QT延長症候群(LQTS)
QT延長症候群(LQTS)とは


✓2000人に1人の頻度である遺伝性の不整脈です。心電図のQT時間が長いことが特徴です。
✓水泳などの運動や激しい情動により致死的な不整脈をを起こしてしまう病気です。
✓現在15種類のQT延長症候群が見つかっており、そのうち3番目まで(LQT 1-3)が90%を占めます。
遺伝子 | 頻度 | 好発年齢 | 失神しやすい状況 | 運動制限 | |
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LQT1 | KCNQ1 | 30-35% | 10歳代までの男児 | 運動・水泳 | 必須 |
LQT2 | KCNH2 | 25-30% | 思春期以降の女性 | 恐怖や驚愕、 目覚まし時計 |
ある程度必要 |
LQT3 | SCN5A | 5-10% | - | 睡眠中や安静時 | - |
どのように診断していきますか?
✓心電図でのQT時間は心臓の電気的な休憩時間を表しています。このQT時間が長ければ長いほどQT延長症候群の可能性が高くなります。また運動した時の心電図も重要です。診断が難しい場合は入院して不整脈を誘発する負荷試験なども行います。
✓ご家族にも同様の病気があることが多く、血縁関係のある親戚の情報も重要です。
✓QT延長症候群が疑わしい場合は遺伝子検査を行います。しかし遺伝子検査によりQT延長症候群が分かる確率は50-70%であり万能ではありません。またQT延長症候群の遺伝子を持っていても必ずしもQT延長症候群になるわけではありません。
✓正常な方でもQT時間が長めの人もおり1回の受診で診断するのは難しい病気です。成長に伴って病状がはっきりししてくる方もおり、疑わしい場合は定期的に受診していきましょう。
治療方法は何ですか?日常生活で気を付けることは何ですか?
内服に関して:失神したことがある人や突然死のリスクが高い方は不整脈予防の内服を行います。
運動制限:QT延長症候群と診断された方の多くは運動制限が必要です。病状によりその程度は様々ですので担当医にご相談ください。
日常で避けるべき内服薬:一部の薬剤によりQT延長が増悪することがありますので、病状により注意が必要です。抗アレルギー薬、制吐薬、抗菌薬、向精神薬などの中に、使用に際して注意が必要なものがあります。