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診療科・部門案内

呼吸器内科

悪性腫瘍(肺癌、悪性胸膜中皮腫等)

肺癌は肺に発生する悪性腫瘍であり、大きく非小細胞肺癌と小細胞肺癌に分類されます。非小細胞肺癌はさらに肺腺癌、肺扁平上皮癌、肺大細胞癌などに細分化されます。現代医療の進歩にもかかわらず、肺癌は依然として治療が難しいがんであり、本邦のがん関連死亡数において最多を記録しています(2023年、厚生労働省人口動態統計)。
肺癌治療は過去20年間で驚異的な進歩を遂げており、特に分子標的治療薬の飛躍的進歩が見られます。当院ではEGFR変異、ALK転座、ROS1転座、BRAF変異、NTRK融合遺伝子、MET変異など、様々な遺伝子変異に対応する分子標的薬を豊富に取り揃えており、HER2変異肺癌に対する新たな標的治療薬も積極的に導入しています。免疫療法のひとつである、免疫チェックポイント阻害薬の適応も拡大しており、進行期・転移性肺癌だけでなく、術前・術後補助療法としての使用経験も豊富です。PD-L1発現率に基づいた適切な治療選択と効果予測を行い、免疫療法と化学療法、分子標的治療薬との最適な併用療法を提供しています。診断・治療にあたっては、当科、呼吸器外科、放射線治療科、病理診断科、放射線診断科、がんゲノム診断科との緊密な連携体制を構築しており、各分野の専門医が一堂に会するキャンサーボードも定期的に開催されています。この多職種連携により、手術、放射線治療、薬物療法を組み合わせた最適な集学的治療を提供しています。地域がん診療連携拠点病院として、国内外の最先端の臨床試験や治験に積極的に参加しています。このため、標準治療が終了した後も、新たな治療選択肢を提供できる可能性があり、世界最先端の治療法へのアクセスが可能です。
また、肺カルチノイドに対する分子標的治療や、胸腺腫・胸腺癌に対する集学的治療においても豊富な経験を有しています。悪性胸膜中皮腫や胚細胞腫瘍などの希少な胸部悪性腫瘍に対しても、専門的な知識と経験に基づいた最適な治療を提供しています。
がんゲノム医療拠点病院である当院では、がんゲノム診断科と協力し、がんゲノムプロファイリング検査を通じて患者さんの腫瘍に存在する遺伝子変異を詳細に分析し、各分野の専門家で構成されるエキスパートパネル(専門家会議)で詳細に検討することで、その結果に基づいた個別化治療の可能性を追求しています。これにより、標準治療がない、または標準治療が終了した場合でも、新たな治療の選択肢を見出せる可能性があります。

(図)肺癌精査で行うPET検査(図)肺癌精査で行うPET検査