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先端成人看護学

先端成人看護学

「先端成人看護学」は、近年の目覚ましい医療の発展に伴い、標準医療をはじめ、特に大学附属病院など高度専門医療提供機関等にて提供されるゲノム(遺伝子や染色体等の遺伝情報)、あるいはその他の先端的・集学的医療(治験の対象となる疾患、がん免疫療法、移植・再生医療等)といった先駆け的、橋渡し医療を必要とする重症・希少疾患を有する患者様、およびそのご家族への医療ケアのあり方の探求、これら高度医療を提供する実践者に求められる基本的資質、知識・技術、あるいは実践力の修得を目指します。なお、対象疾患は、超急性期から回復期、さらに終末期にあるがん、循環器系疾患、脳神経系疾患、筋骨格系疾患等から、加齢に伴い発症、増悪の可能性のある疾患、症候等の全ての疾患を含みます。これらの疾患は、多職種による包括的、全人的医療の継続的な展開を有する場合が多くなります。そのため先端的医療の提供を実現するチーム医療のあり方やシステム開発についても取り組む必要があると考えています。

教員・スタッフ紹介 (2024年4月1日現在)

千葉由美(Yumi Chiba) PhD. RN. PHN

【学位】東京医科歯科大学(博士)
【経歴】看護師(病院救急外来・病棟、訪問看護)、保健師の実務を経て、その後
大学教員として勤務し、現在に至る。主任研究者として科研連続20年間取得。https://nrid.nii.ac.jp/ja/nrid/1000010313256/
*The University of Sheffield(英国Short)、University of Pennsylvania(米国1.5y)(看護学部ワールドランキング1位)の他、フィンランド、イタリアなどでの研修経験を有する。看護職として世界で初めて幹細胞(皮質骨由来)の単離に成功し、日本から初の公表(2021年10月)。心筋再生や関連内容に関する基礎研究、ならびに臨床研究においても世界の先がけ的に心臓移植、再生移植看護を推進中。いずれも高難度な内容で、著明な国内外の医師、看護師、研究者らと研究を進めながら教育・実践への還元を図っている。
教員 研究テーマ
千葉 由美
教授
臨床看護および家族支援に必要ながん、循環器、脳神経系疾患などの疾患、合併症、摂食嚥下障害や栄養管理といった症候群等を有する患者様に対する包括的、全人的な管理のための高度看護実践のための知識や実践技術の修得、マネジメント能力の向上、および多職種による連携システム開発などを行っています。
【クリニカルリサーチ】
主なテーマは、摂食嚥下障害で、特に咽頭期(不随意反射)領域を専門としています。大学附属病院や施設・在宅にて複合疾患を有したり、併発した超急性期症状(脳血管障害、心臓血管外科術後など)から回復期・安定期の後遺症をお持ちの成人・高齢者の患者様を対象に、ベッドサイド、嚥下造影検査 (videofluoroscopic examination of swallowing)、嚥下内視鏡検査(swallowing videoendoscopy:VE)等による評価法を開発したり、ケアプログラムによる介入、効果評価等といった実践・研究を多職種とともに、新たな技術開発や体系化を進めてきました。
症候管理は、“全身状態の把握と管理”が前提として必要とされることから、応用的な実践研究テーマといえます。高度医療を必要とする患者・家族をどう支えるべきかを医療・福祉の面から広く考えてきていますが、最先端の知識や技術修得、開発・一般化、質の高いチーム医療を実現するためにすべきことは多く、自身のライフワークとなっています。また、最近は高度実践看護師(心臓移植、VADのNP等)のコンピテンシーに関する研究を海外の研究者と進めています。
【トランスレーショナルリサーチ】
渡米を機に、加齢や障害を考慮したヒト、動物を対象とした移植(臓器・細胞)、再生医療・看護等にも関心が移行しています。臓器移植は様々な倫理的課題や高度なチーム医療が必要とされます。また、「幹細胞を用いた再生医療」は、研究開発段階の治療法であり、急激に発展している領域で、その看護の体系化も十分ではありません。移植・再生医療の対象疾患は造血器、循環器、消化器、筋骨格器、脳神経、感覚器系等疾患の中でも、原因不明の難病や遺伝子疾患、高難度の治療を必要としている場合が多く含まれます。治験から一般治療への移行をする中で、高度看護実践を展開する実践看護師の育成は必要で、医療全体を支援する新たな体制整備が急務です。日本だけではなく、海外での看護活動も考慮した看護研究を展開できるよう、国内外の多職種の研究者らと国際的研究を企画・準備しています。
さらに、ヒトへの応用を目指した基礎研究のテーマは皮質骨由来幹細胞等を用いた心筋再生です。近年は、循環器の領域だけではなく、他の領域での応用も検討される時代となっていることから、様々な領域での幹細胞の利用も視野に入れた活動を開始しています。なお、動物実験においては、心筋梗塞モデルマウスを作成するといった全身麻酔下でのmini operation手技やクリーンベンチでの無菌操作下による細胞培養、その他、様々な医学的、生理学的、基礎生物学的な知見や技術が必要となりますが、多くの医師や研究者らの協力を得ながら日々模索、奮闘し、基礎研究を継続して行っています。基礎研究では、全般的に精度の高い手技や解析等の正しい判断が求められるとともに、ひとつひとつの技術修得に時間がかかることから忍耐と根気を要する研究手法といえます。米国から帰国後、長らく時間を要しましたが、日本において初のマウス皮質骨由来幹細胞の単離が成功したことから、この幹細胞の有用性を広く示せないかと新たな研究の展開を開始しています。派生的に生じてきた課題についても取り組んできており、学部の学生さん達にも参加頂き進めた基礎研究の結果が2023年3月に英文誌に公表されました。細々とではありますが、新たな研究領域の創成のための活動を継続的に進めています。
研究において新たな知見を見出すことはとても大変ですが、成果が得られた時の喜びはとても大きく、心から良かった!嬉しい!と共感できるものであると思います。アイディアはたくさんありますが、一緒に進めて頂ける仲間を募集しています。学生さん、若い世代の教員の皆様の参加を心よりお待ちしています。
(参照http://researchmap.jp/read0075963/
秘書
(RA)
全国の病院を対象とした大規模調査、実験に関連する動物・薬品やその他の物品管理等、全般的に研究のお手伝いをさせていただいております。

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