下さい。
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