Tel.045-787-2800(代表) お問い合わせ

心室中隔欠損症

心室中隔欠損症とは

心室中隔欠損の図心室中隔欠損の図

・心臓は4つの部屋に分かれていますが、さらに左右2つずつの部屋に分かれています。
・左右の心臓の部屋はそれぞれ壁(中隔)で仕切られています。
・左右の心室(左室と右室)の間にある壁である心室中隔に穴がいている病気です。
・100人に0.7人程度の頻度といわれています。生まれながらの心臓の病気である先天性心疾患の中で一番頻度が多いです。

どの様な問題が起きますか?

・心室中隔欠損を通って体に流れるべき血液が肺に逃げて行ってしまいます。体に送られる血液は減りますし、左側の心臓(左房・左室)や肺に負担がかかってしまいます。その結果心不全や肺高血圧(肺の血管が固くなり血液が流れづらくなることがあります)を起こしてしまいます。
・赤ちゃんの時はミルクが飲めなかったり、呼吸が早くなったり、体重が増えない原因になります。
・大人になっても心室中隔欠損が残っていると心不全や肺高血圧だけでなく不整脈など心臓の問題を起こしてしまいます。

治療法は?

・小さな欠損孔であれば必ずしも治療が必要なわけではありません。
・1歳から2歳になる前に自然閉鎖することが多くあります。
・軽度の心不全がある時は利尿剤や血管拡張薬など心臓をサポートする薬を内服します。
・根本的治療は外科的に欠損孔を閉鎖することです。以下のような場合には手術が必要になります。

①乳児期に心不全が強いとき ②2歳を超えても自然閉鎖がなく、欠損孔が大きいとき ③肺高血圧があるとき ④心室中隔欠損が原因で大動脈弁に変形が起きるとき

他の療養上の注意点は?

・RSウイルス感染予防:
心室中隔欠損症の乳児はRSウイルスに感染すると重症化しやすいです。重症化リスクがあるお子さんはモノクローナル抗体製剤(ベイフォータスⓇ、シナジスⓇ)を使用することで重症化を防ぐことができます。

・感染性心内膜炎:
心臓の中で細菌が繁殖する病気です。心臓を細菌が壊してしまったり、脳梗塞などの重篤な合併症を引き起こすことがあります。心室中隔欠損症の方は感染性心内膜炎になってしまいやすく歯科治療や大けがの際には予防的に抗菌薬が必要であったり、アトピー性皮膚炎などの治療を積極的に行う必要があります。