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診療科・部門案内

呼吸器内科

当科のご紹介

患者さんへ

当診療科は、原則紹介状が必要です。
当院は、特定機能病院、がん診療連携拠点病院の認定を受けており、当科では呼吸器内科専門医による高度な医療、安心安全の医療の提供に努めています。
また、当院は大学病院でありながら結核病床を有しており、人工透析を必要とする慢性腎不全や悪性疾患を有する症例等、治療困難な肺結核症例に対する入院診療が可能です。

主な対応疾患と診療内容

肺癌は肺に発生する悪性腫瘍です。肺癌は大きく非小細胞肺癌と小細胞肺癌に分類され、非小細胞肺癌は更に肺腺癌、肺扁平上皮癌、肺大細胞癌などに分けられます。現代においても肺癌は治療の難しいがんであり、本邦のがん関連死亡数で最多となっています(2022年、最新がん統計)。治療においては、呼吸器内科、呼吸器外科、放射線治療科、病理診断科との連携が重要であり、当院でも緊密な連携を行い、最善の治療を目指しています。この中で、呼吸器内科は特に近年進歩の目覚ましい薬物療法を担当しており、がん薬物療法専門医を中心に、最新の分子標的治療薬、免疫療法(免疫チェックポイント阻害剤)、殺細胞性抗癌剤などの複雑な選択肢の中から、患者さん毎に検討を行い最良の治療を提供出来る様、努めております。また、当院は地域がん診療連携拠点病院であり、最適な治療の提供のみならず、多くの臨床試験、治験を行っています。更にがんゲノム医療連携病院の1つとして、がんゲノム診断科と協力してがんゲノムプロファイリング検査を提供しています。この他にも、悪性胸膜中皮腫や胸腺癌、胚細胞腫瘍などの胸部悪性腫瘍について豊富な治療経験を有しております。

(図)肺癌精査で行うPET検査

外来通院患者さんの中で最も多い疾患です。気管支喘息は日本人の約8%、約1000万人の患者さんがおり、COPDにおいても40歳以上の成人の8.6%、530万人以上の患者さんがいると推測されています。気管支喘息、COPDについては、それぞれ日本アレルギー学会、日本呼吸器学会の診療ガイドラインがそれぞれ2021年、2022年に改訂され、ともに部長の金子が作成に携わっており、当科ではこれらの診療ガイドラインに基づく治療を行っております。また、金子は、その他にも、気管支喘息とCOPDが合併したACOのガイドライン、難治性喘息診断と治療の手引き、喘息診療実践ガイドライン、咳嗽・喀痰の診療ガイドライン(喀痰セクション責任者)の作成にも携わっております。特に咳嗽・喀痰の診療ガイドラインは、世界初の喀痰のガイドラインとなっています。
気管支喘息の重症例に対しては、抗IgE抗体、抗IL-5抗体、抗IL-5受容体抗体、抗IL-4/IL-13受容体抗体を用いた治療法も導入しております。また、これらの治療でも病状のコントロールが困難な場合は、近年開発された治療法である気管支温熱療法(気管支サーモプラスティ:BT)で効果が得られることがあります。これは、気管支鏡という内視鏡を用いて気管の内側から65℃で10秒間加熱することにより、肥大した気道の平滑筋を、減少させる治療です。2015年より保険適用となりましたが、高度な治療法であり限られた施設でしか施行できません。当科では専門医を中心としてこの治療を行っています。COPDに対しては、薬物療法を中心として禁煙指導、呼吸リハビリテーションなどを加えた包括的な管理を行っています。慢性呼吸不全をきたした症例に対しては、在宅酸素療法や非侵襲的呼吸療法(NPPV)を取り入れた在宅呼吸管理を導入しております。在宅ケアが今後ますます重要となる中で、私たちは患者さんのニーズにあった在宅酸素濃縮器を開発し、実際に患者さんにご使用いただいております。

左:バイオ製剤使用前、右:バイオ製剤使用後)

(図)重症喘息における治療前後の換気ができている気管支の評価(左:バイオ製剤使用前、右:バイオ製剤使用後)

特発性肺線維症(IPF)をはじめとする特発性間質性肺炎、膠原病関連および薬剤性間質性肺炎、肺サルコイドーシス等、びまん性肺疾患の病態は多彩であり、高分解能CTによる画像診断および経気管支肺生検(クライオバイオプシー新規導入)や胸腔鏡下肺生検を用いた病理診断のもと、multi-disciplinary  discussion(MDD)による確定診断および積極的治療介入を行っています。また、IPFについては、抗線維化薬(ニンテダニブ、ピルフェニドン)の使用も増えてきています。間質性肺炎急性増悪の入院症例数も多く、集中治療部と連携して診療にあたっています。

(図)当院におけるMDDカンファレンス

肺炎・気道感染の治療では重症度に応じて外来治療や入院治療の適応を判断し、抗菌化学療法を中心とした治療を行います。重症例では必要に応じて集中治療室での人工呼吸管理を含めた集学的治療を行っています。当院には県内でも数少ない結核病床があるため、他の結核専門病院で治療困難な合併症を伴った難治例を中心に他科と連携して治療を行っています。

主な検査・設備機器

胸部画像検査(CXR、CT、MRI、PET-CT)、気管支鏡検査(経気管支肺生検(2022年度よりクライオ肺生検を導入))、気管支肺胞洗浄、EBUS-TBNA、EBUS-GS、気管支サーモプラスティ)、局所麻酔下胸腔鏡検査、呼吸機能検査、細菌検査などを駆使しています。さらに、気管支喘息における呼気一酸化窒素検査、睡眠時無呼吸症候群診断のための終夜ポリソムノグラフィー等の特殊検査も行っています。

PET-CTは、肺癌等の進行度を評価する上で重要かつ必須の検査項目です。当院ではPET-CTを自施設で実施可能であり、肺癌等の迅速な進行度評価、治療導入が可能です。

気管支の内腔を詳細に評価可能であり、重症閉塞性肺疾患における気流閉塞や窒息のリスク評価、バイオ製剤等の治療の必要性を視覚的に確認が可能です。

当院では、間質性肺疾患の診断の正確性を高めるために、通称“クライオバイオプシー”と呼ばれる、二酸化炭素ガスを利用して凍らせた棒状の生検器具で肺組織を凍結させ、比較的大きな検体を採取できる生検技法を今年度より新規導入しました。今後、クライオバイオプシーの件数が増えることが予想されており、間質性肺疾患の早期診断と治療導入が可能となり、その診療レベルが飛躍的に向上することが期待されます。

(図)当院におけるクライオバイオプシー

施設認定