Tel.045-787-2800(代表) お問い合わせ

乾癬

乾癬の疾患情報

乾癬では銀白色のフケのようなものがつき、境界明瞭な盛り上がった紅斑が全身の皮膚にみられます。
日本では人口の0.34%、約43万人の患者さんがいると推定され、徐々に増加傾向にあります。
人によっては皮膚だけでなく、爪が変形したり、指の関節やアキレス腱などが腫れたり痛んだりして、日常生活にも影響をおよぼすことから、適切な治療を行うことが重要です。

乾癬は皮膚疾患の中でも、その見た目と症状・経過から非常に患者さんの生活の質を傷害することが知られています。その発症原因として、遺伝的な素因に加えて、肥満・喫煙・感染症などの環境的な因子が加わって発症すると考えられています。

以前は、乾癬は皮膚だけの病気として考えられていましたが、近年の研究により関節炎、眼のぶどう膜炎、炎症性腸疾患、心血管病変、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病を合併しやすいことから、全身性の炎症性疾患として捉えられています。

乾癬は、一昔前は“治らない”病気と言われていましたが、今は多くの新しい薬剤が乾癬に使用可能となっており、乾癬に悩まれることなく日常生活を送ることができるようになっています。
乾癬治療においては皮膚科医のみならず、乾癬の合併症に関係する各科と連携していくことが乾癬治療において重要となります。

当科では乾癬の専門的評価・治療に力を入れるため、ついて乾癬センターを立ち上げました。
乾癬を専門とする皮膚科医に加えて、リウマチ内科や糖尿病内科の医師が加わり、一緒に患者さんを診察し、専門的視点から熱い議論を交わすことで、患者さんにとって最適な加療を提供しています。

当院には神奈川県内だけではなく、幅広いエリアから、現在毎週50〜60人以上の患者さんが通院されています。

乾癬センターの詳細については当院の乾癬センターのホームページを是非ご参照ください。

  • 乾癬①
  • 乾癬②
  • 乾癬③

乾癬の検査

採血検査、レントゲン検査、関節エコー検査、MRIなどを行い、メタボリックシンドロームなどの合併症や、関節炎の合併がないかを確認します。また、バイオ製剤導入の前などに、悪性腫瘍や感染症がないか、スクリーニングのCTも行っています。

特に早期診断や鑑別診断が難しい乾癬性関節炎については、関節エコーやMRIなどの積極的な画像検査に加えて、皮膚科とリウマチ内科の合同外来で患者さんを同時に診察することで診断のみならず、治療方針についても情報共有し、早期の診断と適切な治療介入を目指していきます。

乾癬の治療法

2021年度実績2021年度実績

ここ数年の乾癬治療の進歩は著しく、適切な治療の導入によって、多くの方がほぼ病気が気にならない状態で生活できるレベルまで改善することができます。

皮疹だけではなく、乾癬性関節炎、乾癬性ブドウ膜炎、メタボリック症候群などの合併症に対しても皮膚科だけでなく関連する診療科と連携して、外用療法、内服療法、光線療法(ナローバンドUVB療法、エキシマライト)、生物学的製剤などを駆使して、総合的にマネージメントできる治療選択を行います。

外用療法

最も治療の基礎となるものです。ステロイド(皮膚の炎症を抑える)+ビタミンD3(皮膚が過剰に作られることを抑える)の外用を行います。

内服療法

オテズラ(PDE4阻害薬)、ソーティクツ(Tyk2阻害薬)、チガソン(ビタミンA誘導体)、ネオーラル・メトトレキサート(免疫抑制薬)などの内服療法を、患者さんの状態に合わせて選択します。

光線療法

光線療法で使用する機器光線療法で使用する機器
光線療法で使用する機器
左:全身型 NB-UVB 右:ターゲット型 エキシマランプ

光線療法は皮膚の過剰な免疫反応を抑える治療方法です。現在広く使用されているのは、UVBに含まれる有害な波長を取り除き治療効果が高い波長のみを使う「ナローバンドUVB療法(NB-UVB)」です。
NB-UVB療法では全身に紫外線を照射しますが、手足など発疹の限局した部位のみに照射する「ターゲット型エキシマランプ」もあります。

生物学的製剤(バイオ)

塗り薬や飲み薬など、これまでの治療で十分な効果がみられない患者さんには「生物学的製剤」という注射が用いられます。
生物学的製剤は、乾癬で大量に出ている、炎症にかかわるたんぱく質(サイトカイン)の働きをピンポイントで抑えて症状を改善します。他の治療方法に比べて乾癬の皮膚症状に対する効果が高く、関節症状にも効果があります。
生物学的製剤による治療は、日本皮膚科学会が導入治療の実施を認めた病院やクリニックでのみ始めることができます。

乾癬で使用する生物学的製剤一覧

製品名
(一般名)
ターゲット 投与経路 自己注射 維持投与中の投与間隔
レミケード
(インフリキシマブ)
TNFα
 
 
点滴 × 8週(4週間に短縮可)
ヒュミラ
(アダリムマブ)
皮下注射
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
2週
シムジア
(セルトリズマブ)
2週もしくは4週
ステラーラ
(ウステキヌマブ)
IL12/23p40 ×
 
 
 
12週
トレムフィア
(グセルクマブ)
IL23p19
 
 
8週
スキリージ
(リサンキズマブ)
12週
イルミア
(チルドラキズマブ)
12週
コセンティクス
(セクキヌマブ)
IL17A
 

 
 
 
4週
トルツ
(イキセキズマブ)
2週もしくは4週
ルミセフ
(ブロダルマブ)
IL17受容体 2週
ビンゼレックス
(ビメキズマブ)
IL17A/F 2週もしくは4週

また、当科では一般的な治療だけではなく、乾癬の病態解明や新規治療法開発を目指した基礎研究、臨床研究も積極的に行っているほか、新規治療薬の臨床試験(治験)にも参加し、全国的な乾癬診療の専門施設の一つとして認識されています。

関連ページ