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日本物理学会第72回年次大会で津村ゆり子さんが学生賞を受賞!

2017年3月17日(金)~3月20日(月)に大阪大学で開催された日本物理学会第72回年次大会で、生命ナノシステム科学研究科 物質システム科学専攻 修士1年生の津村ゆり子さんが学生賞を受賞しました。

今回の年次大会では、どのような内容を発表されたのでしょうか

「ドナー・アクセプター単分子積層によってCu(111)上に構築した分子ダイオードのSTM/STS観察」というタイトルでポスター発表を行いました。私が所属する横山研究室では、分子や原子を直接観察できる走査型トンネル顕微鏡(STM)を用いてそれらの構造や電気特性について研究しています。私は、分子ダイオードと呼ばれる分子に注目し、研究を行っています。分子ダイオードは単一分子で通常のダイオードのような整流作用(一方向にのみ電流が流れる作用)を生じると考えられており、この実用化にはまず実験的にその整流作用が生じるか検証し、そのメカニズムを明らかにすることは重要です。そこで私は、2種類の異なる分子を用いてそれらを積層することでこの分子ダイオード構造を作成し、そのメカニズムを明らかにすることを目的としました。発表では、この積層の詳細な構造と整流作用の検証の結果を報告しました。

年次大会に参加するにあたり、事前準備で、工夫した点などについてお聞かせください

報告する結果はほとんど決まっていたので、見せ方を工夫しました。通常の研究では目的(合成物など)がはっきりしているものもありますが、私の行っているような基礎研究では、結果に対して後から価値づけしていくことも多くあります。そこで私は、分子ダイオードについての論文をいくつも比較し、自分の研究のオリジナリティーを見せるように心がけました。

学生賞を受賞された際の感想や周囲の反応はいかがでしたか

学生賞をいただけるとは全く思っていなかったのでとても驚きました。受賞後、多くの方に祝福の言葉をかけていただきとても嬉しかったです。また、ポスター発表ではたくさんの質問やアドバイスをいただくことができ、モチベーションを上げることができました。

研究室では普段どのような研究をされているのでしょうか

普段は、STMを使って積層の観察や測定を行っています。STMでは、分子レベルの測定を行うのでわずかなノイズやごみがついているだけで像が得られなくなってしまいます。さらに私の扱っている積層構造は分子同士の吸着力が弱いため分子の上に吸着した分子が安定した測定の妨げになり、苦労しています。その中でも再現性の高いデータを得るため日々格闘しています。
また、分子ダイオードの研究に関する論文などを読んで今までどんな研究がおこなわれてきたのか勉強しています。

津村さんの将来の夢や、目標を教えてください

積層構造の詳細な構造とその整流作用は明らかにできましたが、そのメカニズムというのは未だわかっていないところも多いので、用いる分子を変えてその比較をすることでそのメカニズムを明らかにしていくことが目標です。研究できる期間は残り約1年なのでこれまで以上に力を入れていきたいです。将来的には研究室で学んだことを活かして企業で結果を残していきたいです。

横山崇教授から今回の津村さんの受賞についてコメントをお願いします

津村さんが受賞した学生賞は、日本物理学会の表面・界面分野(領域9)の発表の中から、優秀な学生を表彰しようと今年から実施されたものです。
今回、学年に関係なく審査が行われ、得票数がダントツだったということで、津村さんを含む2名の学生が表彰されました。
同じく受賞したのは博士課程2年生(東京大学)であり、修士課程1年の津村さんの受賞は快挙と言えます。
実験が難しく、解析には理論的な理解も多く必要になるテーマですが、単分子エレクトロニクスの基本現象を明らかにするものであるため、津村さんには、この受賞に満足せず、研究を完成させてもらいたいと思っています。
またこの実験は、物質科学コースの塚田教授から分子を供給していただいて実現したものであり、塚田先生に感謝します。

— 津村さん、学生賞の受賞おめでとうございます。

(2017/03/30)

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