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診療科・部門案内

循環器内科

肺高血圧症

当院では2017年に肺高血圧症専門外来を開設し、毎週木曜日と金曜日に専門外来をおこなっております。年々患者様の御紹介も増加しており、DPCデータからみる肺高血圧症の症例数では神奈川県内随一、全国でもTOP10に入る施設となっております。
慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)に対するカテーテル治療(バルーン肺動脈形成術:BPA)に力を入れていることが特徴です。
また肺高血圧症の原因疾患は非常に多岐にわたるため、膠原病内科や呼吸器内科を中心とした院内連携や、ヒックマンカテーテルを留置してのエポプロステノールの持続静注療法が可能な施設として、神奈川県内の基幹病院との病病連携にも力を入れております。

増え続ける難病『慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)』を御存知でしょうか?

増え続ける難病『慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)』を御存知でしょうか?増え続ける難病『慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)』を御存知でしょうか?
増え続ける難病『慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)』を御存知でしょうか?

器質化した血栓により肺動脈が狭窄・閉塞し、肺血流分布ならびに肺循環動態の異常が6ヵ月以上にわたって固定している病態を慢性肺血栓塞栓症と呼び、その中で平均肺動脈圧が25mmHg以上の肺高血圧症(PH)を合併している症例が慢性血栓塞栓性肺高血圧症(ChronicThromboEmbolic Pulmonary Hypertension:CTEPH)と定義され、PHの分類では第4群に分類されます。
急性肺塞栓症からの移行が0.1~9%にあるとされる一方で、明らかな急性肺塞栓症の既往がない例が25~75%にみられるとの報告もあり、正確な発症機序は未だ不明ですが、急性肺塞栓症例では常にCTEPHへの移行を念頭に置くことが重要です。

日本においては指定難病の一つであり、2019年度の特定医療費受給者数は4,160名で有病率は人口100万人あたり33.0名、疾患認知度の上昇や、治療の発展にともなう予後の向上などを背景に、毎年約300人ずつ増加しています。
CTEPHに対するカテーテル治療:バルーン肺動脈形成術(BPA)に力を入れています

BPAはバルーンカテーテルを用いて肺動脈の狭窄や閉塞を物理的に解除する治療法です。
CTEPHではほぼ全ての肺動脈に病変が存在するため、一度に全ての病変を治療することは困難であり、1症例あたり4~6回程度のBPAを必要とします。日本の専門7施設308人の多施設研究のデータでは、平均肺動脈圧はBPAにより43.2mmHgから24.3 mmHgに改善しておりました。
当院のデータでも38.8mmHgから20.0mmHgへと著明な改善を認め、在宅酸素も約6割の患者様で離脱できており、良好な治療成績です。

肺動脈造影

  • BPA前

    BPA前

  • BPA後

    BPA後

BPAは、CTEPHが稀少疾患であること、充分な治療効果と合併症のマネージメントに経験が必要なことなどから、充分に経験のある施設で実施されることが望ましいと考えられ、日本循環器学会により全国に17のBPA指導施設が定められており、当院もそのうちの一つに認定されています。

CTEPHは稀な疾患で進行性の難病であり、早期に診断および治療がおこなわれない場合不幸な転帰をもたらします。急性肺塞栓既往のある方や、原因不明の労作時息切れを認める方では、症状および各種検査所見からCTEPHの疑いを常に持ち、疑われる場合には確定診断・治療のために早期に肺高血圧症専門外来へご紹介いただければと思います。