YCU 受験生ポータルサイト 横浜市立大学

YCU 受験生ポータルサイト

仮想空間(メタバース)を活用した若者のこころの支援を推進している宮﨑智之教授。現代における若者の生きづらさを、バーチャル空間を利用してケアしていくことを目的としたプロジェクトのリーダーとして活躍している。学生時代から、周囲を巻き込んでワクワクすることをはじめるのが好きだったという宮﨑教授にお話を伺いました。


若者を科学的に元気づけ、持続可能なお互いを尊重しあえる世界をつくりたい


現在の研究テーマについて教えてください

若者の生きづらさを解消して、いきいきと生きていってもらうための研究をしています。
若者の生きづらさを生み出す理由として、ここ数年はコロナによる孤独・孤立が目立ちますが、それ以前の時代でも偏差値偏重、いじめ、貧困など多くの原因がありました。そうした生きづらさを感じる社会にあって、そこを生き抜いていく力をつけてもらうための研究をしています。具体的には、心の不調を早期に検出する技術やそれを癒す技術を科学的エビデンスに基づいて仮想空間上に構築することです。癒す技術として用いるのは、ゲームやコミック、音楽などです。それらの持つ、“心を上向かせる要素“を科学的に解明・分析することで、仮想空間の中で若者の心のケアを行うのを目的としています。こうした取り組みを多くの大学・企業・行政機関を巻き込んで実施しています。


現在の研究テーマを決めたきっかけのようなものがあれば教えてください。

もともと、私は医学部で教員をしていました。若い人たちと触れ合っていく中で、彼らが、「自分が十年後にどうなっていたいか」などの具体的なビジョンをあまり持てていないことに気がつきました。また、彼らはストレスマネージメントが適切にできていない状況だと感じることも多かったです。そこから、若い人たちが自立的に自律的に自分のキャリアを決めていきったり、心に関する負担のマネージメントをできるような文化だとか、それをサポートするプラットフォームが必要だと考えるようになりました。それをどのようにやるか、となったときにデジタルケアコンテンツが使えるのではないかと思ったんです。それを仮想空間上に置いてでやって、多くの若者に使ってもらいたいと思ったのがきっかけですね。仮想空間だと時空間的な制限がなく、いつでもオープンしていて自由にアクセスできる。都市部の人だけでなく、地方や離島の人であっても、PCやVRゴーグルさえあればアクセスできるので、より多くの人に使ってもらうことが可能ですから。

産学官共創によるメタバースを活用した若者のこころの支援を推進するプロジェクト「MeeTaa」のリーダーを務める宮﨑先生。写真はその研究拠点


研究者を志した理由やきっかけなどを教えてください。

昔から何かを作る、特に組織を作ることに興味がありました。中学・高校では生徒会長をやったり、新聞部を作ったりしていました。医学生の時も医学部内に弦楽部を作ったり、CDを製作したり、コンサートを開いたりしていましたね。一貫していたのは、みんなを巻き込んでワクワクする新しいことをしたいという思いです。研究とは世界で誰も知らないことを自分が初めて明らかにする行為です。そうした行為を通して世界中の多くの研究者と繋がることができます。大きなチームを作り、大きな課題を解決することができるという点に魅力を感じたのがきっかけです。


研究の面白さや醍醐味などについて教えてください。

現在の日本が先進国の中でも際立って若者の自殺率が高いことや、幸福度が低いことについてはよく言及されていると思います。私は若者が元気に、なりたい自分を目指せる国を作ることで、生きていて楽しい、大好きで住みたい日本になれると考えています。そして、日本から世界に飛び立つ若者を増やし、日本から世界に向けて新たな産業を作ることができると考えています。
また、若者を科学的に元気づけるという仕組みは、まだどの国にも存在しません。私は、この仕組みを世界にも広げたいと考えています。その結果、いがみ合わずお互いを尊重し合える世界、それを通して持続可能性の高い世界を作り出すことができるはずです。そうした世界観の研究であることも醍醐味のひとつだと思っています。


研究を進めていくうえで、常に気にしている、心がけていることなどについて教えてください。

現在の研究で心がけていることは、長くそこにいたいと思ってもらえる空間をつくることです。現在世間に普及している多くの仮想空間は、エンターテインメントの文脈でしか存在していません。一方で、私が研究しているようなヘルスケアなどに特化したものをつくろうとすると、どうしてもお堅いものになってしまいそうになります。けれど、成果をあげるためには楽しく継続して使ってもらえるようなプラットフォームにしないといけないので、すこしでも長くそこにいたいなと思ってもらえるようにつくることを心がけています。


研究をしていくうえで、大切にしていることは何でしょうか。

さまざまなことに意識を向けることが大切だと思っています。研究は、最初は個人個人の興味関心に基づいて始まります。しかし中長期的視野に立つと、その研究がどのように人や社会に貢献していけるのかを考えるべきです。そのためには何か特定のことに対して近視眼的になるのではなく、直接関係のない研究分野の人とも広く交流を持ち、かつ自分の身の回りで起こっている問題や、社会の課題にも同時に意識を向けることが大事です。そうしていれば、日本や、世界全体を良い方向に変えていく可能性があるアイデアが浮かんでくると思います。


研究者にとって一番必要な素養(能力)は何でしょうか。

ワクワクを見つける力、そしてそれをやり抜く力です。あとは同じ志を持っている人たちと協力してチームを作る能力です。先ほど述べたように、研究をしていくうえでは、どのように社会に貢献できるかという考え方が必要ですが、そのためには日本や世界を変えていくためのビジョン、それを達成するチームが必要不可欠だからです。


YCU受験生へのメッセージをお願いします。

YCUは比較的小規模な大学ですが、各学部には非常に優秀な研究者が多く在籍しています。研究を志す学生さんは、事前にどこがどんな研究をしているかを調べてみて、主体的に自分の未来を切り拓いていってほしいと思います。若手研究者を引き上げてくれる文化もYCUにはちゃんとあるので、ぜひとも高い意欲の学生さんに入学してもらいたいです。

【動画】「ヨコ知リ!THE MOVIE」公開!
宮﨑智之教授のインタビューを動画で見よう!

「ヨコ知リ!」アンケート(締め切りました)

ご回答いただいた方の中から抽選でYCUオリジナルグッズをプレゼント! 当選者の発表はグッズの発送をもって代えさせていただきます。
※グッズの指定はできません。

(2023/11/2)

PAGE
TOP