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大学生が取り組むIoT教育。NTT東日本とのコラボレーションでプログラミング教室を実施。

YCUの学生は、自身の志向や興味関心に基づいてキャンパスの中だけでなく様々な活動に取り組んでいます。
研究、インターンシップ、ボランティア、部活動、サークル、アルバイトなどなど。そして、そのどれにも属さないユニークな活動もあります。それらはすべて、学生自身が自分で考え、自分の意志で行動している主体的な活動です。この主体性の度合いが、学生自身が得る経験の量や質に影響を与え、10年後、20年後の将来にまで影響を及ぼしているのかもしれません。

今回は、そんな学生が主体的に取り組むある活動を紹介します。国際総合科学部2年生で経営科学系 芦澤美智子 准教授のゼミに所属する栗田さん、梶谷さんが中心に取り組んできた活動です。

その活動は、企業と連携して、小学6年生の子どもたちに「プログラミングとは何か?」「プログラミングを通じて何ができるのか」を教えるという取組みです。

栗田さん、梶谷さんの二人に、この活動に取り組むきっかけ、なぜやると決めたのか、この活動を通じて成し遂げたいことや今後についてお聞きしました。

栗田 亘(くりた わたる)さん

国際総合科学部 国際総合科学科
経営科学系 経営学コース 2年
出身高校:広島県 広島県立広島国泰寺高等学校
指導教員:芦澤美智子准教授

梶谷 響(かじがい ひびき)さん

国際総合科学部 国際総合科学科
経営科学系 経営学コース 2年
出身高校:千葉県 私立八千代松陰高等学校
指導教員:芦澤美智子准教授

「プログラミング教室について」

一度中止を余儀なくされたプログラミング教室に再挑戦
 —なぜプログラミング教室に取り組むことになったのでしょうか?

栗田:
2019年11月、指導教員である芦澤先生からゼミ生に1通のメールが送られてきました。そこには「NTT東日本と一緒にプログラミング教室を企画運営します。関心があるゼミ生は手を挙げてください」と書かれていました。
実はその1か月前、芦澤ゼミが毎年秋に企画運営しているイベントAozora Factory*1が大型台風のために中止になりました。Aozora Factoryで実施するワークショップの一つとして、NTT東日本と芦澤ゼミは小学生向けのプログラミング教室を準備していました。
「Aozora Factoryは中止になったけれど、別の場所でまた挑戦ができる」
もともとプログラミングやITの活用等に興味があった私は、手を挙げることにしました。

プログラミング教室実施で連携したNTT東日本の金澤さんと大田さん(1列目中央の2名)
取り組む人の主体性で得られる学びが大きく変わる
—なぜ自分たちが主体となってやることになったのでしょうか?

梶谷:
芦澤ゼミでは、プロジェクトは「やりたい人がやる」というルールがあります。これまで様々なプロジェクトに参加して、わかっていることは、参加する度に大きな学びが得られることです。また「人からやらされる」のと「自ら手を挙げ主体性をもって取り組む」のとでは、学びの質量が圧倒的に違うことを実感していました。
ですから、先生からのメールを読んですぐ、このプロジェクトのリーダーとなって取り組もうと考えました。プログラミングにも小学生と関わることにも関心があり、新しい学びのチャンスにわくわくしました。

個々に課題意識を持つことが、主体的に考え能動的に学ぶ素養になっている
—このプログラミング教室を通して掲げた目標を教えてください。

栗田:
私の目標は、①NTT東日本との交流を通じて、最新のプログラミングやプロジェクトの進め方を学ぶこと、②小学生との交流を通じて、プログラミング的思考*2を理解し、状況に応じてどうすればうまく伝えることができるのか、「伝え方」を学ぶことでした。


梶谷:
達成したい目標は二点ありました。
一点目は、「ゼミでは下級生である自分たち二年生だけでもプロジェクトを回せる自信を得る」ことです。三年生が就職活動のためプロジェクト活動からほぼ引退し、自分たちがこれから上級生になろうというタイミングで、「もはや先輩に頼っていてはだめだな」という危機感を以前から感じていました。
二点目は、「小学生にプログラミングを楽しいと思ってもらう」ということです。私の周りにもプログラミングに苦手意識を持っている学生が少なくありません。今回の取り組みを通して、少しでもプログラミングを身近に感じてもらうためのヒントを得たいと思っていました。

やってみなければ得られない学びが、新たなモチベーションに
—プログラミング教室を終えて、何を得ましたか?

栗田:
まず最新のプログラミング教育が、まさに今、試行錯誤の段階にあることを知りました。さらに私が想像していたよりも、小学生はプログラミング的思考ができていることにとても驚きました。やはり小さい頃からプログラミングに触れることは重要であるなと感じました。
教室の運営を終えて率直に感じたことは、イベントの難しさです。特に今回は、コミュニケーションロボットSota*3の「言葉を聞く」という動作が、本番でうまくいかず、授業を予定通りに進めることができませんでした。準備段階ではうまくいっていたのですが、本番の授業時に動作せず、スムーズに説明することができませんでした。こういったトラブルはイベントを行うときにはつきものだと頭では分かっていました。しかし実際には、私はトラブルにうまく対処をすることができず非常に悔しい思いをしました。そして、様々な状況を想定して事前に対策を打っておくことの必要性を強く感じました。今回の教訓は、NTT東日本との取り組みに関わらず次のプロジェクトを行う際に活かしていきたいです。

NTT東日本の社員さんと議論する梶谷さん、栗田さん(中央2名)

梶谷:
今回のプロジェクトのおかげで、沢山の学びがありました。最近の小学生はプログラミングに対して思っていたよりもずっと肯定的だということと、イベントを実施する際は想定外のトラブルが起こり得るということです。これらは、大学にいてただ授業を受けるだけでは得えられない気づきです。だからこそ、これからも積極的に“外に出る”ということを意識して行動したいです。他のゼミ生が頑張っているプロジェクトに、「YOXO BOX」*4との連携のお話があるのですが、今はそのプロジェクトに興味があって、挑戦していこうと考えています。




「今後について」

「eスポーツ」「宇宙」。それぞれの関心に向かって
—卒業までにやりたいことはありますか?

栗田:
卒業までにやりたいことは、二つあります。 一つ目は、起業をすることです。私が芦澤ゼミに入った理由は、起業のための知識やネットワークを得たいと思ったからです。芦澤先生には、起業のアドバイスや、インターン先企業を紹介していただきました。今回の取り組みからも事業立ち上げに関するヒントを得ることができ、かつ、多くの方との関わることでネットワークを広げることができました。今後は、自分の興味分野であるeスポーツ*5で事業を考えていきたいと思っています。
二つ目は、海外企業でインターンすることです。私が興味のあるeスポーツにおいて日本はまだ発展途上であるため、海外のeスポーツ大会運営会社でインターンをしたいと考えています。そのために、語学力はもちろんのことそのインターン先にアピールできるスキルを磨くため日々努力しています。


梶谷:
卒業までに成し遂げたいことは二点あります。
一つは、宇宙に関する仕事に関わり、何らかのインパクトを与えることです。「宇宙」は理系のイメージだと思います。技術面は確かにそうかもしれませんが、資金を調達したり、その他の様々な資源を得るためのPR活動をしたりすることが必要です。こうした分野には経営学はじめ文系分野を専門とする人が活躍する余地があると思います。私はつい最近、宇宙関係のスタートアップ *6にインターンとして参加することが決まったため、そこで自分には何ができるかを考え、与えられた機会に愚直に手を挙げ続けたいです。
もう一つは、横浜のスタートアップエコシステム*7へ貢献するということです。自分の肌感でしかありませんが、横浜と比較し、東京は圧倒的にスタートアップが盛り上がっていると感じます。でも横浜にも熱意を持った素晴らしい方々が沢山いて、YOXO BOXのような素晴らしい場所があります。ですから、それらを最大限活用して盛り上げていくことができたら、誰もまだ達成していないことを実現できるわけであり、自分の成長に大きくつながるのではと思います。

理想の大人像。楽しく日々を過ごすために必要とされる人材になりたい。
—卒業後どうなっていたいか、将来像を教えてください。

梶谷:
まだ、どの業界に行きたい等の具体的なところは決まっていません。しかし、自分の中の理想の大人像があります。将来自分の子どもに「何で働いているの?」と聞かれた時、「仕事が楽しくて楽しくてしょうがないから働いているんだよ」と答えられるような日々を過ごす大人でありたいと考えています。とは言っても、そう言うためには必要とされる人でなくてはならないでしょうし、そもそも自分がやりたいことを見つけて取り組む必要があります。そうなれるように日々活動しています。



用語説明

*1 Aozora Factory:
NPO法人Aozora Factoryが実施する地域活性化イベント。NPO法人は、”LINKAI横浜金沢(横浜市金沢臨海部産業団地)”の魅力発信と価値創造を目指し、産学官が協働して活動を行っている。
https://aozorafactory.com/

*2 プログラミング的思考:
自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組合せが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力。
引用:文部科学省 「小学校プログラミング教育の手引(第三版)」
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/053/siryo/__icsFiles/afieldfile/2016/07/08/1373901_12.pdf

*3 コミュニケーションロボットSota:
人と同じように身振り手振りを使ってコミュニケーションを行うことができる小型のデスクトップ型ロボット。
https://flets.com/roboconnect/

*4  YOXO BOX:
横浜市関内にあるベンチャー企業成長支援事業の拠点のこと。

*5  eスポーツ:
エレクトロニック・スポーツの略で、広義には、電子機器を用いて行う娯楽、競技、スポーツ全般を指す言葉であり、コンピューターゲーム、ビデオゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉える際の名称。

*6 スタートアップ:
短期間で、イノベーションや新たなビジネスモデルの構築、新たな市場の開拓を目指す動き、または概念のこと。

*7 スタートアップエコシステム:
事業の高い革新性、イノベーションの追求を得意とするスタートアップを継続的に生みだし、企業の新陳代謝を促進させる働きを持つ地域のこと。

(2020/03/27)

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