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脳神経内科

パーキンソン病

疾患情報

中脳などでのドパミン神経細胞の脱落を主とする神経変性疾患です。ほとんどが中高年以上で発症し、孤発性(遺伝なし)に発症しますが、5~10%の方が遺伝性と言われています。有病率は10万人あたり150人前後と頻度の高い疾患です。
運動症状が中核の疾患で、安静時振戦、筋肉が固くなる筋強剛、動作が鈍くなる運動緩慢、転びやすくなる姿勢反射障害がパーキンソン病の4大症状とされています。このほか、姿勢異常(体感が屈曲する)、すくみ足(歩行の開始時に停止してしまう)などもよくみられます。
また殆どの患者さんで多彩な非運動症状がみられ、睡眠障害(不眠、レム睡眠行動障害、むずむず脚症候群など)、精神・認知・行動障害(うつ、幻覚・妄想、衝動制御障害、認知機能障害など)、自律神経障害(起立性低血圧、排尿障害、便秘、性機能障害、発汗障害、流涎など)、感覚障害(嗅覚障害、痛みなど)などが含まれます。

診断

臨床経過、臨床症状、4大症状をはじめとした神経学的所見を、神経学的検査(診察)により確認することが最も重要です。補助検査として脳の画像(MRI・CT・SPECT・MIBG心筋シンチグラフィ・ドパミントランスポーターシンチグラフィなど)などの検査を行うことがあります。特にMRIはパーキンソン病では異常がみられないことが多く、むしろ鑑別疾患(パーキンソン症候群)の診断のために有用です。
パーキンソン症候群とは、パーキンソン病と類似の症状をきたす疾患群で、多系統萎縮症、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、血管性パーキンソン症候群、正常圧水頭症、薬剤性パーキンソン症候群などが含まれます。

治療

レボドパ、ドパミン作動薬、MAO-B阻害剤、抗コリン剤、アデノシンA2a受容体拮抗剤、COMT阻害剤、ゾニサミドなどの抗パーキンソン病薬を、個々の患者さんの病状にあわせて組み合わせて用います。発症早期は薬物治療の効果が良いことが多いですが、進行期になるとウェアリングオフ(症状が時間により変動する)、ジスキネジア(体が勝手に動く)などの運動合併症が問題となります。
リハビリテーションは,症状の改善が期待でき、早期から実施していくことが重要です。
内服でコントロールが出来なくなると、レボドパ持続経腸療法、脳深部刺激療法などの外科的治療を行う場合もありますが、当院では実施しておらず、実施可能な医療機関をご紹介します。また、進行期は認知症などの非運動症状のコントロールも重要です。