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“留学生”が学ぶ日本語授業を紹介。ボランティアで授業をサポートするYCU生にも多くの学びを発見。

横浜市立大学では、世界で活躍する人材の育成のために、海外留学制度や海外大学との交流、海外フィールドワーク、世界各国でのボランティアやインターンシップ実習など、さまざまなプログラムを用意しています。また、海外に行くだけでなく、学内で留学生と学び合うこともできます。
そんな留学生の皆さんの授業の中には、日本語を学ぶプログラムが用意されており、レベルや学びたいスキルによって様々な種類があります。
今回は、留学生・帰国生向けの日本語授業の中より「日本語実践(文章表現B)」を紹介します。


-自身のレベルや学びたいスキルによって授業を選択-

(参考:レベルの目安)
初級・・・日本語は未習得で、主なコミュニケーションは英語で行う学生
中級以上・・・YCUに来る前にある程度日本語を学習しており、日本語でコミュニケーションができる学生

同じ中級以上の授業であっても、スキル別で授業が分かれているものもあり、授業によって内容はそれぞれなので、初回の授業に出てみて自分に合った授業を選択する必要があります。

例えば、リサーチをしてプレゼンテーションを行う授業、ディスカッションを行う授業、ビブリオバトル(本を紹介し合うコミュニケーションゲーム)を行う授業などがあります。その中で、今回は、一切、文字が無い絵本を使って、その絵本から創作したストーリーを日本語で書くという授業「日本語実践(文章表現B)」に注目します。
既にある英文を日本語に置き換える作業的な授業ではなく、絵を見て自分自身で考えて、それにストーリーを付け、日本語で表現するという授業です。留学生なので、頭の中で考えるときは母語であり、それを日本語で表現をするというのは、かなり難しいことが想像できます。
日本語は、助詞1つで意味が変わったり、日本語にしか無い独特な表現があったりします。(例えば、「明日は私が行きます」と「明日は私も行きます」など)
「特に世界的に見ても語彙が多い言語と言われており、表現が豊かでもあるので、この授業を通して日本語らしい表現を身につけてほしいです」と担当教員の鈴木綾乃先生(グローバル都市協力研究センター 日本語担当准教授)は言います。

授業は全15回となっており、助詞などの文法の復習(知識としては持っているが、どのようなシーンで使うのかを学ぶ)や4コマ漫画を使ったストーリーをつくり、絵本のストーリー創作に入ります。同じ場面でも学生によって内容が全く違うものが出てくるので、その人の考えていることを聞くと、人となりや背景が垣間見え、授業をしている側も非常に興味深いそうです。
学生が考えた4コマ漫画を2つだけ紹介します。ユニークな落ちになっていて面白いですね(笑)

授業のメインとして使用している絵本は、「旅の絵本」(福音館書店)で、最初のページだけは指定し、それ以外は好きなページを3ページ以上自分で選んでストーリーを作っていきます。この授業には2つのハードルがあります。1つ目は「ストーリーを思いつくかどうか」ですが、ここは個人の得意・不得意にもよります。2つ目は「思いついたストーリーを日本語にできるか」ということです。思い描いているストーリーを日本語で表現していくためには、学生が何を表したいのか、どんな風なストーリーを考えているのか、対話を通して探っていくことが必要です。

鈴木先生は、学生とのコミュニケーションを授業中に頻繁に行っており、学生が何を表現したいのか、具体的に表現するために、何度も質問を繰り返していました。「この主人公は何をしている人なの?」「楽器っていうけど、どんな楽器?」「なんで王様から信頼されているの?」など、学生が考えたストーリーに出てくる人物などに対して、より具体的に考えてもらえるように対話を通して深堀していました。
それにより、学生自身も、頭の中で考えたストーリーがより鮮明になっていき、自分が母語で考えている内容を日本語らしい表現で書くためのヒントを得ることができます。学生のこういう形で作りたい!という意見を尊重しながら、知識としてある日本語をどのように表現し、どのような場面で使うのか、実際にストーリーを考えながら学んでいけるようにしているそうです。


-授業にボランティアとして参加しているYCU生の存在-

日本語の授業には、それぞれ「YCU日本語授業ボランティア」の学生が参加しています。今学期は1~2年生を中心に、約40人が参加しており、各授業に振り分けられています。ボランティア学生の存在意義は大きく、留学生からすると同年代の日本語ネイティブと話すという経験ができ、また友達作りの機会にもなっています。また、ボランティア学生に対しては、授業(留学生)を日本語でサポートするというよりは、積極的に授業に参加し、外国人と接することのハードルを下げる、日本語ノンネイティブの人と日本語で話す経験をする、という裏テーマが存在しています。世界の言語は英語以外にも沢山存在し、これからの日本社会ではさまざまな言語的・文化的背景を持つ人とコミュニケーションを取らなくてはいけない場面に遭遇する事も増えると思います。そんな中で、学生時代に、このような貴重な経験が出来ることがYCU生たちの財産になるのではないかと期待しています。


最後に授業を担当する鈴木先生から受験生の皆さんにメッセージをいただきました。

「グローバル」とは、世界中のいろいろな人とコミュニケーションを取り、一緒に生きていくことだと思います。大学時代には、英語や日本語など、いろいろな言語を使って、国内・国外を問わずさまざまな経験ができるチャンスがたくさんあります!YCUに入学したら、ぜひ気軽に日本語の授業にも遊びに来てくださいね。


(担当教員 紹介)
鈴木 綾乃 日本語担当准教授
所属)グローバル都市協力研究センター
専門)日本語教育


(2023/7/5)

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