呼吸器感染症(肺炎、慢性気道感染症、肺真菌症、肺非結核性、肺結核等)
当科では、肺炎・気道感染症の治療において、重症度に応じた適切な治療方針を迅速に決定し、外来治療から入院治療まで幅広く対応しています。当科所属の感染症専門医を中心に抗菌化学療法においては科学的根拠に基づく標準治療を提供するとともに、重症例では集中治療室での人工呼吸管理を含めた集学的治療を実施しています。当院では最新の診断技術として、multiplex PCR法を導入しており、従来の検査方法では検出困難であった様々な呼吸器ウイルスを迅速かつ同時に検出することが可能になりました。この技術により、インフルエンザウイルス、RSウイルス、アデノウイルスなど複数のウイルスを一度の検査で同定でき、診断精度が飛躍的に向上しています。検査結果は短時間で得られるため、より早期からの適切な治療選択が可能となり、不要な抗菌薬使用の削減にも貢献しています。
感染症診療においては当院の感染制御部門(ICT)と緊密に連携し、院内感染対策の強化と抗菌薬適正使用の推進に取り組んでいます。
当院には県内でも数少ない結核病床を有しており、他の結核専門病院では治療困難な合併症を伴った難治例を中心に、他科と連携した総合的な治療を提供しています。結核治療においては、抗結核薬の耐性遺伝子を迅速に検出する体制を整えており、従来の薬剤感受性試験では数週間かかっていた耐性判定が数日で可能となりました。これにより、より早期から適切な薬剤選択が可能となり、治療効果の向上と副作用の軽減を実現しています。また、非結核性抗酸菌症など長期的な治療が必要な慢性呼吸器感染症に対しても、患者さんの全身状態や年齢に応じた最適な治療計画を立案し、継続的な管理を行っています。