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医学部生の研究論文が雑誌に掲載!研究を通して患者さんの命を救いたい!
医学部6年 髙熊 朗さんが主著者の論文がScientific Reportsに掲載

医学部医学科 6年生の髙熊 朗さんが、主著者となる論文が、国際的な学術誌の1つでもあるScientific Reportsで掲載されました。
Scientific Reportsは、ネイチャー・リサーチ社(英語版)によって刊行されているオンラインでオープンアクセスの自然科学分野における世界的な学術雑誌です。
今回は髙熊さんに、取り組んだ研究を紹介していただくとともに、YCUの魅力についてお話を伺いました。

論文の内容を簡単に教えてください。

研究のテーマは急性心筋炎に引き続く拡張型心筋症に対する新たな治療法の開発です。
急性心筋炎とは、心臓に急速に炎症が広がることで心機能が落ち、一時は命にかかわることもある緊急疾患の一つです。多くの場合急性期を乗り切ると経過は良好ですが、一部の人はその影響で段々と心臓が薄くなり心臓の収縮力が落ちていく拡張型心筋症へと移行してしまいます。こうなると根本的な治療は心臓移植しか残されていないのが現状です。そこで新たな治療法を見つけるべく、炎症において重要な役割を果たすプロスタグランジンE2の受容体の1つであるEP4をターゲットにすることとし、研究を行いました。
急性心筋炎から拡張型心筋症へと移行するメカニズムを分子生物学的に分析し、TIMP-3やMMP-2といった酵素による心筋細胞外基質代謝が、心臓菲薄化の主病態である心筋リモデリングおよび線維化をきたしていることを突き止めました。加えて、EP4作動薬が新たな治療標的となりうることも明らかにしました。

大学の研究成果としてプレスリリースも!

今回の掲載された論文に関しては、YCUにおける研究成果の一つとしてプレスリリース(記者発表)を行っています。

どのような経緯でこの研究を始めたのでしょうか?
研究室での様子

リサーチ・クラークシップ(リサクラ)の制度を利用して、心臓の研究を行っている「救急医学教室」の研究室を選択したのがきっかけです。 リサクラは、4年生の4月から15週間、基礎研究あるいは臨床研究を各研究室で学ぶ制度です。 心筋炎を研究テーマに選んだのは、3年生の時に劇症型心筋炎に対する治療薬がまだ見つかっていないという講義を受け、「治療薬がないのか、何か自分にできることはないのか」と、もやもやしていたことから決めました。

将来は医師を目指しているかと存じますが、どのような医師を目指していますか。

入学当時は研究には興味がありませんでしたが、今回の研究を通して目指す医師の姿が変わったと思います。臨床の場で目の前の患者さんを救うだけではなく、研究を通して世界中の患者さんを救う医師になりたいと思っています。

m3.comに取材記事が掲載

医学部生が主著者となった論文が著名な学術誌に掲載されることとなった、本学の教育システムの特長について、医療専門サイト「m3.com」でも取り上げられました。この取材では、髙熊さんの研究を進めていく中での苦労やモチベーションになった事など、さらに詳しく語られています。ご興味のある方は、以下よりご確認ください。(注:閲覧には会員登録が必要となります。)

<指導教員の西井先生(救急医学教室)よりコメント>

本学では、他大学にはない第4学年ですべての学生が研究室に配属され、研究を学ぶ“リサーチ・クラークシップ”という制度があります。髙熊君もこの制度を通して私たちの研究室を選択し、治療法が確立していない”心筋炎・心筋症”という心臓炎症疾患の研究を始めました。学生のうちから研究とは、あまり現実味がなく、他人事のように思いるかもしれません。髙熊君も、“研究とは何ぞや”そして“自分にできるのか?””どのような意味があるのか?”という漠然とした不安を抱きながらスタートしています。しかし、いざ始まってみると思っていたより面白く、次第にのめりこむ、そして最後にはリサーチクラークシップ終了後も、バイトと部活をしながら合間を見て研究を継続した結果、学生ながら筆頭著者として国際的な学術雑誌への掲載にこぎつけました。この偉業を達成することができた最大の理由は、これまでの受験勉強とは違い、未知の模範解答がないものを探求するということです。即ち、自分の結果を信じて前に進み、当初の仮説と異なれば修正を繰り返しながら進むべき新たな道を選択し進んでいくといったハラハラ感は、刺激的でありまた充実感に繋がるのではないでしょうか。この過程が研究というものであると実感できるわけです。続いて、これまでに自分が解析した結果の蓄積が、一つの論理的な結論に到達、まさに点が線になった瞬間に、誰一人知らない、つまりその瞬間自分は世界の最先端にいるという喜びを知ることとなります。このことは、自分でもできるという自信につながるわけです。最終的に、得られた結果を論文として世に出すことで、研究者として最も尊い、患者さんへの奉仕に繋がります。実際に、患者さんからの問い合わせという形で、論文の反響が得られると自分の研究の意義を再認識することができ、何のために研究をするのかという疑問に対する答えが自ずと導き出されます。研究は、人生そのもであり、これまでに感じたことのない経験を積むことで研究者としては勿論、人として大きく成長できる唯一無二の道であると思います。

指導教員の西井先生と一緒に

受験生の皆さん、横浜市立大学では知識の詰め込みではなく、これまでにない新たな知見を見出し、それを発信・実装までできる次世代の革新的な人材を育成することに取り組んでいます。諸君の今後の輝かしい人生をより鮮やかなものにすることができるでしょう。是非、一緒に学び大きく飛躍していきましょう。

最後に受験生に向けてのメッセージをお願いします。

僕が感じているYCUの魅力は2つあります。
1つ目は学生に様々なことにトライする機会を設けている点です。僕自身、バレーボール部や管弦楽団などの部活、学園祭の幹部といった「大学ライフ」だけでなく、リサクラでの研究活動から外科寺子屋(*1)での内科外科的手技まで幅広い経験を積むことができました。
2つ目は学生の熱意や希望にしっかりと応えてくれる点です。リサクラを通して研究を続ける際も、大学が全力でサポートしてくださり、やりたいことをとことん追求することができました。
こういった環境に、多種多様な学生が集まってくるので、互いに切磋琢磨することのできる素晴らしい大学だと心から思います。受験勉強頑張ってください、応援しています!

*1 外科寺子屋
内科・外科の基本的な手法から専門医を目指す方まで経験に合わせた段階別のトレーニングができる実習。

ヨコ知リ!1問1答! 受験生時代のことをお聞きしました。

①YCUをいつ知った?
中1(当時兄が受験を検討していた)
②なぜYCUを選んだ?
神奈川県民だったから
③試験前日の過ごし方は?
八景のイオンで母親と飯
④センター試験の結果はどうだった?
目標には届きませんでした
⑤試験当日のマストアイテムは?
ブドウ糖
⑥おすすめ参考書
システム英単語
⑦1番勉強した場所・時間帯
早朝の学校図書館
⑧試験当日の失敗談
前日緊張しすぎて睡眠2時間で特攻
⑨受験勉強中のリラックス方法は?
漫画読んでその落書き
⑩受験勉強中、よく聴いた曲は?
いきものがかりに励まされました
⑪その当時の将来の夢は?
臨床医

(2022/01/14)

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