診療科・部門案内

リハビリテーション科

当科のご紹介

リハビリテーションとは、様々な健康状態にある個人の機能を最適化し障害を軽減するための手段、と2021年11月10日のWHO:世界保健機関が発表しています。当院リハビリテーション科の治療は、高度救命救急センターをはじめ、様々な疾患センター・診療科で専門治療を受けられた患者さんの、多岐にわたる心身機能障害および活動制限を対象としています。機能回復、ADL再獲得から自宅復帰、社会復帰に向けたリハビリテーションを、新生児から超高齢者まで幅広の世代に対して安全かつ高度な水準で急性期から提供しています。
患者さんそれぞれに対して全身状態・リスクを正確に評価し、適切なリハビリテーションを早期から提供できるようリハビリテーション部、各診療科、病棟と密に連携しています。

  • 摂食支援も、治療効果を高めるために重要であると考えています。耳鼻科・摂食認定看護師・リハビリテーション部言語聴覚士と連携して早期の栄養改善に向けた取り組みを、嚥下回診(ミールラウンド)を開催しています。摂食に難渋する嚥下障害患者さんに対して、リハビリテーション部言語聴覚士、摂食認定看護師と共に嚥下造影検査を実施し、食事形態の決定や効果的な摂食機能訓練の方法の検討をし、診療科の先生方と共有しています。
  • 乳がん患者さん、消化器がん患者さんに対しては周術期リハビリテーションが特徴です。術前運動指導・呼吸法指導、術前機能をリハビリテーション科専門医が評価・指導し、手術後は翌日から早期の離床支援、機能訓練を提供しています。
    入院患者さんの退院・転院支援として、救命救急センター医師、リハビリテーション部の理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、医療社会福祉士との多職種合同カンファランスを毎週実施しております。退院に必要な患者さんやご家族へのサービス導入計画、転院先への連携を潤滑に進むように努めています。
  • 外来リハビリテーション診療では、神経系疾患、骨関節疾患、切断患者、小児患者などの中で、リハビリテーション科専門の治療が必要な場合は特殊クリニックの装具療法(水曜日午後)や痙縮治療(ボツリヌス療法、バクロフェン髄注療法:月・火・木・金午後)を行っています。患者さんの障害像やライフステージ、ニーズに合わせた装具療法、痙縮治療を義肢装具士と共に汗をかきながら実践しています。

患者さんへ

リハビリテーション科は、診療科からの紹介と地域医療機関からの紹介をお受けしています。

外来通院リハビリテーション目的の紹介は、原則受けておりません。

主な対応疾患と診療内容

高度救命救急センター、各疾患センター、各診療科のあらゆる患者さんに対して、安全で適切なリハビリテーションが受けられるよう、リハビリテーション科専門医の評価および治療を実践しています。

専門外来について

ボツリヌス療法の対象疾患は、脳卒中、頭部外傷、脊髄損傷、神経変性疾患、神経炎症性疾患、脳性まひ、痙性斜頸など、非常に多岐にわたります。治療目標も、「関節可動域を改善する、つっぱりの疼痛を軽減する」など身体的アプローチや、「着替えやすい、靴を脱ぎ履きしやすい」など生活動作にアプローチするというように、患者さんそれぞれに対して治療目標を介助者やリハスタッフと共有しながら実施しています。実際の注射では、痙縮による痙縮筋を超音波装置もしくは電気刺激装置を用いながら同定し、周囲の血管・神経を確認して安全かつ最大限の治療効果を発揮するように努めています。

超音波ガイド下ボツリヌス療法/電気刺激下ボツリヌス療法

毎週水曜日午後、病院7階フロアで複数社の義肢装具士と共に、義足・義手・靴型装具・短下肢装具・インソール・体幹装具・車いすの処方、適合確認を行っています。限られたスペースではありますが、実際の装具使用状況を想定した完成前のチェック、完成時のチェックを行います。処方した医師と、作製した義肢装具士とともに行っています。外来、と表記されていますが、入院中の患者さんに対する治療用の装具を、入院主治医とリハビリテーション科医師の判断で処方し、作製しています。

装具外来

診療実績

ボツリヌス療法 250件/年間
ITB療法 25件/年間
装具処方 70件/年間

2023年4月からは月1回程度の頻度で嚥下造影検査、神経伝導速度検査を実施しています。