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医療現場の最前線で活躍する卒業生へインタビュー!!

今回はYCU医学部を卒業して活躍する医療人たちをご紹介します。大阪大学医学部附属病院にて、患者さんやスタッフの安全・安心を守るためのマネジメントを担う中村京太特任教授と、YCU附属病院にて患者さんや職員を感染症から守るため感染対策マネジメントを主業務とする加藤英明感染制御部長。そして、看護師としてYCU附属市民総合医療センターの新生児集中治療室に勤務し、チームリーダーとして活躍する白坂遥さんの3名に現在の業務内容や学生時代の思い出等をお聞きしました!


横浜市立大学附属病院
感染制御部 部長

加藤かとう 英明 ひであき さん

医学部 医学科 2004年卒業


—— 現在の主なお仕事について教えてください。——

患者さんや職員を感染症から守るための病院の感染対策マネジメントと、地域病院では対応しきれないようなHIVや結核陽性患者さん等の診療が主な業務です。
感染症についてここ数年は、“薬剤耐性菌”という抗菌薬の効かない菌が注目され、抗生物質の使い方や耐性菌の検出・対応がキーワードとなっていました。ただ皆さんもご存知の通り事態は一変し、新型コロナウイルス感染症への対応が緊急の課題となり、2020年2月9日、当院で新型コロナウイルス患者さんの受け入れが始まりました。「どの入口からどういう経路でどの病室に入れるか?」「誰が診療し、どの薬を調剤するか?」「身に付ける防護服は?」「病棟の患者さんや受付・警備員等の職員はどうするのか?」 等々、細かく言い出すときりがないですが、全体を見通して感染対策の仕組みを作り、それが多職種の働く現場で機能するように発信・改善していくことが求められます。PCR検査やワクチン接種等も同様に、細かく検討を重ね、最善だと考えられる道筋をつけていきます。


—— 業務で大変だと感じることは?——

感染対策の業務は「現場をどう動かすか」です。各職種によって医療の理解度や特性等の差が大きいため、それぞれにわかりやすいように動いてもらうことに難しさを感じます。医師が論文をもとにマニュアルを作るだけなら簡単ですが、医療の専門家ではない人たちもそれを理解し動いてくれるか、それで本当に感染が抑えられるか、というのが肝心です。医療の基本はエビデンスに基づいたデータです。それをいかにかみ砕いてわかりやすく、かつリアルタイムに発信・共有していくのか日々気を付け工夫しています。
また、現場からの意見、フィードバックは非常に貴重なものです。現場からの細かな意見を吸い上げるためにも、たまに顔を見に行って話を聞いたり、対策の様子を確認しに行くことも大切です。


—— ビジョンや目標は?——

当面の目標はやはり、新型コロナウイルス感染症の一刻も早い収束ですね。院内での対策だけではなく、行政からの要請により、クラスターが発生した医療機関や高齢者施設等の視察・感染対策等も行っていて、事態の収束に貢献できるよう日々奮闘しているところです。
新型コロナウイルス以外では、個人的には感染症の教育が大きな課題だと思っています。感染症は誰がも経験するとても重要な分野なのに、現状では医学科生が感染症について専門的に学ぶ時間も機会も限られています。抗菌薬や抗ウイルス薬が進歩し、感染症の領域は適切に治療すれば効果が実感できます。より多くの医師が感染症の治療を適切に使えるようになれば医療全体がレベルアップするはずです。また、感染症を学ぶ上で輸入感染症の知識はとても大切です。輸入感染症は国内では経験することが稀で、論文等もほぼ海外発のものですから、海外協定校等の制度を利用して実際に現場で学んでもらう、また外国から来てもらう、といった仕組みづくりに力を入れていかなければと感じています。


—— 大学生活はどんなふうに過ごしていた?——

登山やキャンプ、写真、音楽(合唱)など、学業以外の時間は趣味を楽しんでいました。学生時代だからこそ新しく始められることはたくさんあって、一生続けられる趣味になることもあるので、皆さんもサークル活動はどんどんやったほうが良いと思いますよ! あと医学科では先輩たちと一緒に行う勉強会等もたくさんありましたね。私は神経解剖の勉強会に通っていて、そういうところでできたつながりは今も役立っています。働き始めるとさまざまな部署と連携する必要があるので、「ちょっと一緒に仕事をやらないか」という声掛けや相談がしやすくなります。


—— YCUの良いところは?——

小さい大学というところでしょうか。やはりお互いの顔がよくわかるということが大きいです。診療をしていても、研究をしていても、必ず知っている人がいるので何かとやりやすい。医師に関して言えば、本学の学生数は少ないですが、研修医として全国の大学から多くの人が入ってきます。よい意味で外部にも開かれており、お互いの顔もよく見えるちょうどいい規模だなと感じています。


—— 受験生に向けてメッセージをお願いします!——

小さい規模の大学だからこそいろんな人が相談にのってくれるし、基本的には自分のやりたいことは何でもできるのではないかと思います。これは学業だけでなく、サークルや趣味、課外活動でもいいし、留学でもいい。結構自由に取り組める大学だと感じます。「将来は横浜で働きたい」とか「横浜から外に飛び出して社会に貢献したい」ということであればなおさらYCUに来てくれると嬉しいですね!


大阪大学医学部附属病院
中央クオリティマネジメント部
部長・特任教授

中村なかむら 京太 きょうた さん

医学部 医学科 1994年卒業


—— 現在の主なお仕事について教えてください。——

携わる業務は多岐にわたりますが、簡潔に言うと、ひとつは医療安全管理を司る部門で、患者さんやスタッフの安心・安全を守るためのマネジメントを行っています。医療者からは学校の生活指導部のようなイメージを持たれることもありますが少し異なります。絶対に守るべき部分はルールを作り、皆で遵守しますが、ルールでガチガチに縛り過ぎると時々刻々変化する「医療現場」に対応しきれず、せっかくの実力を発揮できずに、結果として質の高い医療を提供できなくなる可能性も考えられます。ですから、医療者が安心して実力を発揮するには、ルール作りだけではなく「仕組み作り」が大事になってきます。例えば、患者さんも医療者も人間ですから、どんなに気を付けても必ずエラーが発生しますので、なるべくエラーを起こしにくい環境をつくり、仮にエラーを起こしても重大な問題につながらない(例:ストーブが倒れると自動的にスイッチが切れる)ような仕組みを医療現場にも作っていくことが必要です。
もうひとつの主な業務は、医療のチーム作りやその活動のサポートです。各組織や部署、人同士をつなげていくことが肝となりますので、25年以上最前線の救急医として院内や地域医療機関、消防、行政と連携し救急医療を支えてきた経験が生きています。一人でできることには限界がありますが、人がつながり専門性を生かして連携すれば、1 + 1 が 2 以上の力となって医療の総合力が大幅に高まります。スポーツと同じで、たとえスーパーエースがいても連携が機能しなければ強いチームにはなり得ません。病院と患者さん、家族、地域がひとつの強いチームになるように環境を整備することも重要です。
このようにさまざまな角度からのアプローチにより、高度で先進的かつ人を中心とした医療が安心・安全に行われるよう、各現場と連携しながら医療システムの改善に努めています。


—— お仕事で意識していることや心がけていることは?——

日常的には、人の話を途中で遮らずに最後まで聞くことを心がけています。これは患者さんやご家族だけでなく、様々な職種の医療者同士も、そして友達付き合いも同じで、人それぞれの持っている考え方に興味を持つことです。医師と患者さんの関係も、医療安全管理者とスタッフの関係もバリアが生じやすいということで似ていると思います。そのバリアを超えるために、まず安心して話が出来る関係性を作ることが重要です。話している途中で相手に遮られるのって、良い気持ちはしませんよね。病院内では立場上、インシデントやエラーに対応し改善策を検討する役割があるのですが、現場目線を忘れないことが大事で、一方的な上から目線の現場にそぐわないルールなどは、かえって混乱を招きます。現場に即し実践的な改善策に辿りつくためにも、スタッフの意見をしっかりと引き出すことが大切だと考えていますし、自分にとっての学びになることもしばしば経験します。そのうえで、個人に責任や負担を押し付けるのではなく、システムとしてどう改善していけば良いのかを第一に考え、必要であれば既存の組織体系にとらわれず、臨機応変に対応することを心がけています。
また、長年救急医療に携わってきた経験から、緊急の患者さんに対応をする際にチームで連携することの重要性を実感してきました。時には大胆に意思決定をして方針を変えるスピード感も必要です。私たち医療者には地域を守るというミッションもありますし、医療システムの安全を改善する意味でも、地域全体でやらなければならない。一個人、一病院だけの話ではなく、さまざまな組織や人と連携していくという視点・意識は常に忘れないようにしています。


—— ビジョンや目標は?——

これまでに経験したことがない超高齢化社会を迎えている中で、医療の進歩は高齢者や基礎疾患をお持ちの方がかつて諦めていた難しい治療を受けることを可能にしてきました。その一方で、治療には高いリスクを伴うものがあることも事実です。そうした治療を受けるかどうかを決めるのは最終的には患者さんご自身ですが、それぞれに異なる価値観の中で、患者さんにとっての「幸せ」につながる選択ができるように、地域や介護施設などとも連携して病院がどのように関与していけばいいのか、そのための仕組み作りをしていきたいです。


—— 学生時代の経験で、今に生かされていると感じることは?——

学業に関することは当然今につながっていますが、所属していた硬式テニス部での経験も生かされていると感じます。仲間と一緒にひとつの目標に向かって頑張ったことや、その時に生まれた人間関係は人生の財産となっています。
また私が学生の頃のYCUには、学生談話室やラウンジなど、先輩・後輩という垣根を越えて語り合える場がありました。試験前なのに学業とは関係のないことを話すこともありましたが(笑)、いろいろな考え方を持っている人が自由に意見を言い合える環境は刺激になりました。


—— 受験生に向けてメッセージをお願いします!——

YCUの魅力は、まず横浜という街にあると思います。東京にも近く、他の大学や学術機関、企業からの刺激や連携の機会に恵まれて、さまざまなチャレンジがしやすい環境です。そして最大の魅力はコンパクトな大学ならではの距離感です。学生同士はもちろん、情熱を持った教員やスタッフがいつもすぐそばにいます。共に学び、語り合い、時に支え合い、立場や学部を越えてつながり、たくさんのことを感じてほしいですね。


横浜市立大学附属市民総合医療センター
総合周産期母子医療センターNICU チームリーダー

白坂しらさかはるか さん

医学部 看護学科 2010年卒業


—— 現在の主なお仕事について教えてください。——

横浜市立大学附属市民総合医療センターのNICU(新生児集中治療室)で看護師のチームリーダーとして日々の業務に取り組んでいます。新卒で入職してからずっと当院のNICUに勤務していて、ここでは医療的ケアを必要とする新生児を対象に、生理的な安定とそれぞれの成長発達を支援しています。早産児や超低出生体重児が多いため一つひとつの動作や環境に細心の注意を払い、ストレスの少ないきめ細やかなケアの提供に努めています。また、ご家族に寄り添うことも非常に大切な役割のひとつで、入院中の説明やケアだけでなく、退院後も安心した暮らしができるように他職種や地域機関と密に連携して継続的な支援を行っています。


—— このお仕事をやっていて良かったと感じる瞬間は?——

ご家族の皆さんは最初、集中治療室に入っている新生児たちにどう接すればよいのかわからず、本当に不安を抱えています。私たちが一緒にケアやサポートをしていく中で、ご家族の反応が次第に変わってきて、家族の絆がより深まっていく瞬間に立ち会える時や、無事に退院して送り出す時は本当に良かったと感じます。


—— 看護師を目指した経緯は?——

私が中学生の頃に祖父が入院することになり、祖母がお見舞いに行く際に私もよくついて行っていました。その時に担当されていた看護師さんが、祖父だけでなく祖母にとっても大きな支えになっていると感じ「素敵な看護師さんだな。素敵な仕事だな」と思ったのが最初のきっかけだと思います。
その中でもNICUに興味を持つようになったのは、親が保育士をしていたこともあり、子どもに関する話をよく聞いていたことが影響していると思います。学部4年次には超低出生体重児に関する内容の卒業論文を書きました。


—— ビジョンや目標は?——

2020年度までの3年間は副看護師長を務め、病棟全体を捉える視点や、スタッフを動かすための働きかけ方を学んで非常にためになりました。一方で、管理職的な業務よりも患者さんに直接関わるほうが好きだなと改めて気付いたので、患者さんへのケアや、後輩育成にこれから益々注力していきたいと思っています。また、NICUと小児科はつながりも深いため、これからは小児科での看護についてももっと勉強できればと考えています。


—— 大学生活はどんなふうに過ごしていた?——

一番思い出に残っているのはやっぱり実習ですね。かなり大変だった分、先輩看護師さんたちから学ぶことの多い充実した日々でした。患者さんだけでなくご家族ともお話させていただく機会もいただいたのですが、その時に担当した患者さんやご家族のことは今でも鮮明に覚えていて、実習での経験が看護師としての大きな基盤になっています。
他にも、3年次までは飲食店でのアルバイトや、フットサルサークルの活動にも取り組んでいました。私と同じように地方から出てきて一人暮らしをしている仲間たちと共に助け合いながら、私生活も充実して楽しめていたと思います。


—— YCUの良いところは?——

二つの附属病院を有し実習環境が整っていることや、他学部生とも一緒に学ぶ機会があるところは大きな魅力だと感じます。私自身、他学部生たちと同じ講義を受講しながら深く交流できる“教養ゼミ”に魅力を感じてYCUを志望しました。当時の教養ゼミで一緒だった他学部の同級生たちとは今でも親交が深く、コロナ禍の前までは年に一度くらい、定期的に皆で集まって色々な話をしていました。普段は医療従事者と関わることがほとんどなので、全く異なる分野の人たちと話していると視野も広がり、多様な価値観にふれることで良い刺激を受けています。


—— 受験生に向けてメッセージをお願いします!——

大学でさまざまなことを学ぶにつれ自分の可能性がどんどん広がっていくと思いますし、そこでの出会いで将来の選択も変わっていくと思います。そういうどんどん変化していく部分を楽しんで、自分に合った未来を選択していってください!
これからさらに医療が求められる時代になると実感しています。大変なこともたくさんあると思いますが、大学での学びの時間を楽しく有意義に過ごしてください。医学部を目指している皆さん、一緒に働ける日が来ることを楽しみにしています!


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(2021/08/05)

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